WEBめぎつね座 KUSARI『たのしい三句たち』 一月二十八日(月) (No.71552) 心の奥に届く安らぎ ザリ 曾祖母のベッド占領する積木 ふさ子 しゅっぽと夜汽車通り過ぎ行く 風 一月三十一日(木) (No.71610) 尾瀬ヶ原には水草の花 ひわ 綿菓子もパンダも眩し雲の峰 桂 病院船が明日着くという 道草 二月十日(日) (No.71870) 天井追ってしくじった株 おづぬ エレベーター地下三階で降りた客 藍 あぐらを掻いてねずみ密談 あずき 二月十一日(月) (No.71899) 焦るほど上手に眉が引けなくて ひわ こっとんこっとん電車カーブに ザリ 浮き沈みあれこれめぐる世のさだめ 彗 三月九日(日) (No.72331) 大江戸に響き渡るは呼子笛 不用之助 親分敵は多国籍です のら テキーラとワイン老酒ウイスキー とけた 三月十一日(火) (No.72478) グラスが割れる錯覚の恋 かよねこ 真っ白なクリスマスローズ咲きました あずき ご無沙汰ですと届く絵手紙 おなすさん 三月二十七日(木) (No.72779) 対立の裏に資源の争奪戦 ばび 金の指ぬきプディングに入れ R 満月に祈る手芸の上達を カンちゃん 五月三日(土) (No.73430) 逢い引きしてる月と憲法 暢 九条の橋のたもとの餡蜜屋 麦 雪駄ちゃらちゃらさせて東寺へ かよねこ 五月十七日(土) (No.73678) ピアスきらりと光る片耳 芳梅 お待ちかね野外ライブの始まりだ みのり 人も芒も右に左に 氷心 六月一日(日) (No.73927) クローンのティラノザウルス売り出され あずき 薔薇の花束もらうアイドル ばらずし 年下の男心のありどころ 藍 |
六月十一日(水) (No.74112) あなたと続くこの海の水 ちいばば へその緒が干からびきって桐の箱 あづさ 朝は必ずやってくるから みのり 六月二十五日(水) (No.74359) 夏隣スワロフスキーを付け爪に あずき 情報員という職種有り タヌ公 正解をツー・トンと打つカンニング R 七月四日(金) (No.74504) ポップオペラという新ジャンル のら 古池を前に二人の俳諧師 氷心 待ってましたと蛙飛び込む 兎 七月一日(火) (No.74502) 竹刀がうなる面で一本 さむ 天辺の泰山木のハラと散る 鶫 主亡き庭雨戸動かず ザリ 八月二日(土) (No.75278) 平均寿命又も更新 ふさ子 一生の幸と不幸は同じ量 蕗 蜥蜴の尻尾切れてピクピク キリマンジャロ 九月十日(水) (No.76265) 風鈴がちりちりん世は去りがたし 可央 酒保開きたる鉄の艦 氷心 雲行きの怪しい気配インド洋 ひわ 十一月一日(土) (No.77638) 自由電子の光速の恋 暢 人の世に人と生まれて面白き 合 五分の魂一分の魂 ザリ 十一月二十一日(金) (No.78038) 地層の中の化石蠢く ふさ子 空青くメタセコイアは堂々と ザリ キスする前に形而上学 ななちゃん 十一月二十二日(土) (No.76055) 妖精の竪琴聞いている夜更け ひわ もう少しだけこのままでいて ザリ 老い迫る三十年の心裂け ちいばば 十一月二十三日(日) (No.78083) 愚に愚に愚つづく愚に愚に愚に愚に愚 ななちゃん 海鼠夫婦は今日もお散歩 不用之助 大根をすりおろしてる午後六時 小町 十二月十九日(金) (No.78615) 食卓の灯火ゆれて影ゆれて あずき いじけたような安物のいす マカロン 聞いてくれ派遣社員になったワケ 不用之助 平成20年1月1日より12月31日(71070番~78875番)より抜粋 |