平成22年2010『連句年鑑』(連句協会 発行)webめぎつね座

      KUSARI『たのしい三句たち』 
         一月一日(木)      (No.78877)
 初日の出金色の帯海を分け     あずき
   生きとし生けるものの呼び声      藍
          一月四日(日)      (No. 78941 )
 アイポッドアモレミーオと歌いだす    道草
   宇宙の朝はとても新鮮         小町
 凍てついたピンクの薔薇がこんにちは ばらずし
          二月二十六日(木) (No. 80378
  マリンブルーの海と別荘        かよねこ
 白化する珊瑚に泣いたマーメイド  カンちゃん
  愛は死んだと風がささやく         藍 
         三月十一日(土)     ( No. 81430
   薄っすら明けて桜島山          鶫
 蓬莱を目指すか白き船一艘        一睡
   二人で過ごす長き歳月          彗 
        三月十三日(金)     (No. 80758 )
   ぐいっと締める派手なネクタイ  不用之助
 ハレの日の自衛隊とはなんなのだ     暢
   成り成り成りて余れる所     ななちゃん
        三月十四日(土)     (No. 81430
 草原の尺取虫は仕事中          ザリ
   娘十八さなぎの脱皮           咲
 うるせえと男言葉の返事くる       芳梅
        四月九日(木)        (No. 81400 )
  いなかはいいよみなで帰って   ちいばば
 この風は吹いているかな百年後     可央
  人のかたちを解いた安らぎ         風
     五月六日(水)           (No. 81890)
   派遣きられて鬱鬱の日々       芳梅
 見返れば敵の野営の明々と       タヌ公
   伏龍鳳雛並ぶ幔幕            R
      五月九日(土)          (No. 81952 )
  君の本音をいつか知りたい      みのり 
 長い髪編んでほどいてかきあげて     藍
    ひっそり眠る妻のかたまり      あずき
      五月二十日(水)        (No. 82174 )
  赤字決算発表の席            たつみ
 百年に一度を生きている辛さ   キリマンジャロ
   高笑いする森の魔女たち        あずき
      七月九日(木)         (No. 83314)
   携帯電話持つか持たぬか      おなすさん
 GPSで居場所の管理誰握る          咲
   南洋気付マンタ様宛           ふさ子
     
    

          七月二十五日(土) (No. 83718)

   エンジン音は北へ北へと    不用之助 
 気がつけば越えてる38度線        彗 
   熊にご注意今年夏から       とけた
          八月二十九日(土) (No. 84523)
 
小川には絶滅危惧種泳ぎゐて     にゃん
   ホモサピエンス住むという星     あづさ
 灰色の脳細胞の果てしなく      ちいばば
           八月三十日(日)  (No. 84570)
   食えれば良しと職を求めて      氷心
 失業率過去最悪を更新中         道草
   目薬をさす一滴二滴           水瓶
          九月三日(木)    (No. 84700)
   マイクロトマト赤くすずなり         合
 新妻の手作りべんと冷やかされ     未知
   時間をかけて暖める愛         氷心
            十月三日(土)   (No. 85538)
   海霧の中から呼ぶ声を聞く      たつみ
 運命の人に出会った午前2時       のら
    宿なく寄った閉めかけの店      天球
         十月二十八日(水)  (No. 86179)
 ケータイで「今ここ」と打つツイッター     R
   孤独のパルス刻むモールス   カンちゃん
 神々がいるのだろうか宙の果て      ばび 
           十一月三十日(月)   (No. 86980)
   学生街は朝靄のなか          小町
 反戦の旗手厨房で蕎麦を打つ       麦
   今年の酒はちょっと辛口       あずき
         十二月十七日(木)    (No. 87457
 バカボンのオヤジはこれでいいのだと   和
   後悔ありてこその人生         ひわ
 占いが当たってないと今わかり      天球
          十二月二十日(日)    (No. 87567)
 秋日さす静かな午後の小画廊       桂 
   亡き人の声聞いたようにも        鳥
 心にはいつもあなたの影があり キリマンジャロ
          十二月二十九日(火)  (No. 87567)
  小首かしげる小さな雀         美句志
 私にやましいことはありません       唯
   ノーベル平和賞を頂く           蕗
 
平成二十一年一月一日より十二月三十一日
KUSARI(78876番~87739番)より抜粋
 於 HP矢崎藍の連句わーるどBBS I