平成23年『連句年鑑』(連句協会2011年発行)webめぎつね座

    KUSARI 「たのしい三句たち」
    一月一日(金)                (No.87743)
 繋がりし人と人とのKUSARIの環      和
  色とりどりの個性満開           のら
    一月四日(月)                 (No. 87798) 
 熱砂を冷やす夜の深まり          アキ
  未利用の闇と光のエネルギー     道草
 道草をして進む文明            天球 
    二月二十日(土)               (No.88861)
 駅裏の一方通行迷路なり         ザリ
   会って別れたそれだけのこと      唯
 ゆるやかに小流れ下る花筏         桂
    二月二十五日(木)            (No.88962
  心の傷を包む優しさ            ひわ
 浅春のひかりに溢るスイトピー        鶫
   黄沙掃いし就活の靴         ふさ子
     三月一日(月)                 (No.89047)
 普天間は一体どこへ行くのかな キリマンジャロ
   米のまんまが付いて廻らぁ      氷心 
 吠えたのか欠伸したのか檻の虎    ふさ子
       二月二十一日(日)           (No.88888)
   ドライトマトは過去を語らず          唯
 ラブアフェヤー私とあなたの地中海     藍
   祈りのあとにそっと口付け         麦
       三月二十七日(土)           (No.89605)
 好きという言葉を君に届けます  カンちゃん
    肩紐すべる黒のスリップ        アキ
 玄関の前で止まった靴の音        ザリ
     四月二十一日(水)           (No.90268)
   西に噴煙ひんがしに地震        藍
 割烹着着た母いつもたじろがず      唯
   友達100人お誕生会           麦
    五月一日(土)                (No.90474)
   ウィンクをして心盗んで      かよねこ
 モノクルとシルクハットと夜会服    美句志
   問題の絵はサロン落選          藍
     五月五日(水)               (No.90525)
 ほろ酔えば異星の歌を口ずさみ    タヌ公
   彼とわかれて猫と暮らして    不用之助
 紫の匂菫のプランター          あずき
    五月十九日(水)             (No.90842) 
  郭公の鳴く街の明け方       ちいばば
 その顔は何たくらんでいるのかな   あづさ
   テスト用紙はゴミ箱の底       ザリ 
   五月二十八日(金)              (No.91044)
  ひとりぼっちはとてもさびしい       藍
 即席に注いだ愛に蓋をして       あづさ
   海老とネギ入りかきあげ一つ   美句志 
    七月四日(日)                 (No.91868)
 この世ややこしこの世いとおし       唯 
知恵の輪のぱらり外れて暮早く     あずき
  英英辞典ダウンロードす          R
   
     七月九日(金)               (No.92016)
  犬より格が下の父親           桃里
 煙草の火時々強く光らせて         唯
   捜査一課の非常階段      不用之助 
     七月九日(金)                 (No.92025)
 忘れたいこと順番に思い出す        唯
   マニフェストってなんだったっけ      蕗
 椅子引いてエスコートするフェミニスト   天球
      九月十四日(火)               (No.93145)
 大空のリンクを滑る宇宙船         ひわ 
  中国独楽が放り投げられ         天球
 虚ろなる瞳のマダム・バタフライ      氷心
       九月十五日(水)            (No.93172)
  知覧の海は悲しみの蒼           ザリ
 ゆっくりと染まりあなたに近くなる       唯
   すっぽり被るメンズセーター      あずき
        十月四日(月)            (No.93586)
   狸が乗ったあれは泥舟           兎
 浮き沈みしつつ私は冬に入り キリマンジャロ
   天水桶に落ちた太陽            兎 
      十月六日(水)             (No.93650)
  貴方の腕に小首ゆだねて       とけた 
  あるがままみていてほしい夏木立 不用之助 
   トンボ生るる夕ぐれの池       とけた 
       十月二十五日(月)           (No.94129)
 校長の式辞今年は面白い         合
    子雀並ぶ講堂の窓           麦
  舌切の葛籠の中味気になって      和
     十一月七日(日)             (No.94463)
 柿の木がよく見えていた母の部屋     鶫
   引越して行く立冬の朝         氷心
 わが町に楽市楽座復活し          伊都
       十一月十二日(金)           (No.94594)
   ドットのタイで決める商談        氷心
  スピードを遅らせ走るコンテナ船     小町
   月がきれいとメールしてくる   おなすさん
    十一月十七日(水)            (No.94721)
 春灯下便り書く手がつい止まり     たつみ
   カフス釦は海底の色            麦
 そのむかし人間だったこともある     小町
     十二月十六日(木)             (No.95818)
  広場に響く教会の鐘         不用之助
 安らぎは同じ時間を過ごすこと    カンちゃん
   うつし世にいる人いない人        彗 
      十二月二十六日(日)            (No.95498)
   咲き満ちる花散ってゆく花   キリマンジャロ
 長かった出世レースも終わりかけ      天球
   100歳ですが体鍛えて        ばらずし
 平成二十二年一月一日~十二月三十一日
 (No87740~No95601)より抜粋