☆松山市教育長賞 歌仙「命なり」の巻 衆議判 命なりみたび三河の秋の座に 佐藤俊一郎 金木犀もほろほろと月 矢崎藍 アトリエの設計図面鵙啼いて 由川慶子 いつも鋭く削る鉛筆 石川葵 兄ゆずりスピードテニスで勝ち進み 板倉合 糸を流して風に乗る蜘蛛 間瀬芙美 ウ 向日葵の戯れ言をきく膝小僧 葵 だってあのときうれしかったの 俊 ポコアポコ心はじける恋をして 藍 奇数のようにとんがった彼 葵 左ハンドル敗戦の野を走り抜け 慶 いま東京に地平線なし 藍 大量のコンビニ弁当積み上げて 合 サッカー選手プロとなる道 芙 狼の牙に利鎌の月冴ゆる 俊 円空仏はみな違う顔 葵 花を追い北の大地の果ての果て 慶 煉瓦の獄舎窓の淡雪 芙 |
ナオ いっせいに田螺のもぐる千枚田 慶 ついと転んで老いを知りたる 藍 名優の黒衣に徹し半世紀 慶 善と偽善と悪と偽悪と 葵 クリムトの女うっとり蕩けおり 々 洋燈の下で紅を直して 俊 イエスノーしかと聞こえず波の音 慶 蛍の消える二つ三つ四つ 俊 纏向の遺跡を掘れば夏も闌け 合 理系出身記者の送信 芙 東天に月は明星従えて 合 蒙古平原草紅葉する 藍 ナウ 長老の髭剃りあとのへちま水 慶 あやつ与党かもしや野党か 芙 左利きといいつつつまむ麩饅頭 慶 猫の子抱けば和毛やわらか 葵 追憶の木造校舎花の渦 藍 ちぎれて空へのぼりゆく凧 執筆 平成二十一年十月十七日首尾 於 豊田市「野島」 |
入選 歌仙「古代の夢」の巻 愛知 間瀬芙美 赤米や古代の夢を月の下 間瀬芙美 蜩の声透る山峡 矢崎 藍 秋袷ベストセラーを開きいて 繁原敏女 眼鏡を探すパソコンの前 長坂節子 熱帯魚地球の裏からやってくる 徳永あき子 みんな集まれ噴水広場 藍 ウ いつの間に齢重ねて解かること 女 最初の彼がやはりいちばん あ 褐色のシルクの肌のなめらかさ 藍 円形劇場残照の中 節 鳩がきて与党が野党になりました 芙 離れの隠居爪を噛んでる 節 七五三いたずらぼうずは神妙に 女 雪になるかとYAHOO 検索 あ ぶち猫の駅長さんの大あくび 節 現代アート縦か横かと 芙 絢爛な友禅織の花月夜 節 何処かで蝶の羽化のはじまる 女 |
ナオ行く春をドナウくだれば森深く 藍 買物籠にどさりベーコン 伊藤良重 ふうわりと着地してみる体重計 女 腰痛歯痛かくて心痛 藍 緑陰の愁いを秘めし阿修羅像 節 鉄砲百合の放つ芳香 藍 髪編んでほどいて恋と知りそめぬ 々 タトゥゆらめく愛の饗宴 芙 十六夜の雲はちぎれて流れたり あ 半蔵門をくぐる秋冷 芙 明雅忌の白磁の盃に新酒酌む 節 ライトブルーのペンの添削 藍 ナウ数え日のダウ平均は気がかりな 々 内野安打で大記録積む あ 寿限無寿限無続くこの先唱えたり 節 エイプリルフール誰の呼び出し 藍 迷いきて花うつくしき二度童 女 水面のどかに欄の影 節 平成二十一年九月十五日 於豊田市 「野島」 |