平成26年(2014)年 『連句年鑑』(日本連句協会)掲載

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    KUSARI「たのしい三句たち」 

    1月27日(日)      (108214)
  星と星との戦争があり           美句志
絵本閉じおやすみなさいとママのキス    あずき
  チリチリチリと鳴る体温計           藍
    1月31日(木)        (108268)
  ギックリ腰と今日も仲良く          とけた
生かされて生きております草いきれ     あずき
  宇宙の蒼に溶ける青空           小町 
    3月09日(土)        (108784
  沈みし鐘の音のゆらめき         コロン 
朝露にぬれた子馬の細い足      ちいばば
  母の願いは平穏な日々            ザリ
    3月24日(日)         (108970)
  地平線まで続くサバンナ          あずき
逡巡の名残りのように陽が沈む       みのり
 衣抱きしめ独り断腸              合
   3月28日(木)         (109126)
 ほらは吹くべし夢は喰うべし          麦
ボスボラス海峡跨ぐ夏の雲        不用之助
サウナあがりのリクライニング         氷心
     4月08日(金)      (109304)
 嫌いが好きの恋の駆け引き         ザリ
抱きしめているのに心なぜ遠い     カンちゃん
  データ書き換え再起動して       あづさ
     4月13日(土)        (109406)
  活性化する免疫細胞             ばび
意識して心身ほぐす新講座          芳梅
 レジメをまわす手の美しく           ひわ
     5月25日(土)       (110170)
  少し早目の障子貼替             氷心
ジャパネスクスペースコロニー受け継いで  タヌ公
  原発いかがと笑うセールス           藍
      6月08日(土)       (110317)
311後に生きざま問われてる          道草
  危機感薄める刻の悪戯           ひわ
不都合を忘れるアプリ付いてます        コロン
     7月30日(火)        (111045)
脳検査機械の中の孤独感           たつみ
   愛想の好い海の馬いて          あずき
イクメンの竜の落とし子ゆらゆらと       コロン
      8月11日(日)     (111045)
山にはたた神さま怒る音        不用之助
  下の河童はおへそ大好き            兎
食い飽きた家の胡瓜はメタボなり        ザリ
                    

   8月12日(月)      (111390)
 心ときめく不意の待ち伏せ         ゆづ
あんなことこんなことあり夜の汽車       唯
 星の孤独は美しすぎる          あおゆき
    9月5日(木)      (111562)
 ビンテージ物のジーンズの味       あずき
カウボーイハットが弾で吹き飛んで    ばらずし
 土煙たて一陣の風                鶫
    10月01日(火)    (111897)
曼荼羅が右掌に浮かび出て         天球
 心やましいことが三つ四つ           唯
記念日にクルーズの旅プレゼント     美句志
     10月16日(水)   (112117)
国会は多数を恃み暴走し             蕗
 急いで食べる高い牛丼             麦
来し方の反芻迫る年の暮           氷心
    11月13日(水)  (112546)
 聖書と経とコーラン覚え          のら
8000000+α=∞
(やおよろずぷらすあるふぁはむげんだい) んにゃ
多重債務で破産寸前             氷心
     11月17日(日)  (112594
  フィッシャーマンズワーフあざらしの群   藍 
dead or alive撃って心を撃たれおり  あおゆき
 ソウルメイトに惚れちゃいけない       小町
   11月21日(木)      (112639)
脳内のここであくびというご指示    不用之助
 七匹の子を産んだ母豚             麦
たっぷりと麻婆豆腐に葱を入れ        小町
    12月05日(木)   (112884)
 生まれ出でたる新しい島           唯
恋に恋してから恋がままならず  キリマンジャロ
  仮面をつけて奪うくちびる          兎
      12月22日(日)  (113184)
  辞書を忘れたリラの花かげ         藍
柔らかに南南西に風は吹く           ザリ
 鳴いた鳴かぬと取り囲む亀          兎
     12月27日(金)   (113248)
 サル目ヒト科属はKUSARIで        麦
天空の都市に夕陽が沈むころ         小町
 時を越えたる石積みの技           ザリ  

 平成二十五年一月一日~十二月三十一日
(No.107889~No.113316)より抜粋 
 於 H・P 矢崎藍の連句わーるど総合BBS 
◆妖怪尽くし連句14
「百鬼夜行」の巻        捌 矢崎 藍

 秋深し百鬼夜行が集うかな       草笛奏
   おいらは柿だたんたんころりん    ドリー
 そぞろ寒起き抜けの子はのっぺら坊  しげる
   枕返しはちょっと寝不足           奏
 塗り壁がビルの隙間でとおせんぼ    ドリー
   蛍に間違えられた火の玉       ドリー
 あな涼し月を背に飛ぶ吸血鬼        奏
   私ってきれい?口裂け女    みの虫アッパ
 伊右衛門はお茶ではないよお岩さん  喜感謝
   ころぶと怖い送り狼           ばらずし
 森の奧橋にひそんでいるトロル     あき子
   猫バスを待つ雨のバス停         奏
フルートは谺とデユエット花ゆらら      藍  
  一つ目小僧駆けてゆく春        あき子  

平成二十五年十一月三日首尾 於 とよた連句まつり
        連句年鑑 2013(H25)掲載