入賞 次席 歌仙「曼珠沙華」の巻 捌 間瀬芙美 曼珠沙華笑ひすぎたる赤さかな 郷正子 宙にふるへる蜻蛉の群 矢崎藍 三日月を高層ビルの西窓に 郷 チャイムが鳴つてピザの到着 芙美 英語塾プリント配り始めたる 郷 珊瑚礁見る夏の約束 藍 ウ 虹立ちて迦陵頻迦のありどころ 郷 恋のタブーを知らぬ少年 藍 ペディキュアの女の家を突き止めて 郷 料理上手で口説き上手で 美 一瞬に街を埋めし火山灰 藍 ヘリコプターに記者と大臣 郷 ネクタイをゆるめ飲んでる安定剤 芙 師走の月と雑踏の中 藍 志功展開く画廊の灯が届き 郷 主の席に猫が居座る 芙 花衣亡き母さんにようも似て 藍 今年初めて茶摘唄きく 郷 |
ナオ ごそごそと紙袋から三宝柑 芙 分水嶺を越える特急 藍 幸ひのすむ国あると風の言ふ 郷 鼻ピアスして直木賞とり 芙 芳醇な果実をもげば罪深く 藍 御息所あはれもののけ 郷 羅に薄紫の糸印 芙 ほら翡翠が橋をかすめた 藍 自転車を草に倒して下校の子 郷 世界遺産となりしHIROSHIMA 藍 奥の間の古時計鳴る真夜の月 芙 用を足しつつひしと深秋 郷 ナウ 朴の葉の散る細道をあすの旅 藍 曲折を経て合併となり 芙 水底の鯉ゆつくりと向きを変へ 郷 東塔霞む曙の空 藍 夢あまた浮かびつ消えつ花の宴 芙 ロストボールを探す弥生野 執筆 2006年9月14日起首 11月1日満尾 fax文音 |