平成連句競詠2007

 入賞 次席
歌仙「曼珠沙華」の巻      捌  間瀬芙美 
                  
  曼珠沙華笑ひすぎたる赤さかな 郷正子 
   宙にふるへる蜻蛉の群     矢崎藍 
  三日月を高層ビルの西窓に      郷 
   チャイムが鳴つてピザの到着   芙美 
  英語塾プリント配り始めたる      郷 
   珊瑚礁見る夏の約束         藍 
虹立ちて迦陵頻迦のありどころ     郷 
   恋のタブーを知らぬ少年       藍 
  ペディキュアの女の家を突き止めて  郷 
   料理上手で口説き上手で       美 
  一瞬に街を埋めし火山灰        藍 
   ヘリコプターに記者と大臣      郷 
  ネクタイをゆるめ飲んでる安定剤   芙 
    師走の月と雑踏の中        藍 
   志功展開く画廊の灯が届き     郷 
    主の席に猫が居座る        芙 
   花衣亡き母さんにようも似て     藍 
    今年初めて茶摘唄きく       郷 


ナオ ごそごそと紙袋から三宝柑     芙
     分水嶺を越える特急       藍
   幸ひのすむ国あると風の言ふ    郷
    鼻ピアスして直木賞とり       芙
   芳醇な果実をもげば罪深く      藍
     御息所あはれもののけ      郷
   羅に薄紫の糸印            芙
     ほら翡翠が橋をかすめた     藍
   自転車を草に倒して下校の子    郷
     世界遺産となりしHIROSHIMA 藍
   奥の間の古時計鳴る真夜の月    芙
     用を足しつつひしと深秋      郷
ナウ 朴の葉の散る細道をあすの旅    藍
     曲折を経て合併となり       芙
   水底の鯉ゆつくりと向きを変へ    郷
     東塔霞む曙の空          藍
   夢あまた浮かびつ消えつ花の宴   芙
    ロストボールを探す弥生野    執筆
 2006年9月14日起首 11月1日満尾  fax文音