国民文化祭やまがた2003

☆国民文化祭実行委員会賞
半歌仙 『木歩の忌』の巻  香川県 田岡 弘 捌   

 青柿のままに落ちたり木歩の忌    田岡  弘  
    片割月を揺らす池の面       多村 遼  
 村芝居終へたる人の賑やかに         弘
    振舞ひ酒のうまさ格別            遼  
 子燕は高速道路横切りて            遼  
    雲の峰へと伸びるビル群          弘  
ゥガウディの夢を受け継ぎ黙々と         遼  
    一途な愛はきっと本物           弘  
 魂がふれあふほどに抱きあひ          遼  
    焦ればとけぬ固き靴ひも          弘  
 解決に苦難どこまで続く拉致           弘  
    耳に残るは遠き潮騒            遼  
 神やどる月山に月冴え渡り           弘  
    点となりゆくシュプールの涯        遼  
 ひと筆に座右の銘を書き上げて         弘  
    猫のじゃれあふ縁の暖か          遼  
 花満ちて生の讃歌をたからかに         弘  
    悠久の地に春の曙            遼  
       平成14年11月6日起首12月2日満尾
       WEBめぎつね座
☆山形連句協会会長賞
半歌仙 『果てはいづこや』の巻 
               香川県 田岡 弘 捌   

 この道の果てはいづこや草いきれ   田岡 弘  
    行く手はるかに峰をなす雲     多村 遼  
 シナリオを一気呵成に書きあげて       弘  
    エスプレッソをぐっと濃いめに       遼  
 談笑のつづく窓辺の月さやか          弘 
    路地の奥にもはやつづれさせ       弘  
ゥやや寒に龍馬がいそぐ京の町         遼 
    おほいなる背に熱きまなざし        弘  
 いや燃ゆる恋の炎の限りなく          遼  
    さらさらさらと砂の曼荼羅         遼 
 脱出はいつのことやらこのデフレ        弘  
    イチかバチかで狙ふ逆転         弘  
月影に冴ゆる遠吠え独り聴き          遼  
    友の情けにむせる燗酒          遼  
 閉ぢられしベストセラーはテーブルに     弘  
    フォークソングの流れくる苑        遼  
 花の雪浮かべ母なる最上川          弘  
    春光満ちて旅立ちの朝          遼  
       平成14年7月3日起首8月2日満尾
        WEBめぎつね座