夕暮れの駅が吐き出す人の波 みき (2013/6/20~8/8)

前句   夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき

「募集 」中日新聞8月8日(木)      募集
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
妻が出迎えキッス・アンド・ライド  石田吉保
回り道して回転寿司へ        小林きね

 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
フラッシュバック3,11      やっと亀
元気つけたら明日はフクシマ     タイタイ
 夕暮れの駅には今の世のさまざまな人生が歩んでいましたね。まだ手元に佳句を残して発表はここまで。さて、つぎの宿題です。
  砂浜の足跡どこへ続いてく   ドリー
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
 (砂浜の足跡どこへ続いてく)
片方残るビーチサンダル          合
 夏の思い出を。ロマンチックな恋句もよし。もちろん自由に想像してドラマ作りもどうぞ。
 (砂浜の足跡どこへ続いてく)
バーベキューしよ女子は肉食     しゅぴZ
 観察でも。連句は人間と自然のウオッチングです。海や湖の生物も参加させて。 
 (砂浜の足跡どこへ続いてく)
さるすべり咲く村の廃屋          藍
季節は盛夏から、秋のおとずれまで。八月は終戦を思う月。過去現在、未来の時事句もぜひ。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。八月十八日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「タイムサービス 」中日新聞8月1日(木)      発表5
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
そこのけそこのけ実家へ帰る      ちょい
 お盆休みもすぐですね。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
迎えの車待つロータリー        さわだ
朝のけんかは一時おあずけ      大畑杉子
 目まぐるしく過ぎる一日。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
まっすぐ帰ろ猫が待ってる       三十路
「友人たちは、旦那が子供がとそそくさ帰るけど、私にも可愛いのが二匹」。
ガチャリにワン!の声が待ってる  ターボん家
 ワン!の句多かったですよ。ハチ公の句も。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
あとチョットだけ単身赴任       たんき
 思えばこれまでよくぞやってきた。
アジアめぐったトランクの傷        健   
 ますます海外へ生産拠点を移す企業。
タイムサービス開始の八百屋     あんでん
えー安いよ、安いよ。しかし国内の生活者が安
い輸入品ばかり買い出したらどうなるんだろう。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
明日の仕事を探す若者          恵紅
 「若者に希望とやる気が与えられる社会にと痛切に思います」
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
合歓の花咲く路地裏の月       塚本益美
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「遠い稲妻 」中日新聞7月25日(木)      発表4
(夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
水着とまがうファッション闊歩     やすを
 だってえ、暑いから。
老いたる姑も流れ出てくる       りつこ
 手をふって孫とお迎えです。。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
祭り囃子に足を早めて        木村正夫
浴衣着込んでさあ下駄タップ     山田登志
 下駄タップダンスってあるんだそうです。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
女子会なんだビール電車よ      柏原久子
 豊橋から。
コスプレ仲間が神社に集合        洋一
 一宮から。夏はイベント。元気ですねえ。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
今日は記念日バラの花束      小森美智子
喪服の二人黙して過ぎる       田渕義明
 それぞれのきょう。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
万年床の住み処へ帰る        エンゼル
 この地上のわが居場所へ。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ねじれずまっすぐ戦争はいや       節子
 参院選終了。ねじれ国会でなくなったからといって、暴走は許さない。
(夕暮れの駅が吐き出す人の波)
基地の移転に遠い稲妻        藤村力田
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「現役世代 」中日新聞7月18日(木)      発表3
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
雨傘日傘つゆあけ模様        田口義國
むしむしとかんかん照りのパンチですねえ。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
スマ歩スマ歩と家路を急ぐ        茶子
団地のバスに長い行列        のうさぎ
 とにかく日々を歩む。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
汗の臭いの部活のバック        由美江
化粧もとれて足もむくんで        村良
 お疲れさま。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
俺の人生これでいいのか      横山美枝子
 群衆の中にわれ思うーー。
自販機で買うアイスコーヒー       徒夢
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
スマホでチェック候補者選び    かぐやひめ
ふんばり時だぜ現役世代      トダちゃん
十年後どうなっているかがかかる選択です。 
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
原発セールスえっ!と驚き      山本尚子
並の人間の率直な感覚が票に現れるか。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
戦争できる国にしないで         八重
まだ南海に眠る友どち          鶴亀
 あの日を語ることのできる世代の思い。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
お帰りなさいと蛙の合唱       伊藤千敏
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「同じ明日が 」中日新聞7月11日(木)      発表2
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
お相撲さんも下駄を鳴らして       圭々 
名古屋の夏の風物詩です。
花壇の傍をゆるりでで虫          暁  
うーん、猛暑もやってきた!
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
浴衣の裾を気にする少女        ひろみ
雨が理由の父のお迎え        三島園子
 「小さいころ毎日父の帰りを改札口で待っていました」同じ懐かしい思い出を語る方が何人も。子供に時間のあったころですね。 
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
うちの息子が小粋な方と       中山康博
 あれあれ。
亡父に似た背を無意識に追う     岩崎尚子
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
足並み揃えオヤジ呑み屋へ        独活
お疲れさんを待ってる暖簾     武田礼子
赤提灯で呑みたい句がたくさん。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
いつまでもつか契約社員         瓜也
再出発の仕事求めて        福井さき子
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
同じ明日が来ると思って        ミモザ
 この国は繁栄してるんだ、安全だ。ホント?
どうする負債一千兆円          山彦
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ビルの隙間に浮かぶ半月        みつこ
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ICカード 」中日新聞7月4日(木)      発表1
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
ICカードがピッとお帰り       ちひろ
歩道にあふれ紫陽花の鉢        里恵  
 降るか照るか日々見上げる七月ですねえ。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
家路へ急ぐ今日生きた顔         蛙柳
雨でもまっすぐビアガーデンへ     ドロン
 これから本番。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ショートに切った髪も汗ばみ       エミ
くやしいけれど君を目で追う       ひわ
 女一匹、失恋もあり。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ダンサーになるアフターファイブ     のり
熱い夜のステップはラテンにのせて。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
妻のメールの指示で買い物      まさあき
コロッケ買ってついでにビールも    志のぶ
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ケータイが鳴り社へ戻れだと     羽下正一
 そ、そんな。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
アップダウンの株価横目に      ロッシー
 カネカネカネー強欲な市場原理にひきまわされる社会、政治でいいのか。
濃霧に沈む原子炉建屋         ふさ子
さあ、選挙!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞6月27日(木)      締切
 暑いのやら寒いのやら、とにかく梅雨になりました。付け句はもう出されましたか。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき)
ぽっつり腕に雨の大粒           藍
今回の付け句は七七句なのでお気をつけて。俳諧(連句)では、五七五句(長句)と七七句(短句)を交互に付けます。うっかり長句に長句または短句に短句を付けると「たけくらべです」といわれアウトになります。たけくらべは背丈くらべという意味ですが、『伊勢物語』や樋口一葉の『たけくらべ』が思われ情緒がある言葉ですね。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ひとつの傘を開くカップル         藍
 いろんな人を句にして登場させてください。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
エコバッグからのぞく甘夏       あづさ
 こんな着眼も。甘夏の色と香りが印象的。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
烏帽子岩まで泳ぐ約束          芙美
 あ、それぞれの人の頭の中を想像しましょ。これぞ付け句という人間文学のおもしろさ。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
花石榴咲く坂に三日月           葵  
風景句、時事句もぜひ。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。六月三十日(日)までにご投函を。しつこいけど七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞6月20日(木)      募集
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
加速つく君への思い止まらない    藤村力田 
亡き父に届けてほしい「ありがとう」   直美
 (窓をあければ心地よい風)
残された自転車は時間止めたまま     獅狼
校舎縫い聞こえるマーチ日が落ちる  石川牧子
 (窓をあければ心地よい風)
根雪解けアルプスすっきり夏姿    鈴木正子
 夏のはじめの心地よい風、ごいっしょに感じていただけましたか。付け句多数ありがとうございました。さて、つぎの宿題です。
  夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
わたしの彼がほら駆けてくる      メルモ       
 いろんなひとがいますね。あたりを見回して今どき世の中を観察。駅を出てくるひとそれぞれの頭の中も想像してみましょ。ご自分の思い出の中を探すと実感のある句ができそう。飛躍してドラマやアニメの一場面を作るのもまた楽しです。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ずんと音して花火始まる          藍
梅雨から梅雨明けの風景も。時事句もぜひ。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。六月二十三日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)