窓をあければ心地よい風 ザリ (2013/5/2~6/20)

前句   窓をあければ心地よい風  ザリ

「募集 」中日新聞6月20日(木)      募集
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
加速つく君への思い止まらない    藤村力田 
亡き父に届けてほしい「ありがとう」   直美
 (窓をあければ心地よい風)
残された自転車は時間止めたまま     獅狼
校舎縫い聞こえるマーチ日が落ちる  石川牧子
 (窓をあければ心地よい風)
根雪解けアルプスすっきり夏姿    鈴木正子
 夏のはじめの心地よい風、ごいっしょに感じていただけましたか。付け句多数ありがとうございました。さて、つぎの宿題です。
  夕暮れの駅が吐き出す人の波  みき
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
わたしの彼がほら駆けてくる      メルモ       
 いろんなひとがいますね。あたりを見回して今どき世の中を観察。駅を出てくるひとそれぞれの頭の中も想像してみましょ。ご自分の思い出の中を探すと実感のある句ができそう。飛躍してドラマやアニメの一場面を作るのもまた楽しです。
 (夕暮れの駅が吐き出す人の波)
ずんと音して花火始まる          藍
梅雨から梅雨明けの風景も。時事句もぜひ。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。六月二十三日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「スペースコロニー 」中日新聞6月13日(木)      発表5
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
腕を上げ背筋伸ばして深呼吸      拓郎命
山開き待ちかねている駒ヶ岳     伊藤紘美
 いよいよ夏来たるーーですね。
 (窓をあければ心地よい風)
朝シャンの香をただよわす介護士さん 浅井恵子
 「おはようございまーす」って明るい声で!
 (窓をあければ心地よい風)
言い過ぎたシャイな夫と気まずくて   お佐代
 かくて沈黙の夫婦の付け句多かったですよ。
ごめんねと言えなかったことメールして  村良
 ほっ。今はこのテがある。
 (窓をあければ心地よい風)
コメディーもサスペンスもなし我が人生 ゆあな
願わくはずっとずーっとこのままで   かにこ
 この一刻の価値。
 (窓をあければ心地よい風)
円安に満面笑みの大企業       影山武夫
好景気何で我が家を避けて行く     やすを
 ほんとの好景気じゃないもんですから。はあ。
 (窓をあければ心地よい風)
カラフルな!どこからどこへ熱気球 まこちゃん
ゆっくりと視界を去る。しばし夢。
 (窓をあければ心地よい風)
若葉してスペースコロニー昼さがり   タヌ公
 「ガンダム初号機発進!」
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授
「ネコあくび 」中日新聞6月6日(木)      発表4
  (窓をあければ心地よい風  ザリ)
サクランボお先と小鳥にとられたり    道子

 見つかっちゃった。
いらっしゃいアゲハの集い柚子の花   コウジ
 羽化を見る感動を今年も。
 (窓をあければ心地よい風)
新しいテーブルクロスはレモン色   ふみっち
バゲットにチーズ生ハム白ワイン   仲川昌一
 ごいっしょにランチ!ですねえ。
 (窓をあければ心地よい風)
麻のシャツ肌にカサリと羽織る朝    ひろみ
午前様起床六時の夫が行く      あんでん
 働き過ぎ! 「チョット心配です」って。
 (窓をあければ心地よい風)
ありがとう術後の経過順調で     塚本益美
 人生は時に大きな山を越えて。助け合って。
 (窓をあければ心地よい風)
探し物出てきて午後のひと休み      嘉男
干してあるレギンスだけが駆ける午後
水野千恵子
 オバケー。下半身が走ってるよー。
 (窓をあければ心地よい風)
ネコあくび呼びあった恋終わったし    節子
初恋のひとよりはがきひらりきて    奈帆美
 人間様の恋は永い。
 (窓をあければ心地よい風)
遠い日の鈴蘭のブーケパリのカフェ     香
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しょうが焼 」中日新聞5月30日(木)      発表3
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
いいにおいお隣さんはしょうが焼  ねこまんま
 夏だ。お肉だ。
プランターとまとの花の五つ六つ    由美江
 ささやかだけど大事な畑。
 (窓をあければ心地よい風)
道を行く人と二階と話す声        泰枝
どちらまで柄パンはいてお似合いよ 福井さき子
 うっふん。彼は花柄、私はチェック。
 (窓をあければ心地よい風)
きっといるわが運命のひとはどこ   青とんぼ
今度こそ照れず飾らず恋をする     三十路
 「ついお付き合いイコール結婚へとガチガチになっている自分です。力を抜かなくては」
 (窓をあければ心地よい風)
昼電車ふわふわミニスカ重ね着て    さなえ
スマートフォン持ってるあたしグラマラス みゆき
 情報機器もおしゃれのアイテムなんですね。
 (窓をあければ心地よい風)
老いふたり昨夜のけんか消去され    日美歌
 「えーと何だっけ」「何だっけ」これ忘却の幸。
 (窓をあければ心地よい風)
ヴェネチアの水の匂いと歌声と      幸三
 私たちの旅もグローバル。
市場へと見知らぬ果実運ぶ舟     えこりん
 (窓をあければ心地よい風)
TPP素知らぬ顔で稲そよぐ     農耕民族
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「声変り 」中日新聞5月23日(木)      発表2
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
裏山のナンジャモンジャが雪のごと  ハッピー
 新緑に似合う真っ白な花。もう咲きましたか。
筍がつんつん伸びて背をこして      山太
 「よそ様の竹林。いつ掘って食べるのか毎日見ていますが、じき皮を脱いで竹になりそう」
 (窓をあければ心地よい風)
寝返りを初めて打った吾子の顔    石田吉保
 にんげんの子もすくすく。
あどけなさ少し残して声変り      ふきよ
 (窓をあければ心地よい風)
思い切り短く髪を切りに行こ        暁
 さっぱり。すっぱり。
もういいの捨てられたけど捨てちゃおう   逍
二回目の恋はしないと言ったけど     まみ
しますよーだ。これから百回でも。
 (窓をあければ心地よい風)
見えるかなほらお父さん柿若葉    ウッチー
 「朝一番にベッドから老父の好きな庭の柿の緑を見せます。今日は一口食がすすみました」
 (窓をあければ心地よい風)
砲撃や灯火管制消え去って    みの虫アッパ
 そんな日がこの国にもあった。
平和ってどっかで聞いた言葉だなあ    茶子
 忘れてはいけない。「日本の未来を守るなら、今でしょ!」と茶子さんからのメッセージ。
 (窓をあければ心地よい風)
罌粟開く鎧の如き鞘を脱ぎ        恵紅
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「まだ途中 」中日新聞5月16日(木)      発表1
 (窓をあければ心地よい風     ザリ)
ハイウエイサービスエリアに燕の巣  中山康博
助手席の君ひざ小僧がチラと見え    ちひろ
 連休はすっとんでいってしまいましたね。
摘みし花コップに残し孫帰る      ゆきえ
 萎れた花の匂い。かくして春もゆく。
 (窓をあければ心地よい風)
葉桜に心のギア入れ替える       ふさ子
 いろいろ本番です。
久々に掃除機出して頑張るか     ばあばあ
 ふふ。毎朝掃除してる人、手をあげて!
希望への早期退職一日目       羽下正一
 (窓をあければ心地よい風)
目に青葉山ホトトギス俺孤独       利久
 お互い人間の本然なり。ま、カツオで一杯いきますか。
 (窓をあければ心地よい風)
歓声の先に田植えの子どもたち   嶺澤由美子
 「山間の小さな小学校。全校で二十名です」
夢叶う田舎の暮らしへびもいた    くゆたん
 キャホ。
 (窓をあければ心地よい風)
暗黒とよばれしものに満たされて    あるて
ダークマター、暗黒物質は、宇宙の片隅この初夏の輝く空間も埋めているかも。
 (窓をあければ心地よい風)
長く生き生きてる今もまだ途中    大畑杉子
 私たちみんな途中ですねえ。何歳でも。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞5月9日(木)      締切
 (窓をあければ心地よい風  ザリ)
新緑のトンネルもうすぐ見える海    あづさ
 付け句はもう出されましたか。GWの旅の記憶もぜひ句にしてください。
 (窓をあければ心地よい風) 
パン焼けてそろそろ彼を起こさなきゃ  モニカ
 さあ、日常の開始。
ひま人と近所の人に認知され       天球
 ふふ。いろんな角度があるものですね。
ところで「俳諧かるた」なるものが出ました。
芭蕉、蕪村、一茶門の俳諧の発句(五七五句)を詠みあげて、それに付けた脇(七七句)の札をとる。百人一首と似てますが、伝統付け合いを味わうまさに風雅です。(奧野かるた店税別2190円)
 古池やかはづ飛こむ水の音       芭蕉
  芦のわか葉にかかる蜘の巣      其角
ほか超有名な句の付け句を知るのも楽しみ。
 市中は物の匂ひや夏の月        凡兆
  あつしあつしと門々の声       芭蕉   
この付け合いは二句とも、以前にこの欄で前句にしたので付けたかたもあるでしょう。さて2013年夏に戻って、レッツ付け句!
 (窓をあければ心地よい風)
青とかげ尻尾に未練残し逃げ        葵 
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。五月十二日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞5月2日(木)      募集
 (日がな一日花のちる也   一茶)
休日はリハビリもなし日溜りに     お美津
親子過疎音沙汰のない日が暮れる    奥村晋
 (日がな一日花の散る也)
こもり居の日を数えつつ老いてゆく    暉子
イヤホンで二台のテレビ老いふたり  古田耕司
 (日がな一日花の散る也)
面白く生きると決めてひとり旅    くまさん 
一茶さんと見た現代の桜、いかがでしたか。うつろう花の前句には、ご高齢のかたの付け句も多く、ひとり居もふたり居もしみじみ拝読しました。ご紹介しきれなかった佳句を手元に惜しみつつ、さて、次回宿題です。もう初夏ですね。
   窓をあければ心地よい風  ザリ
 この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (窓をあければ心地よい風)
お向かいのべランダパジャマと罌粟の花  藍    
いまや新緑の町、村、野山。生きとし生けるものの営みを句に。外国など旅行先の風景もぜひ。
 (窓をあければ心地よい風) 
もしかして愛になるかなこの鼓動     芙美
 恋句、時事句もどうぞ。ご自分の経験だけでなく、物語や場面をのびのび想像して。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。五月十二日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)