なぜかこの世に人と生まれて 合 (2013/1/24~3/14)

前句   なぜかこの世に人と生まれて   合

「募集 」中日新聞3月14日(木)      募集
 (なぜかこの世に人と生まれて  合)
虫さんと葉っぱといっしょに露天風呂  秦米子
ぽっかりと雲からのぞく淡い月    久米美帆
なつかしい。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
ありがとうあなたに会えたその奇跡  宮下千佳
争いと平和の狭間のエゴイズム    星川泰斗
 トリは頼もしい若者たちです。今回は二高校の生徒さんを加えて、作者上限年齢百三歳。多彩な視点の付け句をありがとうございました。  
 さて次回宿題前句は、二百年さかのぼり、小林一茶さんの連句から、花の句を拝借しましょ。
 (日がな一日花のちる也   一茶)
 この七七句に五七五句を付けてみませんか。江
戸時代に増して桜だらけの日本列島ですよね。
 (日がな一日花のちる也)
逆上がりまだできぬ子に春の風     葵
 桜の散る日の暮らしをどうぞ。お花見風景でも。楽しい、かなしい人間模様も。恋句もぜひ。
 (日がな一日花のちる也)
工場はアームロボットフル稼働     藍
 まこと超多忙な社会。この国隅々の有様を見つめて句にしてください。時事句歓迎。SFでも。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。三月二十四日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「アザラシで 」中日新聞3月7日(木)      発表5
 (なぜかこの世に人と生まれて  合)
アザラシであれば流氷に乗っかって   眠り猫
たんぽぽの種なら空中飛行して    さわたん
 夢はどこまでも。春。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
恋をした失恋もした離婚した     宮田雅弘 
この地上に僅かな時間あったこと。
貴女から手紙来てただ嬉しさよ       幸
いま昇る月を見よとの電話あり      燈霞
 もうふっくらとおぼろ月かも。 
 (なぜかこの世に人と生まれて)
未知数のアベノミクスに夢託す   なずな主婦 
 脱原発は未知といわせない。
ぞろぞろとみんなで渡って右折する    寒太
 (なぜかこの世に人と生まれて)
苦労また苦労苦労で苦苦苦の苦     ジゲン
 これまでこう思ったことのある人、この指とまれ。くくく、お仲間だらけですね。
再会をするためだった長い道       泰枝
介護する老父がボソッといい娘だよ  ウッチー
 「聞きにくい声なのにはっきり聞こえたよ」
こつこつとまいりましょ。
がら空きのコンビニ出れば麦穂星 岩津志乃ぶ
 麦穂星は乙女座の主星スピカ。春の星。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
花びらを拾う命を拾うごと       恵紅
 もうじき花がいっぱいになりますねえ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「円天井 」中日新聞2月28日(木)      発表4
 (なぜかこの世に人と生まれて  合)
一㎝芽が出てきましたチューリップ  近藤富子
 待ってた、待ってた。
蕗の薹じゅっと揚げればほろ苦く   パパやん
 「男の料理です」って。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
前世は地中海の猫よかったにゃあ      幸
 猫暮らしはみんなの夢なんですねえ。青い海、
白壁にお昼寝ですか。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
イメージを変えて挑んだコンタクト  田平大樹
ときめいて困った君はいくつ下     ミモザ
 (なぜかこの世に人と生まれて)
夫という髭面男をじっと見る      りんご
 こは何者? 
ささやかな幸せ見てきた皺の数     たんき
 (なぜかこの世に人と生まれて)
鍵盤をなめらかに弾く心地よさ   ピーちゃん
 楽器を作った生きものってーーいい。
円天井パイプオルガン鳴り響き      麗那
 いまも世界中で鳴っている。    
 (なぜかこの世に人と生まれて)
望郷の思いをくだくシーベルト    石田吉保
 3,11からもう二年に。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
過去探し蝶の舞いゆく津波跡       乱麻
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「うどん打つ 」中日新聞2月21日(木)      発表3
 (なぜかこの世に人と生まれて     合)
春よこい孫の嫁入り菜花咲く     小林きね
メジロくん今年のみかんはおいしいかい  ベス

庭の餌台にはひよどりも椋鳥もきて。
杉花粉俺の鼻には過ぎ花粉       やすを
 フワーックション。これも春。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
携帯に慣れて来たのにスマフォとは   ポンタ
つぶやくとめぐりめぐってややこしく   春缶
 ツイッター社会にも適応せねばー。
ゲーム機に夢中の彼はいま二歳    塚本益美
 未来人です。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
仕事して食べて寝てまた仕事して   松尾場所
食べて寝て仕事してまた食べて寝て     々
 結局どっちでしょう。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
孫を連れ娘出戻るにぎやかさ    かぐやひめ
遺伝子も偉業ものこせず生きてます   ひろみ
 こうして今、存在するだけでよしなんですよ。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
星を読むフンコロガシの偉大さよ    ゆう子
 「フンコロガシが糞をまっすぐ転がすのに天の川を目印にしているのだそうです」昆虫さんもなかなかやること!
 (なぜかこの世に人と生まれて)
うどん打つ俳句の番組聞きながら     風歩
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ポップコーン 」中日新聞2月14日(木)      発表2
 (なぜかこの世に人と生まれて     合)
田圃道キツネとニアミス霜白し    中山康博
 お互いそおっとこの里に住んでいようね。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
枯草の中に見つけた犬ふぐり      うさぎ
 ああ、この青色。とうとう春ですよ。 
 (なぜかこの世に人と生まれて)
義理でよい僕に下さいチョコレート    茂爺
皆本命古稀を過ぎてのチョコ配り     めぐ
 クッキーのお返しなんてしないでいいから。ハートの天使が通り過ぎたと思って!
下心ラッピングしてバレンタイン    みゆき
 極東の国の騒ぎに西の聖者はなんと仰せやら。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
八十になっても私まだ貯金     田螺・N生
 お二人が全く同じ句でした。ええ、同感の方多そう。老後の社会保障が信じられない国だから。
 (なぜかこの世に人と生まれて) 
パズル解け我が心中に誇りあり    近藤スズ
ポップコーン食べつつ泣いて見る映画 ふみっち
 いいんです、これが。。 
 (なぜかこの世に人と生まれて)
神様がゲノムをちょっとミスコピー みの虫アッパ
 刻一刻の確率をすりぬけて存在する私たち。 
 (なぜかこの世に人と生まれて)
シリウスの瞬き見つめ息を吐く    三島園子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「端っこに 」中日新聞2月7日(木)      発表1
(なぜかこの世に人と生まれて  合)
ぬくぬくの夢から覚める朝五時半   植野里美
今日もまた眠い目こすり行ってきます 磯貝彩香
 寒さ、もう一息ですね。
(なぜかこの世に人と生まれて)
足をつく丸い地球の端っこに     川崎千春
 そうそう。みんなそれぞれに。
(なぜかこの世に人と生まれて)
じんじんと指のしもやけ赤く燃え  藤村由布子
感じる冬。
白い息私の中のあたたかさ      梅田果奈
 感じるわが身! これが命かも。
(なぜかこの世に人と生まれて)
吹く風に揺れる草木と君と僕     大島勇稀
年下の君への恋はハニーレモン      村良
 こんな時間を過ごすことができたら。
(なぜかこの世に人と生まれて)
まさか古稀あっという間に時すぎて     花
老年は老いやすく学成り難し       利奈
 間違ってない。励みましょ。
何処にいる返事してくれコラ眼鏡   伊藤いつ
(なぜかこの世に人と生まれて)
原発を抱いて活断層の上       エンゼル
 巨大地震ねえ。今日はたぶん起こらないんじゃ
ないですか。たぶんあしたも。たぶんーー。
本当に知的生命体ですか        タヌ公
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞1月31日(木)      締切
 付け句はもうお出しになりましたか。
 (なぜかこの世に人と生まれて     合)
恋猫の泥足拭くにひざまづき       ぐー
「飼ってるんだか、お世話させていただいてるんだか」まだ寒いけれど猫たちの声に春近しですね。ギャオ、ドタドタ。
つけまつげぱちぱちぱちと二枚付け     葵
 もとのまつげの上に二枚三枚とつけるんですって。まぶたが重いらしいですよ。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
神ならぬ身で神の火を御しかねて    あづさ
「神の火は原子力のことです」と。
 一つの前句に各自のそれぞれの思い。でもひと
つの脳も多様な想像の可能性をもっています。句
数制限はしていませんので、暮らし、恋、時事な
ど、ご自由に頭の体操をしてみてください。
あ、第一便飛来です。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
新聞紙丸めゴキブリ追っている    岡田銕夫
 ふふ。つくづくおもしろいヒトの姿。岡田さん90才になられたと。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
手をつなぎ爺と婆とが眠る夜      中田滋
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。二月三日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞1月24日(木)      募集
 (凩の街それぞれの窓明かり 唯)
小さなミトンはピンクのモヘア      更紗
杖で廊下を歩くリハビリ         太助

 知らぬ同士の窓明かりだけれど、同じ時間を生きているなかまたち。たった今も。
     歳旦三つ物
元旦へ地球じはりと回りけり        藍
 屠蘇で酔ってもをれぬ御時世       々
音合わせオペラボックスざわめきて     々   
 大変おくれてのご挨拶ですみません。今年も付け句をよろしくお願いします。さて、エンジン始動。お待ちかね。次の宿題です。
 なぜかこの世に人と生まれて   合
 この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
足の爪パチンと切れば心地よく     芙美
 こうして今存在することの不思議な実感をどうぞ。喜怒哀楽いろいろ付きますね。もちろん経験だけでなく、ほかの人を登場させるのもよし。
 (なぜかこの世に人と生まれて)
とめどなく白梅の散る夕映えに      藍
 目の前にある自然への感動も。発表は三月までですから春の句も。恋句、時事句、爆笑句も。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。二月三日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)