大切なものがだんだん見えてくる 氷心 (2013/12/16~3/6)

前句   大切なものがだんだん見えてくる 氷心

「募集 」中日新聞3月6日(木)      募集
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
ばあちゃん作る稲荷寿司好き      志のぶ
鏡の中の皺に乾杯          柏原久子
 (大切なものがだんだん見えてくる)
一・一七 三・一一           みゆき
「ミナマタ」「フクシマ」「オキナワ」のこと 幸
(大切なものがだんだん見えてくる)
集大成の滑りが誇り           かず 
 メダルだけではなかった感動のオリンピックでしたね。たくさんの付け句ご応募ありがとうございました。さてつぎの宿題です。
   夢からさめて辺り見まわす   霧男
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (夢からさめて辺り見まわす)
あんれまあ俺は首相じゃなかったか   玲          
ハハ、でかい夢をどうぞ。あ、さめてよかった夢もありますね。自由に想像してドラマ作り。恋句も楽しんでください。もちろんご自分の経験を思い出してぜひ実感のある句も。鋭い時事句も期待しています。
 (夢からさめて辺り見まわす)
花びらがひらひら宴はたけなわに    藍 
付け句発表は4月にかかりますので、春の句もぜひ。付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。十六日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「電子マネー 」中日新聞2月27日(木)      発表5
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
土がもぞもぞ啓蟄近し          辻利
 春。虫さんたちも地上へ出る用意です。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
雪国からの短いメール        ふみっち
クリックひとつで消えたアドレス     更紗
 連絡できなくなってから知る思い。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
あらまあ貴方そこにいたのね       ひわ
 「いてわるいか」「いえ、あの、よかったの」
けんか停戦頼り頼られ       ドラジージ
 (大切なものがだんだん見えてくる)
脛かじる癖ここらで卒業        トミー
親も大変な世の中を生きてるようだし。
スイッチ入ればアクティブな僕     ミモザ
 スタート。今でしょ!
 (大切なものがだんだん見えてくる)
消費税アップお釣りの一円       奥村晋
電子マネーか一円玉か      みの虫アッパ
 IT時代が次々に生み出す便利さと問題と。未来のお金はどうなるか。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
紙と鉛筆消しゴムとお茶         信夫
手書きはストレスを癒やすとか。木の机に鉛筆削りのナイフもほしいなあ。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
口ごたえもする孫は六歳       塚本益美
     (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「女は度胸 」中日新聞2月20日(木)      発表4
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
雪解け水に新芽出す畑         絵日傘
 寒いですねえ。はーるよこい。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
生前父が植えし球根        やっと亀
「母の好きだったスノードロップを植えた父も暮れに急逝」と。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
偶然会って眠れぬ夜に           惠
女は度胸春の渦潮             逍      
 よっしゃ。GO!
 (大切なものがだんだん見えてくる)
仲間と演奏三十五年         ゴーシュ
 「トラブルもあったけど今はただ感謝のみ」
地元の神楽継いで三年         ゆたか
 父祖が伝えてきたものを次世代へ。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
転勤辞令寝耳に水で         伊藤紘美
 自分はどこにいるのか。組織と仕事と家庭と。
引っ越しの日の空っぽの部屋      草笛奏
 (大切なものがだんだん見えてくる)
白粥の味梅干しの滋味         ひろみ
 この国に生まれてよかったなあ。
家庭菜園捨てるものなし         旦喜
工場栽培レタス青々           三郎
 やや、土がいらない農業経営が始まっている。
TPPにゆれる島国            嘉男

(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「永きおしゃべり 」中日新聞2月13日(木)      発表3
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
トーストこんがり薫るコーヒー     とよこ
朝のみそ汁おはようの声       ゆきママ
 なんでもないような今。
 (大切なものがだんだん見えてくる) 
自分で爪を切れる幸せ        みきっぺ
 「長い入院生活でした。七転八倒して」
 (大切なものがだんだん見えてくる)
ぼけた母との格闘のあと         はる
「ききわけのない母についがみがみ。母も負けじと言い返す。
どなりあいになりそうになると母の方から話題を変える。そんな時思ういろいろ」。
ぼけた父さん人気者です       近藤富子
 当人にしかわからない老いの深淵。   
落ちこんだ日は犬がよりそう      眠り猫 
 (大切なものがだんだん見えてくる)
釈迦涅槃後の永きおしゃべり        涼
 「入滅後残された八万の法蔵―経典類は釈迦の説法なのです」と。
かくて二千五百年余。
探し出したり般若心経        寺田政裕
悟りたいですねえ。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
還らない歯をまだ恋しがり        節子
ぬけきれぬ執着。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
シンクロトロン速度最大       石田吉保
 人類の壮大な実験。先進科学はまっしぐら。
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「瞳の中に 」中日新聞2月6日(木)      発表2
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
土手の土割る蕗の薹たち       のうさぎ
 春のしらせですねー。天ぷらにしましたか。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
つっかえている抽出しの奥       恵美子
赴任の手紙あれは告白         まりあ
 「遠回しで気づかず、半年繰り返し読みついに
広島へ追いかけて行った私です。まにあった!」
 (大切なものがだんだん見えてくる)
瞳の中に僕がいるはず        くゆたん
「でしょ?」図々しい。
白馬じゃなくて軽トラだった    なずな主婦
 乗り物はともかく、私の王子様。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
ケンカのあとでこたつにもぐり     りんご
 くすんくすん。
ただそばに居て話を聞いて        泰枝
 (大切なものがだんだん見えてくる)
老眼鏡のレンズ通して          花折
 「最近とうとう老眼に」おお人生本番ですね。
古稀喜寿傘寿米寿に白寿       仲川昌一
 老いることじたいが各自にとって初めての体験
の連続なのですが、さあ、これからの変転の社会
をどう見つめ、対応してゆくか。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
さざんか掘られ除染進行       加藤晃弘
がれきの下のストロンチウム      かにこ
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「居ても立っても 」中日新聞1月30日(木)      発表1
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
金色みかん実る故郷へ         ららら 
冬の輝きですねえ。
干し芋の笊冬晴れに揺れ       大畑杉子
 懐かしいおやつ。手作り一番。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
ネギの下から牛肉チラリ        鍋奉行
うっほ。ぐつぐつ霜降り。イタダキよ。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
携帯こわれ静けさ戻り         ドロン
 誰にも呼ばれないでひとり。人間関係の通信網を脱した自由! 
 (大切なものがだんだん見えてくる)
団地の階段駈ける夕暮れ         啓子
 「職場から車で一時間。駐車場からひた走り二歳の娘(双子)の待つ四階へ」母さん奮闘。
ただいまの声かわりない日々       伊吹
寒いゆうぐれお帰りの声         澄代 
ただいまとお帰りの付け句がたくさんですよ。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
あの原爆も原発も核         橋本悟郎
居ても立ってもいられぬ殿は     ウッチー
 いざ出陣。世界が見ていると思います。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
退院の窓新芽ふくらむ          堺守
 生きる。
朝日を浴びるぼくの細胞         芙蓉
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞1月23日(木)      締切
寒いですねえ。宿題付け句はできましたか。
 (大切なものがだんだん見えてくる  氷心)
落とした財布雪の中から        あづさ  
 新潟発ですよ。「大雪の翌日の駐車場。雪が溶けてきたらなんかあるぞ。茶色い皮のーーあ、昨日から探していた私の財布。車を降りたとき落としたんですね。まさかの資産凍結でした」付け句はリアルなご経験でも、想像でも。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
後ろ姿のゆるぎなき父           葵
 後ろ姿が教えてくれるもの。かくありたい関係ですね。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
庭の隅っこ水仙の群            藍
この冬もひっそりと咲いています。永い年月に少しずつ増えました。
おっと、第一便到着です。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
妻と出会えた赴任の愛知       羽下正一
 今更に思う来し方。
 (大切なものがだんだん見えてくる)
普段着のまま月曜の朝        橋本律雄
 どこにも行かない。それもよしです。
付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。二十六日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞12月16日(木)      募集
(いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
病院を三軒回って今帰宅       天野收一
ガンダムのプラモが僕の同居人      まま

 「息子のじゃなくて主人のです」
散乱もまた良し絵の具筆画帳     石川牧子
(いつになっても片付かぬ部屋)
スヌードを巻いて女優となりて去る    茶子 
 さて遅ればせながらこのコーナーも初遊び。今年も刻々と現世を生きる私たちのささやかな、ときに激しい思いを語り合いましょう。
お待ちかねの宿題前句です。
大切なものがだんだん見えてくる 氷心
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
  (大切なものがだんだん見えてくる)
逢いたいというメール着信        灰匙
 短い七七句でも前句と合わせるとドラマができますね。主人公、場面など自由にご想像を。
(大切なものがだんだん見えてくる)
泥付き大根洗うキッチン          藍
 あなたの大切なものって本当は何なのか。付け句しながら考えるひとときを楽しんでください。時事句、大笑い句もどうぞ。冬の句も春近い句も。付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。一月二十六日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)