いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん (2013/11/14~12/16)

前句   いつになっても片付かぬ部屋  おなすさん

「募集 」中日新聞12月16日(木)      募集
(いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
病院を三軒回って今帰宅       天野收一
ガンダムのプラモが僕の同居人      まま

 「息子のじゃなくて主人のです」
散乱もまた良し絵の具筆画帳     石川牧子
(いつになっても片付かぬ部屋)
スヌードを巻いて女優となりて去る    茶子 
 さて遅ればせながらこのコーナーも初遊び。今年も刻々と現世を生きる私たちのささやかな、ときに激しい思いを語り合いましょう。
お待ちかねの宿題前句です。
大切なものがだんだん見えてくる 氷心
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
  (大切なものがだんだん見えてくる)
逢いたいというメール着信        灰匙
 短い七七句でも前句と合わせるとドラマができますね。主人公、場面など自由にご想像を。
(大切なものがだんだん見えてくる)
泥付き大根洗うキッチン          藍
 あなたの大切なものって本当は何なのか。付け句しながら考えるひとときを楽しんでください。時事句、大笑い句もどうぞ。冬の句も春近い句も。付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。一月二十六日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「冬銀河 」中日新聞12月19日(木)      発表4
 (いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
断捨離の本も数冊邪魔になり      ドロン
5分前見つけたラジオ聴きながら    いえな

 ようやくお掃除開始です!
掃除機がためらいもなく差し歯吸う  近藤スズ
 わあー、なんてもの落っことしとくんですか。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
大掃除しなくてもくるお正月    けいこっぴ
 「子供の時はきれいにしないと来ないと思ってました。最近は大丈夫(?)ときづいて」
 (いつになっても片付かぬ部屋)
アルバムを出して広げてまた仕舞う   ジゲン
 一番捨てにくいものですね。
整理する手紙の束を読み耽り       直美
 (いつになっても片付かぬ部屋)
いずれ来る別れを思う冬銀河      眠り猫
 時空のはてのなつかしいこと。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
汚染土はシートにくるまれ仮置きに  山本尚子
雪暗に魔殿のごとく在る建屋      ふさ子
 秘密保護法成立で見た国民の声無視の政治のこれからを強く案じつつゆく年です。
今年も付け句して遊んで下さったかたがた、読者の皆様ありがとうございました。この欄は年末年始の休みをはさみ、次回は一月十六日(木)に付け句募集スタートです。どうぞお元気で。きっとよい年にしましょうね。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「俺の城 」中日新聞12月12日(木)      発表3
 (いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
千両が木陰で赤く色づいて     福井さき子
 せわしい年末の今日もわが生きる日。
紅玉と洋梨夢中で仕込むジャム     ひろみ
 (いつになっても片付かぬ部屋)
この襟のレースを取れば着られるわ   ちひろ
もったいないこれで良いのだ俺の城   むゆう
そうですとも。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
思い出と一緒に暮らすつもりなの  竹村日出子
表札に亡き夫の名が二十年        泰枝
 (いつになっても片付かぬ部屋)
人生の半分以上物探し           暁
確かに物だらけなのよねえ。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
少しずつ増税前に買いだめし      星さん
物欲に翻弄されている暮らし     エンゼル
通販がよく売れるのは深夜とか    近藤富子
 この地上に無数の人々が黙々とインターネットに向かい買い物をしている夜中――あなたも?。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
今は亡き地球最後の人の家        徒夢
 おや、ロボットがパソコンで買い物してるーなんちゃって。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
不都合は核も偽装もみな機密   みの虫アッパ
 十二月六日特定秘密保護法成立。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「おどり出てたる 」中日新聞12月5日(木)      発表2
 (いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
色づいた木々はマチスの絵のようで     惠
 美しい季節もすぎる。やることいっぱい。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
家族増え思い出が増え物も増え     ミモザ
もったいない振り切る勇気三年目   吉田和美
「三年使ってない物は処分するのが鉄則」だそうです。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
ワンルーム息子を訪ねぬわけがある  どんどこ
 「お見せしたいーいえ、したくない光景です」
まだ二畳食う寝るところ空いている   唯いま
 (いつになっても片付かぬ部屋)
カオスより生まれくるものきっとある  りんご
 カオス! 混沌ときましたか。立派な弁解。
芸術だ!トリエンナーレ出してみよ  しゅぴZ
 (いつになっても片付かぬ部屋)
知らぬ間におどり出でたる秘密法      武
隠す物多くて保護法急ぎたり       ひわ
 多くの反対世論、前日の公聴会の意見も無視しての強行採決。
国会の多数派が本性を現したおそろしさ。
国民の権利守らず「国」守る    かぐやひめ
 昔、そういう時代が確かにあったんです。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
ベランダにアイソン彗星追う夜明け 水野千恵子
 天文ファンをときめかせ、え、消えた?
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ナイナイよ 」中日新聞11月28日(木)      発表1
 (いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
マジやばい!私のことねもしかして  三島園子
――と思いませんでした?
 (いつになっても片付かぬ部屋)
今日もまたおむつのお尻を追いかけて   水丸
 はいはいしてるお尻。「幸せの追いかけっこと思ってます」って。親の至福のころ。
「ナイナイよ」入れたそばから出す二歳  葉桜
 ナイナイという幼児語の可愛いこと。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
もう九年結婚指輪紛失中        ららら         
「絶対に寝室のどこかに落ちてるはずなので、そのうち徹底捜索します」―そのうちそのうちね。 
 (いつになっても片付かぬ部屋)
引き出しの奧につまった苦い過去   くゆたん
あのときに口げんかさえしなければ   やすを
 これは心の部屋。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
いいじゃん!同じレベルの彼さがす  ウッチー
 「心配ご無用!」と。人生居直りじゃ。。
娘どもそれで良いから嫁にゆけ   とだちゃん
 (いつになっても片付かぬ部屋)
今でしょう走る木曽路の山燃ゆる    道子
 行くぞドライブ。あとはなんとか。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
安部さんよ何処に仕舞うの核のごみ 松浦邦子
これ、なんとかなる?
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞11月21日(木)      締切
 (いつになっても片付かぬ部屋 おなすさん)
はじめてのおうちデートが迫ってる   あづさ
 彼に見られちゃう、たいへん! 「おうちデート」とは可愛い言い方ですね。。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
病院に猫連れてゆく冬の星         藍
 これは私めの片付かぬ言い訳にて。飛ぶように過ぎる日々。時事句、師走の句もくださいな。
 そうそう、今年も三日に豊田市で「とよた連句まつり」開催。ご来会のこの欄の作者、読者の皆さんが歌仙、半歌仙から、現代形式、言葉遊びとさまざまの座を渡り歩き、付け句三昧でした。「付け句とは何か知りたかった」「これは前の句とどう付きますか」とご質問も多く、お答え側も勉強した一日でした。毎年恒例になりつつある連句遊び「妖怪尽くし連句14」から少しご紹介。
6  蛍に間違えられた火の玉     ドリー
7 あな涼し月を背に飛ぶ吸血鬼      奏    
8  私ってきれい?口裂け女  みの虫アッパ   
9 伊右衛門はお茶ではないよお岩さん 喜感謝
おっと第一便到着です。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
父さんがまた借りてきたDVD     とび介
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。十一月二十四日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞11月14日(木)      募集
 (知り合ってからたった10分 けい)
胸さわぎDNAにあやつられ     ハッピー
もう決めた一緒になろうで50年     節子
 恋愛世代も見合い世代も結婚はしょせん賭け!
湯気の中夫の愚痴と孫ばなし       めぐ
ハハ、かくて終局の幸せ。ところで今回は秋の恒例全国高校生付け句コンクールの句が一万六千余句(七千余人)参加。この欄にもフレッシュないまどきの句をだいぶご紹介しました。。
 (知り合ってからたった10分)
海よりもあなたのほうがまぶしくて  ありぽん
僕たちは同じ時間を走ってた      りっけ
まぶしいあのころ。年をとっても忘れないで!
さて、次回宿題前句ですよ。
 いつになっても片付かぬ部屋  おなすさん
 この前句に五七五句を付けてみませんか。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
出不精の犬にソファーをのっとられ     葵    
 もう年末。お忙しい日々のそれぞれの事情、お部屋のありさまなどどうぞ。想像たくましく他人様のこと、世のありさま、時事句、恋句も。
 (いつになっても片付かぬ部屋)
颯爽と出てゆく赤いハイヒール     にゃん
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。十一月二十四日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)