真っ白な雲暑くなりそう ゆき (2012/7/26~9/14)

前句   真っ白な雲暑くなりそう     ゆき

「募集 」中日新聞9月14日(木)      募集
 (真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
ジョギングも喘ぎ喘ぎの3キロです  鈴木正子
面をとる流れる汗の武道館        廻利
 (真っ白な雲暑くなりそう)
まっ黒な戦火のなかを港まで     川原清子  
 「六歳の時母に手をひかれ、頭巾を防火用水にしっかり浸けて火の中を逃げました。その後今は亡き父の故郷に疎開」――夏となれば甦る敗戦、焼け跡での記憶の句をずいぶんいただきました。 
母に告ぐ小梅10キロ漬けしこと  石田喜美子――受け継ぐ、伝えることが生きることかも。
今回も多数御投句多謝。さて、次の前句です。
  ふたりになって胸がどきどき  ドリー
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (ふたりになって胸がどきどき)
カーブする電車吊革揺れている     藍
 場所を付けるだけで恋の場面になりますね。もちろん「ふたり」の設定しだいで。恋以外の場面もいろいろできます。ご自分の経験を句にしてもよし。想像たくましくドラマ作りも楽しんで。
 (ふたりになって胸がどきどき)
ひょっとして党首候補の要請か      克人 
 発表は十月いっぱいなので秋の自然もぜひとりいれて。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。九月二十三日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「をんな坂 」中日新聞9月7日(木)      発表5
 (真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
パラソルにロング手袋サングラス   仲川昌一
白足袋と日がさで登るをんな坂     みゆき
残暑の日射しの一段と強いこと。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
まいったな上司の機嫌いまひとつ   羽下正一
 一日が思いやられる。
坂の上木陰に君の背を見つけ       徒夢
 ボクの心の支え。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
涼しさはざるそば一つサラダつけ   鈴木哲也
冬瓜の葛煮にえびを添えました    塚本益美
さあ、夏ばて回復しなくっちゃ。。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
体拭く力込めたら父よろけ      大畑杉子
 おっとっと。気を付けて。
腰と肩関節痛もない今朝は        旦喜
痛くない日をしあわせっていうんですよね。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
じじばばの裸は誰も振り向かず     奥村晋
 でも、カーテンはしめましょう。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
瓦礫処理線量計を頼りとし      中野陽介
 一年半たってますます問題山積。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
海光る大飯原発建物群          万両
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「蛙 」中日新聞8月30日(木)      発表4
(真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
朝顔の水やり待っている蛙      岩崎尚子
 シャワーはいいねえ、けろけろ。
(真っ白な雲暑くなりそう)
だるそうにプール帰りの小学生   なずな主婦
仮面ライダー握手会へと並ぶ子等    ふさ子
 夏休みが終わっちゃうよー。。
(真っ白な雲暑くなりそう)
背中にはビキニラインがくっきりと    瓜也
いつまでも待つといったね夏のうみ    ミミ
 もう思い出になってしまう。
(真っ白な雲暑くなりそう)
古事記から千三百年あおによし     後高爺
 夏の旅は古代まで。
飛び乗った特急電車逆方面       ひろみ
 印象に残るのはとかく失敗ハップニングで。
(真っ白な雲暑くなりそう)
卓袱台を叩き夫は家を出た     佐藤智恵子
 そういえば、昔こんなこともあったっけ。
もういいの何があったか忘れたわ   みきっぺ
 む。長生きの奥義ね。
(真っ白な雲暑くなりそう)
亡夫眠る墓前に供ふ缶ビール     小林きね
表札がまだ生きている三回忌     岡田銕夫
(真っ白な雲暑くなりそう)
たっぷりの氷に熱いダージリン     
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「腹ぺこで 」中日新聞8月23日(木)      発表3
 (真っ白な雲暑くなりそう     ゆき)
宮の森耳をつきさす蝉豪雨        葉桜

 今年は時雨どころじゃないそうで。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
甲子園カチ割氷倍つくる          武
子が帰省スマホの指導申し出る     あけみ
列島移動の夏もそろそろ峠越えですね。さて、
 (真っ白な雲暑くなりそう)
ばっさりとショートカットで若返る    ベス
夏メイク汗でくずれてすっぴんに    三十路
 なんのなんの。本然こそ美!
 (真っ白な雲暑くなりそう)
サンダルの鼻緒焼けつくプール番    ちょい
お母さん今日は小言を言わないで  福井さき子
 ――きょうだいげんかもなしよ。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
新卒の営業マンはひた歩き        更紗
 「子どもの姿さえ見えない日中の住宅街。汗だくで戸別訪問してる
営業マンさん。スーツ姿もぎこちなく」ご苦労さんって見てる人がいるよー!
 (真っ白な雲暑くなりそう)
工場は毎日塩飴配られて       近藤富子
 今年の熱中症対策だそうです。「社員食堂には梅干しも置いてあります」って。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
腹ぺこで訪ねた蕎麦や定休日     お佐代
 閉まった店の前で茫と立つ。ああ、夏の空。
  (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「墨涼し 」中日新聞8月16日(木)      発表2
 (真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
ナストマトゴーヤにピーマンオクラ採れ 拓郎命
 「夏野菜に感謝。胡瓜はもう終わりです」
 (真っ白な雲暑くなりそう)
観た?観たよ!眠い?眠いと日本中  あんでん
節電の夏を忘れるメダルラッシュ  アッチャン
興奮した真夏の夜の夢も過ぎて。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
水を張るビニールプールの乱反射     佳代
水遊び娘五さいはビキニなり     柏原久子
 さあ、子どもたちの夏。。
今日もまたセミと自転車がボクを呼ぶ   流星
 「三歳(とゼロ歳)は暑さ関係なく外へ。私は鰯を煮て
86歳のおばあちゃんにおすそわけ」ですって。青魚って体にいいんですよね。
夏と書く小学生の墨涼し       加藤晃弘
 (真っ白な雲暑くなりそう)
ハローワーク通いつめれど職は無し    辛坊
「負けないで」暑中はがきの金魚の絵    紅
 ひらひらと優しく見守ってるよー。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
あの朝もこんなだったか原爆忌     恵美子
 以後65年の歳月をこの国は放射能と闘いつづ
けてけてきたはずだったのだが。無念。 
 (真っ白な雲暑くなりそう)
反原発デモはゆっくり手をつなぎ    佐藤B
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「鰻食べれば 」中日新聞8月9日(木)      発表1
 (真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
朝露に光るトマトをおすそわけ     たんき
耳鳴りかいやいやこれは蝉しぐれ  竹村日出子
 朝からにぎやかですねえ。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
ステテコをおなごもすなるカラフルに みの虫アッパ
 花柄もあるとか。ひと昔前の授業では「父さんの
ステテコここに捨ててこう」という学生の句が
ウケてたんですよ。あなおもしろの世や。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
なでしこもサムライたちもいざ出陣  三島園子
オリンピック悔しい銀とうれしい銅 浅木夢美志
 金じゃなくてもいいんだってば! 
負けたての選手にロングインタビュー   あゆ
 「かわいそうです」 まったく。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
計算の途中で出会う新粒子      石田吉保
 私たちが存在するこの世界を数式で追究する
物理学者たち。ついにヒッグス粒子発見か?
――おお、暑さ忘れるでしょう? え、暑い?――か。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
エアコンを止めて掃除は棕櫚箒   宇井美和子
 昔の暮らしに戻って、上品に。
少しだけ節電解除ジジとババ    矢野節世
 無理はいけません。余裕はあるんです!
 (真っ白な雲暑くなりそう)
手が出ない鰻食べればアシが出る    やすを
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞8月2日(木)      締切
 (真っ白な雲暑くなりそう  ゆき)
七日間限定ライブの油蝉        あずき
ジェラートが溶ける速さで恋に落ち    紙魚
宿題付け句はもう出されましたか。この暑さをしばし忘れて付け句遊びもまたよし。そうそう、先日私めのホームページでは「野菜詠み込み連句百句」をしましたよ。途中の五句をご紹介。どの句にも野菜名を入れているので探してください。
68  年金もらうどう使おうか    美句志
69 オレオレに一瞬ぎくり受話器置く   合  
70  歯槽膿漏また痛み出し      ザリ
71 様子見ずなすすべなしと笑う医者 いずみ          
72  下手な言い訳疑惑増幅       和
答えは順に、独活・春菊・紫蘇・水菜と茄子・分葱。なんだダジャレというなかれ。古今集では「物の名」という分類になっています。掛詞だって同音を隠す美しい遊びです。
 あ、おはがきの第一便飛来!
 (真っ白な雲暑くなりそう)
夏祭りエンジンかけて東北へ       村良
 (真っ白な雲暑くなりそう)
オスプレイいまだ戦後は続いてる   武田礼子
2012年夏ですね。遊び侮るべからず。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。八月四日(土)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞7月26日(木)      募集
 (こわいもの知らずで生きてゆくこの世)
とっくに越えた平均寿命         蛙柳 
喜寿を迎えてナナハン取得    近藤富江
負けない面々。
 (こわいもの知らずで生きてゆくこの世)
稲田の泥ではしゃぐ瓜坊         ネル
セシウムまといイカロスは飛ぶ     たんき
 厳しい世をエイと生きてゆく私たち。多数御投句ありがとうございました。さて、つぎの宿題。
  真っ白な雲暑くなりそう     ゆき
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
腕まくりビアガーデンの支配人     葵
 さあ、この夏を元気にのりきりましょう。あなたの食う寝る住むための暑さ対策は? 付け句はご自分のことでも他人さまのことでも。浮世のさまざまを自由に想像して、二句で場面を作ってください。SF、時代ものでも。
 (真っ白な雲暑くなりそう)
助手席の組んだ素足がまぶしすぎ   藍
 恋句も。夏の自然も。発表は八月いっぱい。オリンピック、お盆、敗戦日、そして切迫の時事句も素材にして。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず。八月四日(土)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)