あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ (2011/7/28~9/8)

前句   あかあかと夾竹桃が燃えている  ザリ

「募集 」中日新聞9月8日(木)      募集
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
遠い記憶のプールサイドに       マーサ
彼と過ごした初めての家        りつこ
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
必然だった恋の終末           獅狼
想いを絶った朝焼けの空         しん
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
まるであの日が無かったように     ドロン
卒寿の母の梅を干す背な        恵紅
  多数の御投句ありがとうございました。この夏夾竹桃に寄せた、わが仲間たちの営みと思い、いかがでしたか。さて、つぎの宿題です。
 「ペットボトルをぐいと飲みほす  まみ」
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
  (ペットボトルをぐいと飲みほす)
ラブレター今がそのとき渡すとき   しゅぴZ
 ペットボトルを飲みほすだけなのに、付け句でドラマができるでしょう。主人公も場面も、そうそうボトルの中身も、付け句作者の意のままです。経験はもちろん、想像でも。時事、大笑いも。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
白む空しめきり原稿まだ書けず       藍    
 発表は十月いっぱいですので秋の句もくださいな。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。九月十七日(土)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「潮騒の町 」中日新聞9月1日(木)      発表5
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
ビルのガラスに映る白雲         ゆか
右手のアイス滴が垂れる      佐藤智恵子
 おっとっと。残暑の中の新学期突入。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
逃げ水を追う高速道路          ごん
化学工場の高き生け垣         かにこ
公害に強い夾竹桃。食べると毒ですけれど。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
愛したことは後悔しない        うらら
恋人の名を呼ぶ夢ん中        水野幸治
まだ真夏のうたたね。いくつになっても。
色即是空色恋夢幻           小島武
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
亡母の在所住み人おらず         敏高
白き館を包む静寂             紅
 数十年前人々は村を出て行った。年がたち、かって新興といわれた住宅地からも人が出て行く。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
電力予想載った朝刊         山本尚子
カフェの人混み節電タイム        めぐ
 昨年の夏には思いもかけなかった、激変の夏でしたね。とにかく原発とは別れねば。
出力あがる太陽発電           鞠 
頼むよー。風も、波も!
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
復興願う潮騒の町          加藤晃弘
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「アクリルたわしで 」中日新聞8月25日(木)      発表4
 (あかあかと夾竹桃が燃えている  ザリ)
宅配便が停まる炎昼           郷田
 暑熱もうひとがんばりですね。
短き命かけて鳴く蝉         小夏日和
ぽとんとおちて仰向いた蝉       すすむ
 ああ、私の研究室へのぼる裏階段も蝉の亡骸だらけです。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
校庭の君見つめてた夏         ミモザ
市民プールで君と出逢った        雅子
 今年の夏の思い出はできたかな。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
ゆらゆら街角猛暑のLIVE      伊藤珠子
おばさんがするフラも見応え     かよねこ
 青春真っ盛り!
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
お掃除ロボのスイッチをオン    とんちゃん     
 SFの夢は身辺に実現してるけれど、
委細面談決まらぬ仕事       かぐやひめ 
ロボットに職を着々奪われていることも確か。 
素性隠してサイバー攻撃     みの虫アッパ
 インターネットは、現実の大組織をも攻撃する力をもつ。うむ。もう小説じゃない。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
アクリルたわしで磨く墓石      塚本益美
「えらい世だね」とご先祖もいい   間島たみ
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「風鈴の部屋 」中日新聞8月18日(木)      発表3
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
緑のカーテン青虫みっけ       樋田和子
ハーブの葉陰バッタのデート     夏きらり
 小さな世界で夏を生きる虫さんたち。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
枝豆・奴・冷酒にビール       おっかあ
かき氷ならスイが粋だよ        やせ蛙    
砂糖蜜ですね。このごろは「みぞれ」というようです。この名も涼しそう。さくさく。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
母ひとり住む風鈴の部屋      加藤美由紀
 昔ながらのしずかなたたずまい。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
葦はさらさら河童お昼寝        タヌ公
 ああ、いい夢を見たいこのごろ。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
クーラー設定こっそりと下げ     まみあな
 「子供たちが節電にうるさいのです」
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
ひときわ高し終戦の空        クマさん
「小学二年でした。爆撃のない空を見上げました」
ながーい戦争やっと終わった       つ猫
 八十代九十代の方からも思い出の句多数。さてその後の繁栄の果てに、今たちはだかる悔恨。
安全神話をぼくも信じた        作兵衛
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
生きてる証拠の汗をまた拭く     岩崎尚子
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ラッコ似の  」中日新聞8月11日(木)      発表2
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
ジョギングコースの折り返し点      ぐー
入道雲と飛行機雲と         ロッシー
 ふう。夏だー。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
これはなんだよまさか恋など       健人 
鼓動聞こえる距離に接近       ハッピー
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
股をひろげて昼寝する猫        さくり
ラッコ似の君いまトドとなる    小枝ちゃん
 「可愛かったのにい」 
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
私脱毛君は増毛            アクア
「縁側でそれぞれお手入れの夏の風景です」
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
夏季休業とは時給ない日々      ぼんぼん     
 「八月はビンボーです」
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
盾の両面不敵な総理         青柳善作
 「こんな時何故皆で力を合わせて努力しないのでしょうか」率直な国民の疑問。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
やらせ隠蔽上司の指示で        リンダ
 仕事です。仕事です。仕事です。ああ。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
何を食べてもセシウムの影       ひろみ
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「炉心どこまで  」中日新聞8月4日(木)      発表1
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
ビール片手に激辛カレー        お佐代
鯖の味噌煮でキュッと冷や酒    宇井美和子
暑いがなんだ!
ゴーヤのカーテンゴーヤのおかず     村良
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
金メダル掛けなでしこジャパン   木蓮ちゃん
 やったね。この夏何度見てもいい笑顔です。
粛々と去る勇者魁皇         近藤徳枝
 通算最多一〇四七勝利達成。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
汗をかきかき励むイクメン        隆男
 仕事と育児がやれて男さ! 料理も任せろ。
バイトがんばるばあちゃん汗だく   伊藤紘美
 あたしもがんばってきたーー。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
私はせっせと草むしりする       七八六
妻を見舞に今朝も出かける       ゆたか
 日常を生きるのみ。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
木金休み土日出勤            DⅢ
節電主婦のファミレス会議      マイババ
 世に節電のかけ声なれば、
パンツいっちょう不意の来客      奥村晋
 かくもすなおな庶民であるが。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
炉心どこまで溶けておるやら      みゆき
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞7月28日(木)      締切
付け句の宿題は出されましたか。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている  ザリ)
とかげが尾っぽ置いていく午後      芙美
熱い(!)日中を一生懸命生きてるわれらが仲
間たちに気付き、見つめてみる。句にしてみる。
また楽しからずや。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
認めるべきか己が恋情         あづさ
 これは心の中。想像して二句の小さい物語を作
っても。そして、2011年に直面する事態も。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
いたたまれずにボランティアツアー     合
砂を払って靴を瓦礫に           々
バスで津波被災の陸前高田市へ行かれたとか。
「流された家の瓦礫片付け、分別作業が主でした。砂と泥に埋もれた靴、鍋、布団、人形。ガラスの破片。サッシ戸。瓦礫と一言でいいますが、皆あの日の直前まで誰かが暮らしに使っていた物。人手がないとできない仕事がまだ山のようです」     
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
お願いですから水をください       氷心
 八月は原爆忌。焦土にいちはやく咲いた夾竹桃は広島市の市花になっています。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。七月三十日(土)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞7月21日(木)      募集
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
酔いたくて一人で暖簾くぐる夜     すみえ
イケメンに心ときめく私古稀     おとしご
 (隣の席はあいていますか)
天国の夫にそっと聞いてみる      アクア
苦労ばかりかけてる妻に問う来世   まれすけ
 (隣の席はあいていますか)
メールして銀河鉄道予約する     ロッシー
 この世あの世のさまざまな席、いかがでしたか。まだご紹介したい句多数ですがここで打ち止め。
さて、つぎの宿題です。
  あかあかと夾竹桃が燃えている  ザリ 
この五七五句に七七句を付けてみませんか。夾竹桃が咲き誇る夏。今年は一段と暑そうな。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
アッパッパーとステテコの仲        葵
あたりをみまわして、2011年各世代の夏の暮らしをどうぞ。もちろん経験でも想像でも。発表は八月いっぱいです。このせつ厳しい時事句も。恋句、爆笑句。そして暑さを謳歌する生きものや風景の句もぜひ。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
汗をたらりとまひるまの月         藍
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。七月三十日(土)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)