隣の席はあいていますか ふさ子 (2011/6/2~7/28)

前句   隣の席はあいていますか   ふさ子

「募集 」中日新聞7月21日(木)      募集
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
酔いたくて一人で暖簾くぐる夜     すみえ
イケメンに心ときめく私古稀     おとしご
 (隣の席はあいていますか)
天国の夫にそっと聞いてみる      アクア
苦労ばかりかけてる妻に問う来世   まれすけ
 (隣の席はあいていますか)
メールして銀河鉄道予約する     ロッシー
 この世あの世のさまざまな席、いかがでしたか。まだご紹介したい句多数ですがここで打ち止め。
さて、つぎの宿題です。
  あかあかと夾竹桃が燃えている  ザリ 
この五七五句に七七句を付けてみませんか。夾竹桃が咲き誇る夏。今年は一段と暑そうな。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
アッパッパーとステテコの仲        葵
あたりをみまわして、2011年各世代の夏の暮らしをどうぞ。もちろん経験でも想像でも。発表は八月いっぱいです。このせつ厳しい時事句も。恋句、爆笑句。そして暑さを謳歌する生きものや風景の句もぜひ。
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
汗をたらりとまひるまの月         藍
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。七月三十日(土)までにご投函を。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「シャトルバス 」中日新聞7月14日(木)      発表4
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
昼どきの人で賑わうフードコート    清水拓
念願の気になる人に急接近      石井里奈
 チャンス!
手作りの弁当胸に抱きしめて       葉桜
 手作りで釣る古典的手法が今こそ効果的とか。
 (隣の席はあいていますか)
夏の夜は花火見上げて横座り    とだちゃん
縁台で涼むゆかたの胸の谷      クマさん
 うちわの風もまたよろし。
 (隣の席はあいていますか)
白桃の果肉のような君なりき     小林きね
ひとり寝のダブルベッドは広すぎて   ふう子
 はあ。
 (隣の席はあいていますか)
傷ついた君に言葉がないけれど    ゆあな
せめてそばによりそってくれる。よき友
 (隣の席はあいていますか)
夕涼み猫が集まるボンネット      きみ子
 暑かったねえと暮れる夏の日。
手花火に河童の親子も仲間入り     たらば
 (隣の席はあいていますか)
おさなごの未来を憂え母子疎開   かぐやひめ
 疎開という言葉が蘇っている今は、戦時中なのかもしれない。
放射能無い星めざすシャトルバス    たんき
 この国、いま決断のとき。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「天下る 」中日新聞7月7日(木)      発表3
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
居酒屋へまずは駆け込む俄雨     影山武夫
お互いに大変ですがまあ一杯      ミモザ
 さあ、元気をつけて暑さと想定外に備えねば。
 (隣の席はあいていますか)
鬢付けの香る力士と乗りあわせ     ひろみ   
 「若いお相撲さんの地下鉄通勤は名古屋の風物詩です。応援しています」と。再スタート。
 (隣の席はあいていますか)
朝喧嘩帰りの電車に妻がいて       旦喜
「フン」――とはいえ雑踏の中で見ればやっぱり懐かしい奴なのだった。 
 (隣の席はあいていますか)
あんな日もこんな日もありセーラー服    忍
 少女の未来。君は今後どんなに多くの人と会い、すれ違うのだろう。
 (隣の席はあいていますか)
今日も来てハローワークの顔なじみ    富泉
リストラが多く窓際つかえだす    羽下正一
 少ないパイを求める人がひしめくのに! 
用意する奴が居るから天下る     伊藤千敏
 (隣の席はあいていますか)
ちらちらと蝋燭バーのカウンター     美優
ほのあかりグラスに映る君の顔    加藤晃弘
 暗いから皆美人に見えるーこの夏だとか。
 (隣の席はあいていますか)
遠花火そよりと風が来て座る      由美江
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「蛍飛び 」中日新聞6月30日(木)      発表2
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
青田ゆく特急加速し横揺れて       タキ
うたた寝にふわりと香る柑橘系    くゆたん
おや、どなたさま。  
期待して上げた視線をそっと下げ   ひろひろ
 イケメン好みですって。ええ、いいのいいの。
 (隣の席はあいていますか)
長い脚たたむくらいはできるでしょ   眠り猫
 おばさん、ひとにらみ。
大丈夫私のお尻はいります       ドロン
 ぐいっ。お尻パワー。 
両脇はケイタイ塗り壁余念なし       武
いつか正義のおばさんになってくださいね。
 (隣の席はあいていますか)
菅さんのポスト狙って右往左往    小夏日和
はいそこも引き下ろしやが待っている  かにこ
 ああ、ますます混迷の渦の席。
 (隣の席はあいていますか)
遠回し気付かなかったプロポーズ    やすを
あれからいくとせ。
青春の残り香捜すクラス会     輪違美津枝
変わらない卒業写真の優しい眼     ちひろ
 (隣の席はあいていますか)
セコイアの緑を眺める指定席      眞木子
「三年前に逝った主人は新緑のセコイアが好きでした。いつも私の隣はあいています」。
 (隣の席はあいていますか)
蛍飛び遠い記憶のひとに会い      めぐ
  (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ぬれた傘 」中日新聞6月16日(木)      発表1
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
ローカル線静かな会話続きおり     とよこ
ぬれた傘ちょっと手前に引き寄せる  近藤徳枝
 梅雨本番ですね。
 (隣の席はあいていますか)
ガラガラの電車近くに寄らないで  木蓮ちゃん
 うは、すいません。
どうぞどうぞ此所は貴女の指定席    中谷寛
 あの、あんまり歓迎されすぎるのも。
さあどうぞそれが始まり共白髪   アッチャン
ま、そういうこともあるのであります。
 (隣の席はあいていますか)
節電で汗を拭く手も美しく      かよねこ
 「白いハンカチがすてき!」
座らっせ扇風機付き高山線       みゆき
車両の扇風機。いまクラシックこそが最先端。
 (隣の席はあいていますか)
里にくるイノシシタヌキクマにサル   チホコ
 ヒトさんよ、場所とりすぎじゃござんせんか。
 (隣の席はあいていますか)
適任と座ればこける総理の座     ウッチー
 「じゃ、誰ならいいのっ」―おれに有利な奴。
私利私欲厚顔無恥が列をなす   みの虫アッパ怒ってる句が飛来中!
ノーサイド震災復興はじめましょう    直美
 (隣の席はあいていますか)
富士山はみえずに窓はしぶく雨      るる
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞6月9日(木)      締切
付け句の宿題は出されましたか。
 (隣の席はあいていますか   ふさ子)
日英韓車内放送多国籍          のら
隣の席というと、電車の中の情景を思い浮かべるかたが多いでしょう。名古屋の地下鉄でも、日・英・韓・中に、ポルトガル語で放送しているとか。――などなどご経験を句にどうぞ。うふ、色々個性ある乗客さんたちもね。
 (隣の席はあいていますか)
恋人は透明人間デート中        あずき。
ギャ、座っちゃったらどーなるの? こういう付け句もありです。お互い厳しい日々を生きておりますけど、だからこそたまには想像を飛躍させましょ。で、この透明人間さん乗車券買ってるの?
――なんて無駄思考も生きてる時間のうち。
 (隣の席はあいていますか)
この店で雨を見るのが好きなんです   あづさ
喫茶店かな。しみじみした情景ですね。場所、出てくる人物の設定しだいで、物語が現れてきます。恋句はもちろん、お笑い句、そして、時事句、人生句、さまざま考えてください。このコーナーが句数制限をしないのも、想像の広がりこそ付け句の醍醐味と考えているからです。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。六月十一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞6月2日(木)      募集
 (なんてきれいな今日の青空   みのり)
サングラスはずすと優しい笑いじわ  塚本益美
ひるほうか友だちと見たひこう船   塚本響愛
響愛さん、八歳の付け句お仲間。
 (なんてきれいな今日の青空)
こんな日は風といっしょに散歩する  斉藤里歩
つかまらぬ蝶と知りつつ追いかける  えこりん
 一見平和な青空の下、今回は東日本大震災の現地からの句が胸に迫りました。ほんとうに応援するには、私たち自身が社会の現実を知って向き合い、変わらねばならないと自戒する今。
さて、つぎの宿題です。
 隣の席はあいていますか      ふさ子
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (隣の席はあいていますか)
予約して二時間待ちの漢方医        葵
われらがせわしい暮らしのひとこま、思いを。いろんな場所を設定して、頭の体操ですよー!
 (隣の席はあいていますか)
クールビズむき出しの腕たくましく     藍
 素敵な人を登場させワクワク恋物語もいかが。経験でも想像でも。ええ、怪奇、SFでも。発表は七月にかかりますから梅雨どきの風景もぜひ。もちろん時事句も。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。六月十一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)