なんてきれいな今日の青空 みのり (2011/4/14~6/2)

前句   なんてきれいな今日の青空   みのり

「募集 」中日新聞6月2日(木)      募集
 (なんてきれいな今日の青空   みのり)
サングラスはずすと優しい笑いじわ  塚本益美
ひるほうか友だちと見たひこう船   塚本響愛
響愛さん、八歳の付け句お仲間。
 (なんてきれいな今日の青空)
こんな日は風といっしょに散歩する  斉藤里歩
つかまらぬ蝶と知りつつ追いかける  えこりん
 一見平和な青空の下、今回は東日本大震災の現地からの句が胸に迫りました。ほんとうに応援するには、私たち自身が社会の現実を知って向き合い、変わらねばならないと自戒する今。
さて、つぎの宿題です。
 隣の席はあいていますか      ふさ子
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (隣の席はあいていますか)
予約して二時間待ちの漢方医        葵
われらがせわしい暮らしのひとこま、思いを。いろんな場所を設定して、頭の体操ですよー!
 (隣の席はあいていますか)
クールビズむき出しの腕たくましく     藍
 素敵な人を登場させワクワク恋物語もいかが。経験でも想像でも。ええ、怪奇、SFでも。発表は七月にかかりますから梅雨どきの風景もぜひ。もちろん時事句も。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。六月十一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「野の花 」中日新聞5月26日(木)      発表5
(なんてきれいな今日の青空   みのり)
群生の勿忘草がうなずいて       眠り猫
 青い、青い。
金蓮花一輪摘んでサラダ添え     近藤富子
(なんてきれいな今日の青空)
誰ですかまぶしすぎるという寝坊    やすを
太陽さんこのふんだんなエネルギー   まりも
智恵をしぼって脱原発へ! 。
(なんてきれいな今日の青空)
スーパーの照明半分あの日から   なずな主婦
 あの日から、変わる。変えなくては。
平凡な日も選択の連続で         久美
 個人的選択。社会的な選択。大人である条件。
(なんてきれいな今日の青空)
被災地の復興支援雨上がり       横地伸
レベル7小雨一過の放射能      石田吉保
気にしている。日本中で。世界中で。
(なんてきれいな今日の青空)
野の花の生のあかしに励まされ   かぐやひめ
 仙台から。「韓国出張中に仙台空港近くに預けた車が津波に流されました。ネットのニューヨークタイムズの写真でセスナ機4機と共に埋まっているのを見つけましたがいまだに連絡なし」「現実でないような現実」が続いてきたけれど、直後の瓦礫には水仙が咲き、今は鈴蘭が美しいと。
(なんてきれいな今日の青空)
カミサマも後悔することありますか   あづさ

 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「今ここから 」中日新聞5月19日(木)      発表4
 (なんてきれいな今日の青空  みのり)
故郷の山につつじの咲く知らせ      佳代
 めぐりくる季節のなつかしさ。
 (なんてきれいな今日の青空)
おにぎりが君とセットでおいしくて  しゅぴZ
 ま、可愛いデートだこと。
 (なんてきれいな今日の青空)
病癒え登校の子のシャツを干す      泰枝
交代でお腹のキミに話してる     コリリラ
 「初めての妊娠五か月。期待と不安の日々です」
子の重み未来の重みも共に抱く      ひわ
 まさかの世の激変をつきつけられている今。福島県立葵高校の文芸部からも付け句飛来です。
 (なんてきれいな今日の青空)
地が震え人が震えるその上で     室井綾華
目の前に崩れた蔵の外壁と      飯森実咲
会津は古い城下町。「県内の町から避難の方が多数いらして、今は仮設住宅の建設も進んでいます。葵高校にも転校生が30人ほど。仮住まいだとしても、落ち着いて安心して勉強できる環境を整えてあげたいです」と田中雅子先生。
 (なんてきれいな今日の青空)
歩みだす若葉そよいだ今ここから     律吉
 震災の翌月に入学した一年生。「無事高校生になれてよかった」と。現実に向き合い、表現する若者たちの句のみずみずしさ。頼もしさ。
日の光あすの福島照らし出す    遠藤宏太朗
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ベル鳴って 」中日新聞5月12日(木)      発表3
 (なんてきれいな今日の青空  みのり)
洗濯の山に腕組み仁王立ち        ぐー
朝練に向かう背中にパンチして     もにか
たくましく。子も母も。
 (なんてきれいな今日の青空)
紫木蓮桜若葉に花水木       木蓮ちゃん
出不精は花見のはずが「葉っぱ見」に  ミモザ
 「先輩桜どこっすか」「今日はハッパ見だ」ロータリーでバイクをとめた男の子たちの声ですって。ええ、葉っぱも見ごろ。
 (なんてきれいな今日の青空)
バトン手に第三レーン風になれ      流星
 それは青春の一瞬。
赤勝て白勝て曾孫の姿見失う      小島武
 経てきた年月がフラッシュバックする。
 (なんてきれいな今日の青空)
プロポーズハイをもらえた夜明ける  羽下正一
サヨナラの言葉素直に受け止めよう  岩崎尚子
 人生の分岐点。
 (なんてきれいな今日の青空)
ベル鳴って形見となった三輪車      雪兎
 岩手県からです。「毎日の余震に桜も青ざめているような。それでも庭の沈丁花が香りだして、今に鈴蘭やライラックも咲き出すでしょう」
ひるがえる復興祈願の大漁旗       雪兎
 (なんてきれいな今日の青空)
被災地へ届けみんなの応援歌     村木節子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「イカロス 」中日新聞5月05日(木)      発表2
 (なんてきれいな今日の青空   みのり)
咲きましたバラに牡丹に花てまり   村松みね 
芝桜水仙ムスカリ梨の花      小林ひさゑ
 輝く初夏。
顔上げて涙をふいて自粛やめ      ひろみ
「元気出そう」ってメッセージ多数です。
 (なんてきれいな今日の青空)
外巻きのカールを頼む美容室     あんでん
「ちょっぴりイメチェン」
 (なんてきれいな今日の青空)
泳いでる緋鯉真鯉に僕の恋      タイタイ
コクられて深呼吸する顔上げて     しっぽ
 「コクるー」は若者語。密告じゃなくって、恋の告白です。――ああ、驚いた、はあ。
 (なんてきれいな今日の青空)
足放し風きっていく下り坂      蔦田美鈴
白球をあれよあれよと追っている   前田恭兵
 (なんてきれいな今日の青空)
国難に旧態依然の政       みの虫アッパ
 「党派党内政争ごっこしてるときか!」
 (なんてきれいな今日の青空)
イカロスは飛べる気がしたどこまでも   徒夢
 太陽に近づきすぎて、翼の蝋が溶け墜落したんでしたね。
原発の安全神話吹き飛んで      樋田和子
 (なんてきれいな今日の青空)
コンバインひとり黙々麦田刈る    伊藤紘美
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「君の道 」中日新聞4月28日(木)      発表1
 (なんてきれいな今日の青空   みのり)
通販で買ったまつげに春の風       のり
桜散りつくして会社にすこし慣れ    かおり
 
 あっというまに去った春でした。
 (なんてきれいな今日の青空)
キャベツの葉芋虫元気に食べている  鈴木正子
 農薬なしの優しさ。さくさく。
ばあちゃんに仲良しじいさんできたらしい 青虫
 平穏ということ。
 (なんてきれいな今日の青空)
懸命の捜索天を睨みつつ       藤村力田
直面している現実。
大丈夫みんな被災地支えてく     ボチボチ
 必ず。励ましのおはがきたくさんです。              (なんてきれいな今日の青空)
ちょいと出た燃料棒も見上げてる    みゆき
 プールの中から。このちょいとのはかりしれぬ恐怖。この燃料棒を配置しているのは私たち。
(なんてきれいな今日の青空)
よちよちとどこまでもゆけ君の道     りえ
「歩けるようになった一歳三ヶ月の息子。公園の広い芝の上を一歩一歩しっかり踏んばって、歩くことがたまらなく楽しそう」この子たちの道をどんな道にするか。
  (なんてきれいな今日の青空)
原発を作った時代過去になり      白頭翁
 過去にしましょう。
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞4月21日(木)      締切
 (なんてきれいな今日の青空   みのり)
ぐんぐんと白球伸びる大ファウル      葵
 宿題付け句はできましたか。
そらまめの皮むく子らの大はしゃぎ    節子
 美しい季節の移ろい。それにつけても東北を思い文字通り「絶句」のかたもおありでしょう。
仙台からのファックスをご紹介します。「世の終りのような一ヶ月でした」との書き出しです。
 (なんてきれいな今日の青空)
跡形もなき囀りの松林        狩野康子
 「伊達藩の防風、防潮林。何度も散策した大好きな所でした」
いまはただ彼岸と此岸結ぶ花       康子 
仙台もこの日曜日は晴れて満開。お花見の人も出たとか。「地下鉄はもう少しで前線開通。ガスがようやく数日前に通って、建物の無事な外食屋さんが開き始め、私たちも喫茶店で連句会をしました」と。康子さんは「宗祇白河紀行連句賞」の大会を始められて五年め。「今年もみんなやる気です」と。着々伝える文化の灯。 
 さて付け句飛来。
 (なんてきれいな今日の青空)
まいったな列島原発50余基       太介
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。四月二十三日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞4月14日(木)      募集
 (百まで生きる決心をする  葵)
来世紀猫型ロボと友だちに      水野芳紀
 高校生さん。未来の楽しいシニア。
あと十年もう一度だけタヒチ島   しゅういち
自分史を書くには早い八十年       泉水
「大丈夫」優しい医師に励まされ     暉子
年経れば骨董価値を増すばかり      伯洋
 伯洋さん九十六歳。今回ご投句には九十代十数人、八十代七十代多数。六十代なんていと若し。皆さんどうぞ百をふみこえてご健吟を。
 (百まで生きる決心をする)
火星への移住計画ひそやかに       健悟
 さて、次の宿題です。
  なんてきれいな今日の青空   みのり
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (なんてきれいな今日の青空)
涙ためバージンロードパパがゆく    ふさ子
青い空の下、いまさまざまな人生をどうぞ。ご
自分の経験でも、想像、夢でも。
 (なんてきれいな今日の青空)
畝三つ曲がりキュウリはにぎやかに    芙美
発表は五月いっぱいですから、輝く初夏の風景もぜひ。厳しいけれど時事句も。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。四月二十三日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)