百まで生きる決心をする 葵 (2011/2/24~4/14)

前句   百まで生きる決心をする   葵

「募集 」中日新聞4月14日(木)      募集
 (百まで生きる決心をする  葵)
来世紀猫型ロボと友だちに      水野芳紀
 高校生さん。未来の楽しいシニア。
あと十年もう一度だけタヒチ島   しゅういち
自分史を書くには早い八十年       泉水
「大丈夫」優しい医師に励まされ     暉子
年経れば骨董価値を増すばかり      伯洋
 伯洋さん九十六歳。今回ご投句には九十代十数人、八十代七十代多数。六十代なんていと若し。皆さんどうぞ百をふみこえてご健吟を。
 (百まで生きる決心をする)
火星への移住計画ひそやかに       健悟
 さて、次の宿題です。
  なんてきれいな今日の青空   みのり
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (なんてきれいな今日の青空)
涙ためバージンロードパパがゆく    ふさ子
青い空の下、いまさまざまな人生をどうぞ。ご
自分の経験でも、想像、夢でも。
 (なんてきれいな今日の青空)
畝三つ曲がりキュウリはにぎやかに    芙美
発表は五月いっぱいですから、輝く初夏の風景もぜひ。厳しいけれど時事句も。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。四月二十三日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「牛の声 」中日新聞4月7日(木)      発表5
 (百まで生きる決心をする 葵)
ぶらんこを漕ぐ子の声が花の中     たらば
 無心の声。いつのまにか桜が咲き出しましたね。
 (百まで生きる決心をする)
カラオケと井戸端会議惜しみなく   杉山綾子
今日もまた韓流スター追いかけて     沙羅
 ミーハーは長生きの薬なんですよ。
 (百まで生きる決心をする)
知らぬこと知る楽しみがふつふつと     暁
 年をとればとるほど知る広い世界。
瞬きはときめきに似て春の星       恵紅
 (百まで生きる決心をする)
新築のわが家の耐久性いかに     うさみん
アナログの世界を刻む古時計     丹羽香織
 「実家の時計50年」古きよき日のリズムです。
 (百まで生きる決心をする)
せっかちな妻に置いてけぼりを食い    帰童
孤独との同居も慣れてはや十年      麻子
 「明るい一人ぼっちです」と。そう言えるまでにのり越えてきた数々のこと。
 (百まで生きる決心をする)
あの人が見られなかった道の先     ミモザ
再会を約束の人北の地に        てるお
 (百まで生きる決心をする)
震災の給水車待つ牛の声         雪兎
 岩手県より。「けさは零下二、八度。ちらちら雪が舞っております」と。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「チカラあり 」中日新聞3月31日(木)      発表4
 (百まで生きる決心をする  葵)
プランター勿忘草は空のいろ        恵
あの本もこの本もみな積ん読書      紅
 ささやかにひとは生きる。
 (百まで生きる決心をする)
ほかほかの匂いわが子を抱きしめて    りえ
 「幼い息子を抱っこすると長生きしなくちゃと
思います」子どもは未来!
 (百まで生きる決心をする)
温かいおにぎり毎日届き来て     田中雅子
 福島県会津若松と少し前にメールが通じました。雅子さんは昨秋の全国高校付け句コンクールに生徒さんが大勢参加された県立葵高校の先生です。高校は避難所になり先生方も炊き出しの毎日とか。「原発からは100キロ弱。問題が収束することを願ってやみません」その日々を、前句に託して伝えてきてくださいました。
 (百まで生きる決心をする)
余震なお浅き眠りを邪魔すれば      雅子
良いことを一つ二つと数えあげ       々
「福島のキャッチフレーズは『うつくしま、ふくしま』です。キャッチフレーズどおりの未来がありますように」と。大きな困難に耐えているひとりひとりの方を応援しましょう。そう、希望をもって。ーーもう一句。
 (百まで生きる決心をする)
再会の少女の瞳チカラあり        雅子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「立ち位置を 」中日新聞3月24日(木)      発表3
 (百まで生きる決心をする  葵)
窓あけて沈丁花の香ふかく吸う    やよい
桜餅よもぎ大福深蒸し茶     なずな主婦
 このひととき。
 (百まで生きる決心をする)
孫抱いて桃の頬っぺに初キッス     風恋花
孫をもつハッピーはたくさんのかたから。
 (百まで生きる決心をする)
遅咲きと言われ続けてまだ咲かず     徒夢
オマエの絵時代に合わぬと笑われて   あづさ
 天才はなかなか理解されないのだーーうう。 (百まで生きる決心をする)
就活の長いトンネル抜けてやる  みの虫アッパ
婚活を成就するまで死ねなくて    加藤文男
 これは、モー、意地! 
 (百まで生きる決心をする)
少年の気分のままに六十路入り    羽下正一
ツイッターフェイスブックの先は何   たまき
 (百まで生きる決心をする)
立ち位置を確かめるべく誕生日   塚本益美
自分は確かにここに生きている。いまもっている条件は何か。この社会にどう歩むのか。時間軸の中で見つめる。
 (百まで生きる決心をする)
ハードルを下げて昨日をやり直し   あんでん
 たぶん私たちみんな。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ふきのとう 」中日新聞3月17日(木)      発表2
 (百まで生きる決心をする  葵)
元気です小包届く蕗の薹      小枝ちゃん
小花柄ワンピースの裾春香る     春うらら

 「私五十。娘と服のとりかえっこしてます」
ふと立ち止まるこの日常のいとしさ。
 (百まで生きる決心をする)
2DK幸い住むはきっとここ       節子
 宇宙のひとすみだね。
 (百まで生きる決心をする)
夫は歯私はあごを治す春       ひろみ
 「顎関節症になってしまいました」痛いのはいや。あちこち部品修理しながら。
癌を切り五年目の春迎えます      浅やん
病棟の窓から見える空の青       ちょい
 (百まで生きる決心をする)
初恋の彼女の返事まだ来ない     田渕義明
待ってるんだ。
赤い薔薇卒寿の君に贈るため      ゆたか
 これをほんとの恋というのです。
 (百まで生きる決心をする)
地が揺れてミサイル頭かすめても   伊藤千敏
 生きることの苛酷。この原稿を書いている今、報道はあまりに悲惨な現実を映しています。ひとりひとりの生の営みを破壊する巨大災害。いまは祈るのみ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「交差点 」中日新聞3月10日(木)      発表1
 (百まで生きる決心をする  葵)
いちめんのたんぽぽたんぽぽ川の音  タムタム 
日の光猫の毛並みとチョコレート    まりも
 春の陽ざしになりましたねえ。
 (百まで生きる決心をする)
愛誓う瞳にひかっている涙         凜   
アラフォーに届いてつけた初ティアラ 石田吉保
 ひとそれぞれのウェディング適齢期です。
アラフォーで新たな命授かって    くまくま
 わい。おめでとう。
 (百まで生きる決心をする)
ウオーキング脳トレ筋トレ筋伸ばし  吉田和美
貯えてぎっしり詰まった骨密度    山本尚子
 おお、がんばってますね。
目指してるしわ無きアンチエイジング   佳代
 美も両立させるのよ。 
 (百まで生きる決心をする)
草食系息子の孫を抱くために     和流足掻
三十路越え嫁かず娶らず先見えず     村良
 「娘、息子の三人が独身。ジジババとよばれなくても、
老いればジジババか」このしょうのない世の中をなんとかしなくっちゃ。
 (百まで生きる決心をする)
交差点渡る子供を見届ける       美津子
 「地域ボランティアの交通おばさんです」って。
ああ、子供たちが手を振ってますよー。
 (百まで生きる決心をする)
地球型惑星めざし行くシャトル      白猫
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞3月3日(木)      締切
春ですね。付け句の宿題はもう出されましたか。
 (百まで生きる決心をする  葵)
一度くらいめぐりあいたい好景気     ぐー
 んだ、んだ。
 (百まで生きる決心をする)
ざんぶりと海を見ている露天風呂      藍
珈琲とクロワッサンのモーニング     芙美
 ところでこの三月卒業の学生四人が、記念に半歌仙(十八句の連句)を巻いていきましたよ。
卒業や残る講義をかみしめる 柚貴
  紅梅香るキャンパスの道  千夢
の付け合いで始まります。たった今の想いを共有する友だちどうし。窓の外の紅梅が満開の日でした。「句を付ける」ことは古来こんなふうにプライベートな日常の中にありました。いま彼女たちは携帯で付け句をするそうな。 
 (百まで生きる決心をする)
鼓動鳴る隣の君が愛おしい        千夢
さて一便も到着。
 (百まで生きる決心をする)
負けません診察券の束に言う       百合
あの人の分まで生きますこの人と    しっぽ
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。三月五日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞2月24日(木)      募集
 (手で払ってる自転車の雪   芙蓉)
さあ帰ろ玉ねぎお肉今日カレー       温
規格外野菜も出荷道の駅        小嶋武
 (手で払ってる自転車の雪)
まだやると粘る野球部見守って      奈緒
この時間行けばあの娘と出会う道   古田光男
 (手で払ってる自転車の雪)
立読みがちょっと長引きすみません  仲川昌一
自転車と仲良しのささやかな暮らし、いかがで
したか。さて、つぎの宿題ですよー。
  百まで生きる決心をする   葵
という七七句があります。いよっ。元気だね。これに五七五句を付けてみませんか。
 (百まで生きる決心をする)
若妻のショートパンツが眩しくて      甃 
 ウフ。付け句は事実、経験もよし。想像も自由です。今回はことに各年代で遊べそう。ご勝手な人生設計などいかが。未来社会図、夢、妄想も。
 (百まで生きる決心をする)
高額の羽毛布団を買わされて       のら
 ウハ。意地ね。人生の先輩はこの乱世で生きぬくアドバイスをぜひ。時事、大笑いも。
 (百まで生きる決心をする)
鉄棒をくるりまわって見える春     ドリー
嬉しい春も。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。三月五日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)