ペットボトルをぐいと飲みほす まみ (2011/9/8~11/3)

前句   ペットボトルをぐいと飲みほす  まみ

「募集 」中日新聞11月3日(木)      募集
(ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
君がいるプラットホームの向かい側   岡幸秀
のどぼとけ私の視線ロックオン      黒猫
 今年も全国高校付け句コンクールから12000句応募。のどぼとけに注目する句がけっこうあったんですよ。女の目線もかわったぞ。
(ペットボトルをぐいと飲みほす)
あこがれたあのマドンナの古稀祝う  クマサン
納得はしないが今は折れておく     ふみこ
覚悟してエンディングノート書き始め  カズエ
佳句を手元に多数残しここでご紹介うちどめ。ごめんなさい。また次の句を遊んでくださいね。
さて、宿題ですよ。
  待ってよ待って飛んでゆく日々  未知
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
  (待ってよ待って飛んでゆく日々)
ハンサムなあなたもちょっとお腹出て  たむろ
 飛んでゆくからこそ大切な日々。いとしき日々。付け句はご自分の経験、実感でも、この浮世の観察でも。想像たくましく。時事句。お笑い句も。
(待ってよ待って飛んでゆく日々)
歳末の大売り出しの旗なびく      芙美 
年末、クリスマスの句も。移りゆく冬の風景句
もぜひ。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文
化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、
ペンネームの方は本名も必ず。十一月十二日(土)
までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「きみの明日 」中日新聞10月27日(木)      第6回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
しめじ採り意気込みだけは負けてない   茂子
栗拾い皮むき一家の栗ごはん      たまみ

 ほくほくの秋、家族の秋。林の匂いがする。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
すれ違い目が合い呼吸止まりそう   アルパカ
タロットの絵札占い胸ドキリ        紅
 恋は運命か。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
好きな子に話しかけてはスルーされ   秋山唯
手をつなぎ笑い合ったね昨日まで   佐藤圭佑
 ああ、これも経験!。。。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
十年の区切りをつける言葉待ち    まめたろ
 うむ、人生のみちのりは厳しい。
あなたとは出会わなかった事にしよう 無花果 。
忘れよう君も昨日も記念日も      ミモザ
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
暑いのに冷や汗にじむ就職難     小檜山徹 
復興の願いを込めてひと仕事     菊池貴司
 福島県の高校からです!
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
おむつかえおっぱいあげたらママの番 赤とんぼ
赤ちゃんの寝息のやすらかさよ。
きみの明日五年十年五十年後       れい
 なんとかしてよい世の中にしていかなくては。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「月の裏 」中日新聞10月20日(木)      第5回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
真夏日に男もするぜ日焼け止め    トラ瓜
俺様は汗もしたたるいい男      TOM

 おお、見てくれ。
夏の浜今年もツレは男だけ イノセントチャーム     
――でしたとさ。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
昼休み自販機前のプチ会議       M・Y
ポリエチレンテレフタレート本名の  ドラ先輩
 化学工業科の高校生さんより。ペットとは英語でポリ、エチレン、テレフタレートの頭文字の略なんですねえ。しかし身辺に知らぬ語だらけの世に平然と生きているわれらであること。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
今月のノルマ達成あと一件       ゆたか
目線あげ顔色気にするプレゼン後    カーコ
仕事は評価との対決。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
一年間変わらぬ距離とこの思い  ブルーツリー
御返事はイエスかノーか沈黙か      久美
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
老老と言われし道に今立ちて     ウッチー
「みな辿る道に立ち止まったり行きつ戻りつ」
なかなかと九十の坂は越えにくい    千代女
「アー辛度!」ですって。お尻おしますよ!
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
月の裏地球征服大会議 大澤萌乃
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「なんとか茶 」中日新聞10月13日(木)      第4回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす  まみ)
刈り上げた田の畦道でかく胡座   佐藤智恵子
青空に稲のはざかけ終える午後    山本尚子
「まだ家の近くに残る風景」と。
コンバイン降りて案山子に言葉かけ 小久保左門
 今は稲刈りから脱穀まで一気にできるんですね。案山子くんご苦労!
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
好きですと伝えて砕けた夏祭り   しゅうへい
初めての告白ズバリふられたぜ    マナピー
 あれー、元気な玉砕は高校生さん。毎年恒例の「全国高校生付け句コンクール」(豊田市文化振興財団・桜花学園大学主催)も参加してますよ。。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
風呂上がり父の晩酌おともして   藤吉美由紀
 過ぎるひととき。
玄関に見知らぬヒールと兄の靴     GPB
お、わが家にドラマだぞ。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
君といるこの状況に慣れなくて    パオパオ
君といる映画館でのキスシーン      痛子
 どぎまぎ。 
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
古稀近しもいちど咲かすと鏡見て    お佐代
あは。こちら大先輩。人生は永いのだ。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
やせること信じてみたいなんとか茶   みゆき
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「恋なのか 」中日新聞10月6日(木)      第3回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす   まみ)
金木犀咲いたな母校の門の奧       朔太

 「十数年通るだけで見てはいないのですが、懐かしい匂いはするのです」1キロ四方に香るといいますね。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
年一度主役になる日運動会      ドロン
徒競走トップも居ればビリも要る    泰枝
 そうさ、そうさ。ただ力いっぱい。
4位だねみんなでとった4位だよ   ききき
 涙。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
赤とんぼ見終え残業さあ開始     羽下正一
 夕暮れの空に赤とんぼの群がきてくれた町。仕事の切れ目に、ふとそれを眺める束の間のゆたかさ。生きてること。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
駆けてくるたわわに弾む君の胸    くゆたん
ドキン。
恋なのか不整脈かが問題で        佳代
 くくく。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
カルデラ湖コバルト色に風強く      らん
ショパン像夕陽をあびた秋の薔薇     千由
すてきな旅ですねえ
パスポートポシェットの中確かめて   ちひろ
 外国旅行はいつも緊張!。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「買っちまう 」中日新聞9月29日(木)      第2回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
よくやったなでしこジャパン五輪席   後高爺
コスモスは台風一過に負けんでね!   まさこ
「三河弁です」って。倒れたって咲くぞ。
青空と土手一面の彼岸花          暁
 ああ、真っ赤に咲き出しましたね。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
ためらわず世につれお茶を買っちまう 石川牧子
 お茶や水をこの国で買うなんて。ここ十年で確かに変わった習慣。でも最近は水筒も復活ですね。こちらは震災の影響か。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
命令にジョークも添えて女性課長     滝
 「かっこいいです」ラッパ飲みは行儀が悪いという感覚も過去。会議に並ぶペットボトルです。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
彼女とのドライブデートも中盤戦   七八六
 さあて、これからが作戦のしあげですか。
おそまきの息子に恋がうれし母   伊藤いつ
 永年の応援団もいる。91歳。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
結婚は延期明日から東北だ    木蓮ちゃん
 ええっ。今はいろんな事情が頻発するのです。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
風呂上がり裏の小窓へ来た守宮     チーコ
 お互いなんとかやっていくんだな。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
海山の荒ぶるくにに生きてゆく     ひろみ
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「月笑う 」中日新聞9月22日(木)      第1回
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
頂上に一陣の風汗ぬぐい        山女子
 いつのまにやら秋色を帯びた山々。
セキレイに先導されて万歩計     青柳善作
「今は廃墟となった旧19号線を毎日約一時間ほど歩きます。山鳩もいてオニヤンマがスーイスイ。木曽は自然が豊かです」
早朝に5K走った満足感       大古富泉
 えっ、八十五歳とか。すごい。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
初デート君が発するフェロモンに     瓜也
手が触れただけの動悸に月笑う      普文
神様はそのように男を作りたもうた。
受け止めてもらえぬ熱きこの想い    アメリ
 はあ。これも御心か。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
積み荷終えシートかぶせてさあ納品  伊藤紘美
作業帽くしゃりと笑顔のいい青年    あずみ
 「飲みっぷりもよかった。へへ。今の夫です」
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
亡き父のあれこそ南十字星       ばんば
 「六十年前戦死した父が、娘の私にはがきで描いてきた南十字星を、とうとう今年サイパンで見てきました」子の手の中に残る歴史。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
復興へ残暑厳しいボランティア   影山武夫
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ 」中日新聞9月15日(木)      締切
 (ペットボトルをぐいと飲みほす まみ)
青い空ちいさな私にできること     ドリー
 急に秋ですね。宿題はもう出されましたか。  
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
嘘じゃない妻の顔見て言い切って    にっか
 ハハ。私たちの暮らしのひとこまを。想像、妄想自由。時事句、恋句歓迎。秋の風景もぜひ。
 ところで先週私めのインターネットHPで十一年前に発生した長い長い鎖連句がとうとう十万番に達しました。祝いに音楽関係の単語を詠み込む百番をしたんですよ。ほんの一部をご紹介。
100034恋に落ちそなタイトスカート       小町(ソナタ)
100035素寒貧クレディットカード紛失し      のら(ピンクレディ)
100036にゅっとUFO雲の陰から        合(フォーク)
即吟競争の熱戦でしたよ。ええ、詠み込みは古今和歌集に「物の名」として出ている大人の伝統遊びなんです。興味のあるかたはのぞいてみてくださいな(HP矢崎藍の連句わーるど)。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
町工場休憩室にかまどうま      葵 
 さて、ペットボトルの句への付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。九月十七日(土)までにご投函を。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 」中日新聞9月8日(木)      募集
 (あかあかと夾竹桃が燃えている ザリ)
遠い記憶のプールサイドに       マーサ
彼と過ごした初めての家        りつこ
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
必然だった恋の終末           獅狼
想いを絶った朝焼けの空         しん
 (あかあかと夾竹桃が燃えている)
まるであの日が無かったように     ドロン
卒寿の母の梅を干す背な        恵紅
  多数の御投句ありがとうございました。この夏夾竹桃に寄せた、わが仲間たちの営みと思い、いかがでしたか。さて、つぎの宿題です。
 「ペットボトルをぐいと飲みほす  まみ」
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
  (ペットボトルをぐいと飲みほす)
ラブレター今がそのとき渡すとき   しゅぴZ
 ペットボトルを飲みほすだけなのに、付け句でドラマができるでしょう。主人公も場面も、そうそうボトルの中身も、付け句作者の意のままです。経験はもちろん、想像でも。時事、大笑いも。
 (ペットボトルをぐいと飲みほす)
白む空しめきり原稿まだ書けず       藍    
 発表は十月いっぱいですので秋の句もくださいな。付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。九月十七日(土)までにご投函を。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)