揺れる気持を誰に告げよう ひわ (2010/6/10~7/29)

前句   揺れる気持を誰に告げよう     ひわ

「募集」中日新聞7月29日(木)      募集
 (揺れる気持を誰に告げよう  ひわ)
再検査良性までの長きこと       小嶋武
 検査のお仲間の句多かったですよ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
ぷよぷよのお腹かかえて土用丑    やっと亀
勝負服ほほえむ君はFカップ    小枝ちゃん
 (揺れる気持を誰に告げよう)
亡き母の墓石に向かい愚痴少し    村木節子
夏野ゆくローカル線のひとり旅       暁
みんなで揺れた今回の付け句いかがでしたか。多数ご投句感謝。さて次の宿題ですよー。
  あら暑しあつし何して暮らすべき   一茶
この五七五句に七七句を付けてみませんか。江戸時代も暑かったんですよ。
 (あら暑しあつし何して暮らすべき) 
昼もそうめん晩もそうめん        どら                     
一段と暑い2010年の夏を句にしましょ。ご自分の日常はもちろん、世の中のことなど。想像、妄想オーケー! 恋句、爆笑句も楽しんで。
 (あら暑しあつし何して暮らすべき)
湯上がりの肌うちのかあちゃん       藍
 夏の自然、情緒ある夜の風物句もぜひ。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。八月七日(土)までにご投かんを。七七句ですよー!
  (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「風鈴です」中日新聞7月22日(木)      発表5
 (揺れる気持を誰に告げよう   ひわ)
飛行機のスパッと分けて夏の空      流星
 さあ、暑いぞ。
ママチャリと白い帽子と日焼けどめ   遠江坊
 (揺れる気持を誰に告げよう)
唐突に貴方スキよと囁かれ      鈴木辰彦
当たったわサマージャンボの三億円    葉桜
ハハ、こういうふうに揺れたいなあ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
風よ鳥よあの人だけは内緒だよ    鈴木正子
今八十二まっこと逢いたい人がいる   美恵子
 命なりけり。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
親友を演じきるのに疲れた日      アルテ
鍋薬缶シンクにコンロピッカピカ   伊藤珠子
 悩んでるときは働くの。磨くの。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
くり返し「呆けてないね」と母笑顔     直
 大丈夫。大丈夫ですってば。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
路地裏の占い館列ができ       ハッピー
首相が並んでたりして。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
落ち着いて線香花火に火を付ける   服部哲也
 思い深まる夏情緒。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
うるさいといわれてしまった風鈴です  ミモザ
  (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「分岐点」中日新聞7月15日(木)      発表4
 (揺れる気持を誰に告げよう  ひわ)
雨上がり睫毛も頬も濡れていた     まさと
 虹が出たら梅雨明けですよー。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
さくらんぼつるっと食べた君の唇   みんみん
 どきどきしちゃうべ。
青葉風浴びておんなの分岐点      ひろみ
 きりっと踏み出す美しさ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
宵祭り君の隣に知らぬ人         洋一
バツイチの介護に励むあの男性    ウッチー
 「私と同じー、気になる」。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
お風呂場の石鹸ねずみのかじり跡    ママン
ゴキブリが飛行している都会の夜    有佳里
 「蚊もいないマンション三階キッチンの窓に、黒い奴がとびこんできました!」
 (揺れる気持を誰に告げよう)
万歩計体重計に検温器          大万
突然に耳の奥から蝉の声        旦喜
「難聴。本当にある日突然ってあるんです」
 (揺れる気持を誰に告げよう)
ほんとうは株で虎の子大目減り   かぐやひめ
今月も無職の息子に送金し      無せーふ
 「こつこつやっております」
 (揺れる気持を誰に告げよう)
夏帽子波に向かって放り投げ       恵紅
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「草食と」中日新聞7月8日(木)      発表3
 (揺れる気持を誰に告げよう     ひわ)
紫陽花の「うつり気」という花言葉      紅
柚子の葉の上にうごめくサナギたち  ロッシー
 さあ、羽化。アゲハチョウになって夏の空へ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
初彼氏薄着で攻める初デート       夏満
 ハツカレシですって。かわいい引力。
草食と見られて牙が出せぬまま    小鈴卓央
 うううう。遠吠え! 
ピンヒール優しく踏んであげる夏    みゆき
 イテテ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
あんみつにマイナス5キロがんばれない  彩音
 ここで屈すると堰が崩れるよー!
禁煙を決めて我慢の一週間      青柳善作
「50年でうち止め。最初の一週間が勝負」と。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
退職かこのまま少し勤めるか      浅やん
夫が今日四十年を勤め上げ      あんでん
「明日からずっと一緒――ビミョーな気分」ですって。先は永い。まずはお赤飯!
 (揺れる気持を誰に告げよう)
吹き替えと字幕と2D3D       草笛奏
立体映像まで。選択肢が多くて忙しい日々。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
夕波にじゅごんの夫婦鼻を出し     愁村
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「好いとう」中日新聞7月1日(木)      発表2
 (揺れる気持を誰に告げよう    ひわ)
梅雨に入り僕の鼓動と雨の音     遠山寛和
 高校生さんですよ。
新緑が風に飛ばされ散ってゆく  高橋季実彦
 ああ、青くさくってみずみずしい季節。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
さわさわとかまきりの子ら乱れ飛ぶ  丹羽香織
 「誕生一ヶ月後、レンギョウの葉の上で三倍の長さに。
でも日に日に少なくなって」薄緑の霧のようにごっそり生まれ、何匹生き残れるか。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
ブログでの君の言葉は本音なの     ぱんや
あいつやめ俺にしろよと手を取られ    こお
あの、そのー。
「好いとう」の言葉は熱く胸深く     泰枝
 博多弁ですね。うう、たしかに言われたら一生揺れてしまいそう。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
野党から選挙候補に誘われて     藤村力田
 ええっ。ぼ、僕ですか。
この酒宴支持政党が違う僕      羽下正一
 (揺れる気持を誰に告げよう)
梅雨空に幟冴えない名古屋場所     後高爺
 相撲好きの涙雨が降る。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
茄子の花親の小言も大切に      塚本益美
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「蚊になって」中日新聞6月24日(木)      発表1
 (揺れる気持を誰に告げよう    ひわ)
水玉の傘と紫陽花差し向かい       青虫
ぽつぽつぽっつん、雨ですねえ。
壁蝨蜈蚣蚰蜒も出て梅雨に入る    加藤晃弘
 ゾワー。漢字テストみたいな虫たちだあ
 (揺れる気持を誰に告げよう)
目が合った直下型だよ震度8   みの虫アッパ
 こ、これが恋ちゅうもんか!
お互いにつれあいも居る孫もいる    たんき
送信をためらう指がせつなくて    青いバラ
 はああ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
蚊になってあいつのうなじ食ってやる  みゆき
 うなじの一語でいろっぽい句になりましたね。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
試着室チャックおりないどうしよう   ゆあな
四十路過ぎ鏡に映るほうれい線   とだちゃん
 大丈夫。みんなも必ず年とるから。
イケメンがカツラを取れば好々爺   茂ちゃん
 いいじゃん。いいじゃん。可愛いじゃん。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
はじめてのおつかいこんな宇宙まで   モニカ 
 はやぶさくん、60億キロ、七年の旅ご苦労さん。カプセルは届いたよー!
 (揺れる気持を誰に告げよう)
しばらくは静かにおしとおっ母さん   山さん
ガーン。でっかいおとなが言われてたっけ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞6月17日(木)      締切
宿題付け句はもう出されましたか。
 (揺れる気持を誰に告げよう    ひわ)
短か夜のマニキュア乾くまで見つめ   あづさ
 恋しちゃったかー。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
とりあえずマーキングする去勢猫      葵
 ああ、このごろの雄猫くんのやるせなさ。人でないものの身になるのも付け句の視点です。 
 ところで句を作るにつけ、言葉忘れを嘆くこと多いお仲間に。『五七語辞典』という変わった本が出ました。近代、近世の名句名歌の五音七音を抜き取っています。例えば「雨」の項に「雨あがり」「雨脚の」「雨を聴く」「雨にくれゆく」などの表現例がざっと160。おや、「雨は真珠か」「雨ニモマケズ」なんて懐かしいのも。日本の五音、七音はさまざまで美しいなと読んでると、自分のボキャブラリーも増えるかも。特に付け句、連句のように想像して言葉を探す句作りには、発想も刺激されて役立ちそうです。(三省堂・佛渕健悟、西方章志編。二千円+税)さて、
 (揺れる気持を誰に告げよう)
美ら海の白い渚を突っ走る        芙美
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。六月十九日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞6月10日(木)      募集
 (ふと立ち止まる雑踏の中   珠)
夕飯のカレーの肉を買い忘れ     池戸芳枝
 忘れ物、ガス戸締まりの句の多かったこと!
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
何故みんなそんなに急ぎ歩くのか      瓜
あの日まで総理と民は呼んでいた    ふさこ
 この付け句は四月下旬にいただいたんですよね。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
初孫の誕生を待つ細い雨        浅やん
 いま雑踏をゆく仲間たちの姿、いかがでしたか。多数ご投句感謝。さて、つぎの宿題です。
  揺れる気持を誰に告げよう     ひわ
この七七句に五七五句を付けてください。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
年下がなによ無職がなんなのよ      エミ
揺れる気持は生きていればしょっちゅう。ご自分の経験でもよし、他人さまの身になっての想像も。ハイ、小説やドラマを作るつもりで、ご自由に主人公や場面設定をどうぞ。恋句はもちろん、まさに内外揺れるこの世の時事句もぜひ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
合歓の花咲いて故郷は川の音        藍
 夏の風景句、爆笑句も。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。六月十九日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)