ふと立ち止まる雑踏の中 珠 (2010/4/15~6/10)

前句   ふと立ち止まる雑踏の中   珠

「募集」中日新聞6月10日(木)      募集
 (ふと立ち止まる雑踏の中   珠)
夕飯のカレーの肉を買い忘れ     池戸芳枝
 忘れ物、ガス戸締まりの句の多かったこと!
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
何故みんなそんなに急ぎ歩くのか      瓜
あの日まで総理と民は呼んでいた    ふさこ
 この付け句は四月下旬にいただいたんですよね。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
初孫の誕生を待つ細い雨        浅やん
 いま雑踏をゆく仲間たちの姿、いかがでしたか。多数ご投句感謝。さて、つぎの宿題です。
  揺れる気持を誰に告げよう     ひわ
この七七句に五七五句を付けてください。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
年下がなによ無職がなんなのよ      エミ
揺れる気持は生きていればしょっちゅう。ご自分の経験でもよし、他人さまの身になっての想像も。ハイ、小説やドラマを作るつもりで、ご自由に主人公や場面設定をどうぞ。恋句はもちろん、まさに内外揺れるこの世の時事句もぜひ。
 (揺れる気持を誰に告げよう)
合歓の花咲いて故郷は川の音        藍
 夏の風景句、爆笑句も。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。六月十九日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「この年齢」中日新聞6月3日(木)      発表5
 (ふと立ち止まる雑踏の中     珠)
コーギーのフリフリおしり萌えてまう   ゆゆ
キャ、かわゆい。
迷い猫足にまつわりわが家まで    鈴木正子
 いっしょに暮らそうか。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
故郷の祭りを映す大画面       あじさい
 「名古屋の街頭のテレビ画面に高山祭の様子が映しだされて懐かしく誇りに思いました」
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
.膝を病み駆け足の子に追いぬかれ 事務員さん
 あれあれ、全力疾走できるなんていいね。病んだ視点で初めて見えるもの。
この年齢になればわかると父の言う  大畑杉子
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
背後から婆さん呼ばわりする爺さん 水野千恵子
 キッ。怖い顔がいっせいに振り向いたりして。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
捨ててきた過去に背中を叩かれて     徒夢
 沖縄! 日米安保五十年! 繁栄? 
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
笑い合う親子に孤独深まりて        悦
 笑う人もいて、さびしい人も歩いてるのさ。
風の声今すぐ家にお帰りと       菜の花
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
一日終え頑張ったねと夕燕       まゆみ
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「あぶりイカ」中日新聞5月27日(木)      発表4
 (ふと立ち止まる雑踏の中   珠)
初夏の風少女の帽子走りくる     加藤晃弘
かるがもの親子引越しせわしげに   ハッピー
みずみずしい生。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
私より上手に着てる同じ柄      小鈴卓央
向こうから同じネクタイやって来る    豊親
 くく。お互い見ないふり。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
見え隠れ初恋の人二人連れ         桂
 いいの。もういいんだけど。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
肩と肩ぶつかり合って巡り会う     無花果
元彼とデートした道変わらない      まろ 
 でも、過去になったんだ。
懐メロがかかる居酒屋あぶりイカ  りこちゃん
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
出張だ威張った夫の嘘がばれ    福井さき子
 さあ、さあさあ。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
天国の父があそこを歩いてる     ころりん
この世にはいないあなたを振り返る  大橋正枝
 亡き人の姿を見る句をたくさんいただきました。
一度でいい、ただ会いたいこの思い。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
天道虫肩からすっと飛翔せり     近藤富子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「リュック背に」中日新聞5月20日(木)      発表3
 (ふと立ち止まる雑踏の中     珠)
縁日の参道彩るハナミズキ       ひろみ
ハナミズキの街路樹が多くなりましたね。
信号のないふる里の山は萌え      由美江
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
ぬくもりと君の残り香風に舞う      紀志
いま別れたばかりの人。ふうー。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
交差点声かけそびれ青になる      美ずき
バイク音逆方向の彼が行く        ゲコ
行き違いも運命なんです。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
この場所に確かにあった映画館     ふきよ
どこ見ても灰皿らしき物は消え     やすを
 いつのまにか変わる街かど。
リュック背に都会暮らしも三年目   近藤スズ
 若いもんも、八十歳もリュックでGO!
最近の男子学生芳しい       とだちゃん
 ホホ、汗くさくないんだわ! 
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
ケータイを切ればしがらみ消え失せて  タヌ公
 昔のほうが自由だったのかな。いま便利な情報網に
からめとられ縛られている私たち。ケータイを捨て
街に出ようーって誰かいわなかった?
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
俺は今どうしてここにいるのだろ     風歩
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「宇宙人」中日新聞5月13日(木)      発表2
  (ふと立ち止まる雑踏の中   珠)
ベビーカー鯉と菖蒲がはためいて   くゆたん
イベントのピエロ行き交うかろやかに 伊藤紘美
 連休から急に暑くなりましたねえ。
マネキンのツンと尖った夏の胸    藤村力田
 解放の夏がきた。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
会いたいな今すぐ君に会いたいな   岩崎尚子
 これを恋という。
「アイシテル」言葉にできず手をつなぐ 百日草
振り向いた彼の抱擁受けとめる   かぐやひめ
ハグだもん、人前でも平気。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
犬猫と夫を残して一人旅         あき
 「夫さまさま」です。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
ポケットのマナーモードが呼んでいる   ナン
天空率60%のオフィス街      塚本益美
 さあ、仕事だ。
プレゼンの資料持つ手で胃をさする   ちょい
やれやれ、仕事だ。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
あの言葉リストラ予告だったのか   羽下正一
 今となれば見える組織の内情。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
宇宙人総理となってさまよって     眠り猫
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「白いシャツ」中日新聞4月29日(木)      発表1
 (ふと立ち止まる雑踏の中      珠)
夢見てた都会の風を深呼吸        更紗
 「新生活にもそろそろ慣れてきて」
遊歩道ブロックの隙咲くスミレ      洋一
 あ、ここにも。紫色のけなげな花。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
三歩先あの百円を拾おうか     木村れいみ
 たかが百円されど百円である。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
背後から君に呼ばれた気がしたの   そらみみ
似てるだけ声としぐさと白いシャツ  三島園子
 かくて過ぎてゆく人。人。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
豆を煮るトロ火は消して来たよねえ  八木茂平
 どうも気になる。
電気ガス戸締まりもよし薫る風     のん子
 大丈夫だよね。確認し歩きだすわれらが日々。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
消防車我が家の方へ何台も    かよねこ
 「たまにドキッとします」
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
内定なし自己責任と言わないで   加藤弥恵子
私だけ?卒業したけど就活中      スミレ
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
宇宙には瑠璃色に浮くこの地球    山本尚子
 山崎直子さんの目を通しくっきり見たっけ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞4月22日(木)      しめきり
 (ふと立ち止まる雑踏の中   珠)
くしゃみ出るしかも大きいヤツが出る  あづさ
ふぁ、ふぁ、ふぁーくしょん。突然寒かったりする春ですね。付け句宿題は出されましたか。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
十円の値札のついたキャベツあり      葵 
 わっ。この野菜高騰中に。目ぎら。
 そうそう。私めのHPの掲示板で日々付けられている連句が十年目。先週九万句をこえ、キリ番祝いに河川名の詠み込み百句をしましたよ。
90034  いびられたってしょーないことよ 藍(揖斐川・庄内川)
90035 改まる兆候はなしついに起訴   ザリ(荒川・多摩川・長江・木曾川)
てなわけです。詠み込みは「物の名」といって『古今和歌集』にもあります。この国の文芸は仲間と遊ぶのが大好き。はい、このコラムもね。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
車椅子さっと手を貸すリーゼント     芳梅
 かっこいい兄イだこと。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
別れたよいまごろ涙こみあげる     まりあ
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく五文字以内で)の方は本名も明記して。四月二四日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞4月15日(木)      募集
 (珈琲ふたつまずは注文 拓)
別れたい別れたくない揺れてます     麻子
告白はあなたの方からしなくちゃね   れい子
 
 (珈琲ふたつまずは注文)
入院もこれが最後と祖父笑う   青虫     
母の愚痴介護施設の午後三時      かずこ
それぞれ胸に刻むたいせつな人とのひととき。
 (珈琲ふたつまずは注文)
遍路道白装束の二人連れ       塚本益美 
 珈琲の香の漂う人間模様、いかがでしたか。多数のご投句多謝。さて、つぎの宿題です。
  ふと立ち止まる雑踏の中   珠
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
豚骨のラーメン博多の匂いだぞ      けい
いろんなものに、いろんな人に、いろんなことに出会う街。ご経験でも想像でも
(ふと立ち止まる雑踏の中)
ポケットの着信音に迷いあり       芙美
恋句、お笑い句歓迎。時事句にも挑戦を。雑踏に生きるあなたのふとした思いも句にしましょ
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
青葉風チュニックの裾ひるがえし      藍
初夏の風景句も。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も。四月二四日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)