珈琲ふたつまずは注文 拓 (2010/2/25~4/15)

前句   珈琲ふたつまずは注文    拓

「募集」中日新聞4月15日(木)      募集
 (珈琲ふたつまずは注文 拓)
別れたい別れたくない揺れてます     麻子
告白はあなたの方からしなくちゃね   れい子
 
 (珈琲ふたつまずは注文)
入院もこれが最後と祖父笑う   青虫     
母の愚痴介護施設の午後三時      かずこ
それぞれ胸に刻むたいせつな人とのひととき。
 (珈琲ふたつまずは注文)
遍路道白装束の二人連れ       塚本益美 
 珈琲の香の漂う人間模様、いかがでしたか。多数のご投句多謝。さて、つぎの宿題です。
  ふと立ち止まる雑踏の中   珠
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
豚骨のラーメン博多の匂いだぞ      けい
いろんなものに、いろんな人に、いろんなことに出会う街。ご経験でも想像でも
(ふと立ち止まる雑踏の中)
ポケットの着信音に迷いあり       芙美
恋句、お笑い句歓迎。時事句にも挑戦を。雑踏に生きるあなたのふとした思いも句にしましょ
 (ふと立ち止まる雑踏の中)
青葉風チュニックの裾ひるがえし      藍
初夏の風景句も。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も。四月二四日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「夕陽見る」中日新聞4月8日(木)      発表5
 (珈琲ふたつまずは注文 拓)
引越して新居の街の地図広げ      みゆき
退院の夫と連れ立ち春の街      松山恒子
 花降る街のまぶしいこと。   
おしぼりでついでに体ふくおやじ  小枝ちゃん
がはは。睨むなよ。
ピザみっつよっつパスタでその体   南田桃里
 (珈琲ふたつまずは注文)
脈ないと思っていたのに来たメール   ミモザ
あたためた四半世紀の恋溶ける      佳代
「珈琲ブラック!ですと。大人になったんだ」
 (珈琲ふたつまずは注文)
見つめ合い言葉はなくて手を握る   タイタイ
彼ゲーム彼女雑誌で会話なし   うさみん
 愛はそれぞれなのだ。
 (珈琲ふたつまずは注文)
辞めたいと辞めぬ仕事の愚痴を言う   ちょい
 「人員整理で残った者は超多忙だし。辞めたら、次の仕事が心配だし」
面接はシュミレーションとは違ってた  やすを
 長い就活。新卒さんまで加わる四月。
 (珈琲ふたつまずは注文)
プロポーズ受けたあの日の角の席      直
天国のあなたこの席だったわね      ひわ
 (珈琲ふたつまずは注文)
海眺め話はないよ夕陽見る      田渕義明
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授) 
「花払い」中日新聞4月1日(木)      発表4
 (珈琲ふたつまずは注文   拓)
花吹雪浴びて八回くしゃみする     ひろみ
お互いの頭の上の花払い        のり子

 桜前線北上中です。
 (珈琲ふたつまずは注文)
パンプスに踏んづけられた初出社     太一
「痛ててっ」からのご縁もあるのね。
メモリーにあなたのデータつめこんで  ゆあな
アドレスの交換しては盛り上がり   位田仁美
 おお、何かが始まる四月!
 (珈琲ふたつまずは注文)
お待たせと別れ話に濃いルージュ  佐藤智恵子
 終わることもある。これ人生。
  (珈琲ふたつまずは注文)
小沢さん二人一緒に辞めましょう    タマ助
 じろり。無言。
 (珈琲ふたつまずは注文)
十年も逢わぬ親父に無心され     小嶋武
お金なら何とかなるさ判を押す   うたたねこ
そ、それってまずいんでは。
 (珈琲ふたつまずは注文)
城巡りローカル列車乗り継いで    ハッピー
スィルブプレあとは手振りのパリのカフェ 桃兎
 羨ましい海外旅行組。
 (珈琲ふたつまずは注文)
春の宵狐と狸がおしゃれして     松山靖郎
酔生夢死の世を生きるなり。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「銃を置き」中日新聞3月25日(木)      発表3
 (珈琲ふたつまずは注文    拓)
春の陽がグラスの氷に差し込んで    無花果
 いよいよ桜が咲き始めましたね。
ゆで卵サラダトースト昆布茶まで  かぐやひめ
名古屋圏自慢のモーニングだよん。
 (珈琲ふたつまずは注文)
友達のラインを超える勝負どき    坂場太輔
高校生さんからも楽しい句がいっぱい。
落ち着いて話せばわかりあえるはず  青木俊樹
もう決めた子供はあたしが引きとるわ 相原菜摘
うふ。おとなたち、見られてる。
 (珈琲ふたつまずは注文)
婚活の殺し文句は趣味料理      本多雅子
 殺されないように。
仲人の嘘そこまでは信じよう       嘉男
 この御時世にお見合いも復活です。
手の届くところへ夢を置きかえる   藤村力田
 (珈琲ふたつまずは注文)
働いておしゃべりをして働いて   岩津志乃ぶ
 「平凡だね」「平凡でいられるなんて幸運なのかもよ」
 (珈琲ふたつまずは注文)
銃を置き迷彩服を脱ぎ捨てて       風歩
この地上でそんな日常を送る人たちが、たった今もいる。
知ってて生きてるわれらなり。
 (珈琲ふたつまずは注文)
普天間のフェンス黙して碧い海     二太郎 
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「衛星の」中日新聞3月18日(木)      発表2
 (珈琲ふたつまずは注文   拓)
聞かせてよ内緒話をまず先に       星子
盛り上がるおしゃべりケーキまた追加  とよこ
 春だもん。女だもん。
 (珈琲ふたつまずは注文)
プレゼンでアシスタントに好きな人    洋一
マスターが口パクで言う「おめでとう」あんでん
 とうとうカップルで来たねえ。
主導権どうも彼女が握りそう      ふさ子
 「結婚するのよっ」「ハイッ」
 (珈琲ふたつまずは注文)
亡き友はジャズと紫煙を身に纏い みの虫アッパ
 それがかっこよかったあの時代。
忘れたの事業仕分けで禁煙よ       千秋
 お宅も第二次仕分けやりますか。
 (珈琲ふたつまずは注文)
母さんは膝の通帳見つめてる      後高爺
ドアにあるバイト募集が目にとまり     暁
 いま食ってゆく道のエッ坂ホイ坂。
 (珈琲ふたつまずは注文)
真向かいのビルの出入りを張り込みに  とみこ
 はぐれ刑事、もういない。
 (珈琲ふたつまずは注文)
衛星の横切る昼の長話         眠り猫
 私たちの頭上をいつも通過している数多の人工衛星。気がつかないでいるのどけさよ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「なぞってる」中日新聞3月11日(木)      発表1
(珈琲ふたつまずは注文 拓)
雪柳ことしも雨に咲いてるね      あさな
 一雨ごとに春ですよ。
(珈琲ふたつまずは注文)
母さんと合格発表帰り道       たんぽぽ
「笑いながら飲んだ珈琲も、押し黙って飲んだ珈琲もありました。なつかしいなあ」
(珈琲ふたつまずは注文)
6時間過ごして払う300円       流星
 「あとは水だけで時間を忘れて過ごしたファミレスの思い出。若かったです」
(珈琲ふたつまずは注文)
僕ミルク君はブラックまったり中   木村千里
彼の手が私の名前なぞってる     近藤徳枝
 じんとしてしまう!
   (珈琲ふたつまずは注文)
会社まで押しかけてきた元彼女       毬
 こ、怖いよー。
(珈琲ふたつまずは注文)
バッグから重い空気の請求書     加藤珠也
 仕事はきびしいっす!
お返事はイエスかノーのどちらかで  山本尚子
「アメリカ式にはっきり言ってね」
(珈琲ふたつまずは注文)
福の神貧乏神と密談中          侘助
「じゃ。その人は僕が引き受けよう。で、こっちは」―ワー、これ以上格差
作らないでええ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞3月4日(木)      締切
 (珈琲ふたつまずは注文    拓)
遅刻魔はどんないいわけするでしょか  ときよ
宿題付け句はお出しになりましたか。珈琲を注文した人生のひとこま、どう展開するか。付け句しだいで人間の面白さが見えます。ええ、ひとつの前句に「付け句は千万也」(『去来抄』)というんですよ。句数制限をしていませんから、いろんな状況を考えて遊んでください。
 (珈琲ふたつまずは注文 拓)
子の挙式涙々で終えました        芳梅
 感動! 今回は喜怒哀楽何でも付きます。ご経験の場合はコメントなどもどうぞ。
 (珈琲ふたつまずは注文)
エナメルとズックの靴で交す恋       葵
 テーブルの下でつつき合って! ラブコメディーの始まりー。想像力全開で物語を。 
あ、第一便が春風にのってきましたよ。
(珈琲ふたつまずは注文)
息をつめ真央の演技に汗握る    とだちゃん
 (珈琲ふたつまずは注文)
きれいごと言って政権取ったけど      晶
 きれいごと、実行しなさい!
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。三月六日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞2月25日(木)      募集
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
もとエクボ今はシワでもいい笑顔   武田礼子
惚れた弱味で添った男の六十年    洒落八
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
八十歳気分は只今十八歳        みやび
 「高年大学入学一年生。再びきた青春です」
父白寿晴耕雨読の生き字引        旦喜
長老讃歌多数。今後世代の行末も考えさせられる今回でしたね。
多数ご応募多謝。さて春です。
  珈琲ふたつまずは注文     拓
この七七句に五七五句を付けてください。
 (珈琲ふたつまずは注文)
年上の女するりと脚を組む         藍
二人の関係は恋人?親子、同僚?何の話が始ま
るのかな。ご経験でも他人さまのことでも。
 (珈琲ふたつまずは注文)
この店を出たら他人になるつもり     聖子
 ありゃ。小説、映画の場面を想像するのもよし。SF、ホラーOK。
時事句ぜひ。爆笑句も。  
 (珈琲ふたつまずは注文)
花降れば路面電車の行き交って      芙美
 発表は三月から四月にかかりますから、春の風景句、卒業入学の句もぜひ。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。三月六日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)