ちょっと自慢をしてもいいかな あづさ (2010/1/7~2/25)

前句   ちょっと自慢をしてもいいかな   あづさ

「募集」中日新聞2月25日(木)      募集
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
もとエクボ今はシワでもいい笑顔   武田礼子
惚れた弱味で添った男の六十年    洒落八
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
八十歳気分は只今十八歳        みやび
 「高年大学入学一年生。再びきた青春です」
父白寿晴耕雨読の生き字引        旦喜
長老讃歌多数。今後世代の行末も考えさせられる今回でしたね。
多数ご応募多謝。さて春です。
  珈琲ふたつまずは注文     拓
この七七句に五七五句を付けてください。
 (珈琲ふたつまずは注文)
年上の女するりと脚を組む         藍
二人の関係は恋人?親子、同僚?何の話が始ま
るのかな。ご経験でも他人さまのことでも。
 (珈琲ふたつまずは注文)
この店を出たら他人になるつもり     聖子
 ありゃ。小説、映画の場面を想像するのもよし。SF、ホラーOK。
時事句ぜひ。爆笑句も。  
 (珈琲ふたつまずは注文)
花降れば路面電車の行き交って      芙美
 発表は三月から四月にかかりますから、春の風景句、卒業入学の句もぜひ。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。三月六日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「春よ来い」中日新聞2月18日(木)      発表5
 (ちょっと自慢をしてもいいかな   あづさ)
マラソンの思い出雪の駒ヶ岳       達郎
「真っ白な嶺はいまも神々しいです」          
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
彼だけが私を美女と誤解して    マリアンヌ
 誤解なくして恋なし。
席ゆずり「次、降ります」と途中下車   普文
 んま。逃げなくたっていいのに!  
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
相方は家事も支えるヒゲメガネ    南田桃里
「マイダーリンのことです。ウフフ」
玉子焼きタコウインナー彼の味      葉桜
 共働きパパのお弁当係りが増えたそうな。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
やめました煙草パチンコ三日間     やすを
二日酔こらえて七時に出社する       武
 がんばってるんだぞー。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
二十ケタ覚えています円周率     岩崎尚子
デミグラとデノミにデフレ知ってるよ ウッチー
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
3Kと言われし仕事10年目     木村正夫
この一年受けた面接二十二社     どんくん
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
やさしくてまじめな息子春よ来い     泰枝
 資本主義社会の自由放任競争のはてに、優しい
息子娘たちがもがいている。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「リバーシブル」中日新聞2月11日(木)      発表4
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
雪の中光る白菜鍋直行        マコママ       
 冬の寒さも、もうひと息ですね。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
ぼくの耳動く父さん眉動く       ケイタ 
「ふたりで炬燵に並んでぴくぴくご機嫌です」(ちょっと自慢をしてもいいかな)
ゴミ減らし自転車(チャリ)で地球を救ってる  うさみん
エコバック思わぬ場所に一万円    近藤スズ
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
つけまつげ特殊メイクで一時間   嶺澤由美子
 「私還暦、アラカンです」と。やるね。
あでやかにネールアートで描く世界  ハッピー
 見て! 見て! 
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
冷たい手!あなたに包まれ溶かされて 佐藤康代
夫のすねエコの湯たんぽ冬の夜    おっかあ
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
妻愛人リバーシブルに着こなして    みゆき
 おいおい。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
はくせいのキリン今でもある母校   伊藤紘美
「小学校の、天井の高い音楽室」―懐かしい。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
町はずれ夕陽の沈む三分間         暁
落日の赤き光が部屋じゅうに      のり子
 この光の中に生きていることのすばらしさ。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「僕のルックス」中日新聞2月4日(木)      発表3
(ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
白梅にメジロのつがいが今朝もきた   りん
COP10ビルの谷間の小さな庭   伊藤珠子
 狭くても春いっぱい。生物多様性会議です。
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
よく見たら僕のルックス小栗旬    安田征弘
 「ねえ、そう思うでしょ! なぜ黙ってるの」
激カワの息子をうんだ我トンビ     りゅう
 激カワイイちゅう親バカの激アリ(がたさ)!
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
貴男とは我慢に我慢の五十年     茂ちゃん
 賞状がほしい。副賞財産つきで。
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
定年後朝餉の担当八年目         文華
妻温泉私留守番床磨き          千秋
 えっさかほいさか、フレーフレー! 
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
八十路すぎメールが出来る楽しさよ ちーちゃん
卒寿すぎパソコンで見る新世界     ゆきえ
「部屋で遠い家族と通信。野球の試合経過を見、何でも検索。
まさかこんな世にあえるとは」
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
ロボットに仕事を頼みショッピング 寺田やす子
 2010年てこうなるはずだったんだけどな。
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
この宇宙さっきまでのは習作で    タヌ公
 ま、神様、これからどうしてくれる気?
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「Uターン」中日新聞1月28日(木)      発表2
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
志摩の冬牡蠣河豚海老の御食国   りこちゃん
 この豪華!。
みそ煮込みどて煮串カツみそおでん   ひろみ
「名古屋人のソウルフード」
干し野菜しめじ大根柿茗荷      大畑杉子
 こっちもばばさまが伝えた大切な味だよー。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
あの人が私のレジに来てくれた     ドロン
偶然ね目があったのよ数秒間     キャビア
 ああ、恋はそうしてはじまるわ。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
婚活にピリオド打った五十歳     加古敬子
 永くかかったのは、神様の思し召しか、いまの社会の構造か。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
くたくたに疲れきってる参考書     無花果
「センター試験に向かう途中の投函です。庭のタンポポのように桜を無事に咲かせてきます」
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
痛風か僕もなったと酒の席      羽下正一
これ胃がんこれ肺がんの手術あと   みんたん 
 これ、これ、めくらないで。 
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
三途の川ちらっと見てのUターン   かよねこ 
 はあ、あぶなかった。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「共寝して」中日新聞1月21日(木)      発表1
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
氷はる池に金魚の赤い影         澄子

 「買って十二年。今年の冬もがんばってます」
ベランダはピンクに染まり桜草      れん
 通りすがりの人もにっこり。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
給料は安いのだけど気が合うの      珠子
外見はどうでもお前は気だて良し    たんき
 いい人見つかってよかったね。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
あけぼのを漂うように共寝して   岩津志乃ぶ
 はあ。おのろけうっとり拝受。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
母ちゃんがくれた小づかい12億  ポッポくん
 あるとこにはあった。ただじゃすまないが。
お年玉パパにも少し貸したげる    やっと亀
 こちとら、ささやかに。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
先生が合格祈願に千羽鶴         なる
高校の担任の先生が折られたとか。みんな、いいね、いいね!
医学部の受験も今年10回目     タマ助
 本当にお医者さんになりたい人ガンバレ!
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
戦争をしながらノーベル平和賞   おーママ
核持たず戦争しない日本国      小嶋武
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞1月14日(木)      しめきり
 (ちょっと自慢をしてもいいかな  あづさ)
おれビールスインフルエンザの新型だい  侘助

うわ、やな奴が出てきちゃった
 ところで、あづささんのこの前句はインターネットHP「矢崎藍の連句わーるど」の掲示板上で11年前に発生した連句「KUSARI」の中の一句です。以後続いている世界一(!)長い連句で、いま九万句に接近中です。このHPには月がわりでお題の出る付け句の部屋もあり、この新聞の「付けてみませんか」の読者や投稿者のかたも遊びにいらしてます。過去のコラム記録も掲載。パソコンなさるかた、のぞいてみてください。
さて冬空を第一便が飛来。
(ちょっと自慢をしてもいいかな)
東京の嫁から今年もお年玉       スミレ
「還暦を過ぎて初めて投稿します」って。なんだか私もほのぼの。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
古稀すぎて歯医者通いを知らぬ俺  桑名の殿様
ううむ、殿様、ご立派!
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく五文字以内で)の方は本名も必ず。
投句数の制限なし。一月十六日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授) 
「募集」中日新聞1月7日(木)      募集
あけましておめでとうございます。このコラム付け句も、二十一年め。五七五句と七七句で普段着の庶民史をつむいできたように思います。21世紀初頭には、 
パンドラの函あけましておめでとう 藍
なんてご挨拶しましたっけ。以後の地上の有為転変。ことに去年今年は厳しい世の中に直面しています。でも函には希望が残っていたんですよね。日はまた昇る。めげずにこつこつまいりましょ!
というわけで年初の前句はプラス思考で。
 ちょっと自慢をしてもいいかな   あづさ
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
破裂した焼きたてケーキ ママの味   カンナ         
おいしいもの。優しい誰か。故郷の味や、懐かしい冬景色。ええ、心を支えるささやかないいことを見つけましょ。家族、友人、えへ、恋人のおのろけもドーゾ。くすくす笑い、大笑い歓迎。
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
モンローとスリーサイズが一緒です     葵
 付け句は夢見ていいの。体にいいわよん!
 (ちょっと自慢をしてもいいかな)
解雇者は出さず賃金分けあって       蕗
時事句もぜひ。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。一月十六日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)