2016(平成28)えひめ俵口連句大会 

入選
歌仙 「島津雨」の巻       捌 間瀬芙美
  島津雨いよよ耀く石蕗の花     間瀬芙美
   石畳踏む音のさえざえ      由川慶子
  ティバック湯呑茶碗に浮かびいて     芙
   テレビドラマの続き気になり      慶
  月を背に野良猫ひょっこり現るる     芙
   案山子を真似て立つ男の子       慶
 ハロウイン母の口紅使い切り       々
   嫌いが好きに変わる年頃        芙
  獄中に恋しと届くラブレター        慶
   クックドウドウルドウと鳩鳴く       芙
  鉄骨の数が足らぬと噂され        慶
   やらなきやならぬ猫の蚤取       芙
  ムームーの袖緩やかに夏の月      慶
   戦語らず父は居眠り           芙
  地図にないバンザイ岬という地名    慶
   土産売り場の客は速足         芙
  春寒のうどんに揺るる花鰹        慶
   天気予報の当たる梅東風        芙


ナオ
堤防の凧合戦のにぎやかに      々
   Uターンして増える人口        慶
  売れ筋のイクメン雑誌積み上げて    芙
   ゆっくり噛めば甘き玄米        慶
  咳ひとつ下宿の窓に影ふたつ       芙
   彼岸此岸を分かつ逢引き        慶
  山間を掠め比翼の鳥の発ち        芙
   漕ぎ出す前の月の隠れ屋        慶
  荒削り盆の団子に菊の酒         芙
   鹿も四足爺も四足            慶
  優しさは介護する側される側       芙
   笑えば揺れの止まぬ籐椅子       慶
ナウボサノバは夏の国より流れ来て      芙
   母国語知らぬ移民三世         慶
  頭下げ鸚鵡は客を歓待す         芙
   きっと見つかる春の手袋         慶
  この空を陣取っている花大樹        芙
   乳母車行く陽炎の町          慶
 平成二十七年十二月十八日満尾       文音