名古屋市長賞 歌仙「北斎の龍」の巻 捌 石川 葵 蒼天を北斎の龍昇りけり 石川 葵 大地の恵み受けしものの芽 谷本守枝 靴工房春のデザインとりどりに 矢崎 藍 FMラヂオ音の程よく 葵 旅めきて片側町に月の影 枝 一里さきより匂ふ木犀 藍 ウ京劇の名優揃ふ秋舞台 葵 駐車違反の切符きられて 枝 歯の痛む彼のもとへと今すぐに 藍 君の笑顔は万病に効く 葵 海で逢ひ海で別るる淡き恋 枝 線香花火ふっと落ちたり 藍 夏衣肩揚げを縫ふ母に月 葵 長押の写真兵卒のまま 枝 ドローン飛ぶ人は賢くなったのか 藍 機密文書はシュレッダー行き 葵 神宿る大樹の桜ゆさゆさと 枝 駒の孕めば遠きまなざし 藍 ナオ朝寝して今日は何日何曜日 枝 下宿部屋には有象無象が 葵 芸術は爆発!てふ書きなぐり 藍 正体かくす仮面妖しく 枝 札束でなびかぬ女ボブカット 葵 キスはディープに銃は冷たく 藍 雪暗の森の中なる線路跡 枝 大梟の守る縄張り 葵 祖父の注ぐ紅茶と祖母の焼くクッキー 藍 身の丈に合ふ暮らし安らか 枝 稿終ふる半月の透くあけぼのに 藍 研究室に満つる爽涼 葵 ナウ三陸の腹太秋刀魚とれ始め 枝 観光バスで糶を見学 葵 名刺にはHAIKU POETと記されて 藍 無明の酒に酔うてをります 葵 花衣たたむ袖より花弁落ち 枝 檳榔毛車にとまる蝶々 藍 平成28年3月8日起首4月16日満尾 文音 |
愛知県連句協会会長賞 歌仙『レントゲン 』の巻 捌 石川 葵 レントゲン素直に息を止める夏 石川 葵 気が付けばけふ時の記念日 坂本孝子 和太鼓の撥の捌きの軽やかに 葵 岬の洞に響く上げ潮 孝 光る澪残し彼方へ月の舟 葵 窓辺に飾るコスモスの壺 孝 ウ いそいそと秋袷出す母のゐて 葵 やや気の置ける家元の茶事 孝 持参金いくらかしらと噂され 葵 キスばら撒いて降りるタラップ 孝 主人待つ盲導犬はわき見せず 葵 寒月白く浴びる聖母子 孝 熱々の蕪のポトフに癒されて 葵 五体沈める革のスツール 孝 達筆の辞職届は引き出しに 葵 動く字典と綽名されける 孝 ニーチェ真似神の死告ぐる花の下 葵 ただかぎろひて原子炉は在り 孝 ナオ壁掛けの農事暦の種おろし 仝 婆はネットで味噌漬を売る 葵 人情と少しの欲を天秤に 孝 妖狐も末は石となりゆく 葵 反魂香焚く翆帳に雪女郎 孝 市民大学講師ダンヂィー 葵 レポートのそれはさながらラヴレター 孝 駆け落ち先を示すカーナビ 葵 七十年戦後を遠き國に住み 孝 幸せ貯金ちやうど満期に 葵 名月の射し入る堂の般若経 孝 影は地に揺れ銀の穂薄 葵 ナウ芸術祭コンセプトにはジャポニズム 孝 ラベルにSAKEと飾り文字書く 葵 伝説の店の主の髯も老い 孝 豆屋の軒に住み着いた鳩 葵 花の雨あした晴れれば叶ふ夢 孝 モーブカラーの春のスカート 葵 平成二十七年六月十四日起首八月二十六日満尾・文音 |
入選 歌仙「枝垂れ梅」の巻 藤 桂 捌 枝垂れ梅影も妙なる神の庭 齋藤 桂 千木突き刺さる料峭の空 名本 敦子 入社式紺の背広で臨むらん 上田真而子 メールではなく声が聞きたし 桂 校了の消灯すれば月指し来 敦 名残の簾揺れるともなく 而 ウ 柿の名は禅寺丸とや山の宿 桂 猫が人気と聞けば猫飼ふ 敦 独り居の気儘といふが曲者で 而 少し濃くなる口紅の色 桂 夢に見る恋は実らぬものらしく 敦 角を曲がれば新世界なり 而 友と飲むビールは無論大ジョッキ 桂 月を慕ひて現るる海亀 而 三線にあはす島唄なつかしく 敦 アルバム繰れば時踊り出し 桂 清水の舞台浮かばせ花花花 而 車椅子ゆく囀の中 敦 ナオ いかなごの釘煮上手に出来上がり 桂 代わり映えせぬ国会中継 通販の広告にまた騙されて 而 父の遺影の髭がピクリと 桂 犬橇駆りて目指す北極 而 駅裏に四柱推命古看板 桂 離婚の度に艶を増す肌 敦 角隠し素性も隠し玉の輿 而 ご隠居様に裏表なく 敦 月の宴十八番の寿限無はじまりて 桂 蓮の実飛んで何か気になる 而 ナウ せつかちは「新酒あります」筆太に 桂 退屈の顎支へたる腕 敦 ジーンズを粋に着こなすそのコツは 而 マリオネットのボランティアたち きらきらと陽差しを弾き花の雨 敦 そこはかとなく香る草餅 而 平成二十八年二月十八日 起首 三月十七日 満尾 |
入選 歌仙「愛嬌は」の巻 碧 捌 愛嬌は目鼻で決まる福笑い 碧 初雀来てさわぐ靴脱 雀羅 春の風海の香をバス停に 常 軽い煙草の増える自販機 碧 気づかれぬ居眠りもある夏の月 羅 ひとりごと言うレモンスカッシュ 常 ウ カフェバーの一番奥に指定席 碧 運命線がいつからか濃く 羅 処女作で文学賞を掴み取り 常 厨に佇ちて涙する母 碧 ほうたるになりて還りし特攻機 羅 つまくれないの咲き誇る庭 常 秋袷渋めの帯をきゅっと締め 碧 和琴の弦に弾かれる月 羅 街角のからくり人形時告げて 常 水晶玉で未来占う 碧 花冷えに鬱の始まる予感あり 羅 墨くろぐろと鱒の拓本 常 ナオ 工房を新しくする春時雨 碧 引っ越してきた李さんと猫 羅 今日もまた爪の手入れを念入りに 常 魔女が鏡に微笑んでいる 碧 盗まれたことを知られぬラブレター 羅 遠ざかり行く枯葉踏む音 常 賑わいは終大師の露天市 碧 欠けた小皿も魯山人なり 羅 ままごとの料理は野草たっぷりと 常 三人姉妹ときに仲良し 碧 月満ちて千秋楽の古典劇 常 秋の半ばの日和定まる 羅 ナウ 長靴を履いて出てゆく栗拾い 碧 友達欲しい山姥のいて 常 手足持つフェースブックの中の菌 嘘と真とあざなえるごと 碧 定年の父の笑顔の花の宴 碧 五重の塔にかかる初虹 常 2016.1.13 起首 同5.3 満尾 |
入選 歌仙 「ピカソの女」 石川 葵捌 福笑ピカソの女出でにけり 石川 葵 箸から逃げし黒豆の艶 坂本 孝子 町工場弁当組は輪になりて 葵 バイク便ゆく渋滞を縫ひ 孝 星空を月渡りをり凪の海 葵 ひんやりと弾く即興の曲 孝 ウ石榴はじけ母はアルトでもしもしと 葵 サスペンスには甘い匂ひが 孝 抱へ帯小型拳銃忍ばせて 葵 誓紙なんぞはほんの鼻紙 孝 傷付いたままの御仏坐す寺 葵 仮設住まひに蚊遣焚く月 孝 缶ビールつまみ持ち寄る町内会 葵 NHKがマイク差し出す 孝 役者の子見様見真似で見得を切り 葵 鏡の前で鳴いてみる猫 孝 はらはらと殉教の碑に花零れ 葵 ガトーショコラに飾る野すみれ 孝 ナオ ゆく春の伝統に見るモダニズム 仝 万年筆の蒔絵美し 葵 調印の落としどころを探り合ひ 孝 足のびやかに秘書のスリット 葵 ワンショットグラスが恋の灯を点し 孝 愛の褥に冬薔薇を敷く 葵 虎落笛老いし執事は独身で 孝 診療所には休診の札 葵 海に沿ふ片側町の軒低く 孝 肝っ玉太いうちのかみさん 葵 月今宵取的の手にスマートフォン 孝 もしかしてこれ毒きのこかも 葵 ナウ 秋高の株の相場に山を張り 孝 貧乏神は妙に浮き浮き 葵 風呂敷は物包んだり被ったり 孝 上用饅頭入れる重箱 葵 花くぐり三顧の礼に立てる使者 孝 亀鳴く池に架かる柴橋 葵 平成二十七年一月十八日起首三 月二十日満尾 |
入選 歌仙 「土偶の目 」の巻 依子捌 秋愁を吐きだしている土偶の目 依子 月の雫を受けて八千草 小葦 鎌祝おはこ次々きりもなし 妖子 猫を従え幼児ぐっすり 桂 夢のせて船ははらりと帆を上げる 七兵衛 夕焼け空にひとひらの雲 依子 ウ まだ青き頭の僧の夏衣 小葦 道を尋ねる歴女グループ 妖子 気になれど未婚既婚は謎のまま 桂 いつのまにやら恋の虜に 七兵衛 やすやすと機密情報漏洩す 依子 イージス艦が浮かぶ海原 小葦 ストーブを背にワイン酌む月の夜半 妖子 狩の話は尽きることなく 桂 千年の伝説秘める富士樹海 七兵衛 送信されし画像鮮明 依子 花守の自負ありありと白い眉 桂 霞の底に獏と居眠る 小葦 ナオ 空晴れて巣箱を掛ける声響く 妖子 みんな一緒に開く弁当 七兵衛 ゆるキャラが笑顔を誘う道の駅 依子 革のカバンに地図とタウン誌 小葦 若き日の苦い思い出桜桃忌 妖子 木下闇の先は神苑 桂 息荒くジョギングの人駆け抜けて 七兵衛 熱い眼差し向けるこいさん 依子 百人が悪く云うから好きになる 小葦 我田引水猪突猛進 妖子 月光の湯殿にひびく浪花節 七兵衛 新酒松茸並びたる膳 桂 ナウ 紅葉山越えてようやく母の里 依子 妖怪君とかくれんぼする 小葦 強風に飛ばされて行く白い紙 妖子 我関せずと伏せる老犬 桂 花明かり明日はきっと良いことが 依子 耳にやさしく佐保姫の歌 七兵衛 27年9月10日起首 27年12月20日満尾 インターネット |
入選 歌仙「申年のまた」の巻 稲垣渥子 捌 夫逝きし申年のまた梅開く 稲垣渥子 正座している雛の客人 間瀬芙美 手離せば風船すいと天井に 矢崎 藍 パソコン画面なぜかフリーズ 板倉 合 満月を横切っていく宇宙船 冨田八穂 柿のすだれを吊す山里 藍 ウ 古文書を読み解きながら濁酒 合 恋を秘めてる若い禰宜さん 同 あちこちにハートマークのあふれ出て 芙 勝利の傷をなめる白猫 藍 街中にお化け屋敷の建ったげな 芙 人呼んで寅バナナ売る月 藍 警報器鳴り出す原発再稼働 渥 重い荷を負い民はよろよろ 穂 国境どちらへ行くか右左 芙 お地蔵さまにあげるおにぎり 藍 母子して餅花飾る奥座敷 芙 初鶯の声は軽やか 合 ナオ公園にジャングルジムと鉄棒と 芙 順番制の町の役員 渥 飲み会で本音を出してはめ外す 穂 柱時計の間の抜けて鳴る 合 逢いたいとメールしてくる雪景色 芙 ふたりで堕ちたパリの凍蜂 渥 吹く風に理無き過去の流れいて 深津明子 弾き手求めるパイプオルガン 合 復興の海に人々戻りつつ 明 西京漬けの鮭は好評 合 こんにゃくを煮付ける鍋に月円か 芙 敬老の日はいつも肩もみ 同 ナウ尉鶲常連の如物干に 穂 遠く離れた故郷の山 芙 開墾の段々畑空にまで 穂 進学決まりゲーム没頭 明 花大樹にっこりえ笑まう阿弥陀仏 渥 蝶のふわりと舞い立てる午後 合 平成28年2月23日起首3月22日満尾 於豊田市福祉センター |
入選 歌仙「ピアス」の巻 齋藤 桂 夏帽子陽と戯れるピアスかな 齋藤 桂 沖の白帆を招く玫瑰 岡部七兵衛 原稿は今日も早々書き上げ 山根 敬子 縁に腰掛け碁敵を待つ 城 依子 望の月影際やかに楠大樹 棚町 未悠 ちちろの鳴くを真似る幼児 桂 ウ この村に住むと決めたる暮の秋 七 夫婦茶碗も半世紀過ぎ 敬 妻いとしいつも天真爛漫に 依 ハミングしつつ外郎を切る 敬 グリフィンはふいに翔び立つ凍空へ 未 くしゃみ一発歪みたる月 依 若者は化石探しにいま夢中 桂 山の奥には隠し湯のあり 未 天国に最も近い花の宿 七 野点の茶会うららかな午後 敬 ナオ 雁瘡も癒えて明るき友の声 依 セーヌ河畔を歩もゆるやかに 未 観劇の余韻にひたり貴腐ワイン 桂 円座の猫は哲学する様 七 緑陰に横顔すてきな客のいて 敬 落とし穴めく禁断の恋 依 艶話お得意という講談師 未 老友寄れば過去よみがえり 桂 病院の待合室の片隅に 七 英字新聞たたまれたまま 依 月光をあびて長距離列車去る 敬 骨董市を漁るやや寒 未 ナウ 仁王門くぐればここも松手入れ 桂 行き交う人はみんな論客 七 初めてのジビエ料理に舌鼓 敬 春を奏でるせせらぎの音 依 花吹雪狛犬たちを覆うかに 桂 太極拳ののどかなる影 七 平成二十七年 七月 十六日 起首 十一月二十三日 満尾 |
入選 歌仙 「玩具たち 」の巻 城 依子捌 薄暑なり楽を奏でる玩具たち 城 依子 天道虫の踊り出す頃 山根敬子 デザインはアルファベットを組み立てて棚町未悠 描いた夢はとても大きい 岡部七兵衛 明月は峻嶺の影際立たせ 齋藤 桂 そぞろに寒き城の石垣 依子 ウ 人生を背負えば遠き秋遍路 敬子 今どこにいるあの時の女 未悠 君の愛やっと気がつく雨の夜 七兵衛 いつもゆく街いつも同じで 桂 フクシマの廃炉作業のままならず 依子 沖合い遥か船は行き交う 敬子 月冴えて白猫歩く太鼓橋 未悠 石焼芋で暖める指 七兵衛 話好き陽気な人の国訛り 桂 平均寿命ぐんと伸びそう 依子 分水嶺包み込まれて花の雲 小町 お玉杓子のゆらゆらと揺れ 未悠 ナオ 読みかけの太宰を開く春の土手 七兵衛 無二の親友外国へ発ち 桂 どこ迄もついて行きます影法師 依子 ワインバーへと続く地下道 敬子 半世紀ひたすら生きて悔いもあり 未悠 耳をつんざく蝉の合唱 七兵衛 身籠もりしおぼこ娘の麻頭巾 桂 何だかんだで真珠婚式 依子 ヤシの木の成長速く屋根を越え 敬子 南の島に眠る父さん 七兵衛 自転車を止め月光に身を委ね 依子 二百二十日は何事もなく 桂 ナウ 豊作に粟稗雑穀よく売れて 未悠 小さき宇宙包むひと椀 敬子 遠来の客も混じりて楽しげに 依子 展望台へ長い石段 桂 咲き誇る花の中なる大鳥居 七兵衛 園児の列に揺れる陽炎 未悠 27年5月15日起首7月3日満尾インターネット |
入選 歌仙「沖縄に」の巻 捌 出原樹音 沖縄に雪降りにけり声上げて 出原樹音 マングローブに冬眠のハブ 板倉合 一斗樽かかえて父は帰るらん 間瀬芙美 土間に転がる漬物の石 稲垣渥子 月光をかき分けていくオートバイ 長坂節子 ぴちぴちジーンズ馬肥ゆる牧 矢崎藍 ゥ 三つ四つとフェンスに下がる烏瓜 合 無住寺となり久し尼寺 由川慶子 逢引きを監視カメラが映し出し 渥 濡れ煎餅の好きな恋人 芙 江戸百景新大橋は夕立に 藍 裸足で走る月は気まぐれ 芙 金銭の授受をごまかす答弁し 芙 三分経てば煮えるラーメン 渥 この駅は急行電車通過駅 節 映画ロケ地となりし故郷 渥 花万朶琴奨菊のイナバウアー 音 腕をパチンと叩く春の蚊 藍 ナオ 海岸に歌舞伎役者の絵凧揚げ 渥 カミングアウトの時見計らう 慶 高層のビルの谷間に抱く愛 芙 寒い寒いとすり寄りし猫 節 その先は神のみぞ知る初御籤 節 父の声聴く風の楪 芙 麗けし日本発の元素名 節 一番人気浅蜊味噌汁 渥 病院の受付にある小さき雛 節 忘れられたる折りたたみ傘 慶 宇宙より俯瞰している地球船 渥 夢を育てる語り部の月 合 ナウ 宴たける右手(めて)に持ちたる猿酒 慶 お盆休みはきょうでお終い 芙 メール来るパリ留学の娘より 渥 ゴッホの描く街は褐色 芙 小生はいつも旬です花の山 合 陽だまりの中飛ぶシャボン玉 執筆 平成二十八年一月二六日 首尾 於 豊田市福祉センター |
入選 歌仙「鬼瓦」の巻 城 依子 捌 凩に威厳を示す鬼瓦 城 依子 急ぎ囲炉裏を開く山里 齋藤 桂 文系が三人額寄せ合いて 八尾暁吉女 学生寮は夢でいっぱい 岡部七兵衛 月光につつまれている時計台 桂 そぞろに寒き街を彷徨 依子 ウ 亡き友を偲び紅葉に浸るらん 七兵衛 欠伸している猫のイザベル 暁吉女 みんなみの島でグラスを傾ける 依子 穏やかな海熱い眼差し 桂 うっかりと好きと囁き五十年 暁吉女 丹精込めた松の盆栽 七兵衛 今日もまたお出ましのよう青蛙 桂 お化け屋敷にふんわりと月 依子 寅さんは口笛高くぶらぶらと 七兵衛 参詣人がカメラ構える 依子 しだれあり今を盛りの花の山 暁吉女 心も身をもほぐす麗日 桂 ナオ 艶やかに都踊りは佳境なり 七兵衛 格子の家の並ぶ町筋 暁吉女 往来を見下ろしている大鴉 桂 ひなたぼっこの主婦等饒舌 依子 ブランドのバックに隠す太鼓焼 七兵衛 危険な恋は傍迷惑で 暁吉女 劇場の奈落の底の逢瀬なる 依子 敏腕刑事汗を拭いつ 桂 精神科名前を変えてサロン風 暁吉女 シャガールの絵が壁に掛けられ 依子 横笛の音の澄み渡る月の庭 七兵衛 人らは黙し虫も鳴き止む 桂 ナウ 修復の仏師にお茶と干し柿を 暁吉女 吟醸酒には一家言あり 七兵衛 異国語の飛び交っている屋形船 依子 バルーン浮かぶ広い青空 桂 花浴びて幼稚園児の砂遊び 七兵衛 春満喫の尾張への旅 暁吉女 27年12月10日起首28年2月3日満尾 インターネット |