『足踏んだやつ』2002.01.11 No.43

asihunda.jpg 21世紀二年目。私のホームページの長い連句も15000番を越えました。
時々刻々の人々の語り合いが句でつづられ、庶民史のようです。猛暑の昨夏―。

   日傘たたんで立ち話する          藍
 お互いに暑さ嘆いて右左         たつみ

地球上は一応の平和に見えましたが、問題は山積。

 風はらみ靖国詣で乱か治か         たつみ
   足踏んだ奴決して忘れず         わび太

踏んだほうはすぐ忘れてにこにこしてる。そして国家もひとりの人格のように怒り、恨む。信頼は築けるのか。
鋭い付けでした。つぎも八月半ばです。

 暗き部屋コンビニ袋さえ重く         柳雪
   兄に特攻誰が命じた         道草

戦争への警戒感は例年以上でしたが、直後の九月十一日に同時多発テロ事件。

 ニューヨークいざよいながら月が出て     小町
   チャリティCD予約受け付け       小晴

惨状に目をそむけつつ出る月はアメリカから。このとき一般個人にできる支援行為はまず募金でした。

 嘉手納から飛び立つジェット戦闘機     タマ助
   NY株式市場再開  蕗

これは19日。日本が世界の中で態度を決めようとするとき。日本という人格は固有の主張ができるのだろうか。
――以後日常の洗濯物を干す句、恋の句、季節のうつろいの句にまじり、
空爆、アフガン、難民の句が不穏に現実をつきつける。
さて年明け。

 15060  記憶にもない雪の朝です       たつみ 
 15061 やぁユーロ!グローバルドルと戦うの?白石

(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)