『ニャンニャンニャン』2001.3.9 No.30

sidarezakura.jpg万物がうきうきする春。この欄でときたまご紹介するインターネットの長い長い鎖連句もますます元気で、いま、9000番に迫ってますよー!

8550  ニャンニャンニャンと今日は猫の日      未悠
8551  爪たててほしいと彼がいったから        藍

 ふふふ。私の句は「いまから恋をやろうよー!」と誘う句である。フェロモンをかきたてるのは体にいい。連句ではこういう句を昔から「恋の呼び出し」といってだいじにする。
それで、お次の人。

8552   中途半端な恋はご辞退 麦
8553 不倫でも罪でもいいのあなただけ      たつみ

 こりゃたいへん。

8554  刹那の薔薇が紅く咲く宵            小晴

あらら。いけない恋人たちは薔薇に同化してしまい、刹那を紅々と咲いた。つまり、その夜は行きつくところまで行ったのですーーというの、おわかりでしょうか。
こういう想像遊びを皆で続けるのが連句である。おつぎは明るい春の恋。

8578  東の窓に笑う山々              むう
8579 ナマ足のまぶしい季節になりました     みのり
8580 なんでそんなに君はキラキラ      ミャーママ
8581  遠くから見つめるだけの僕の恋        雪兎

優しい展開になった。各句の作者たちは全国各地からの接続で、お互い知らない人ばかり。年齢性別も不詳! でも、それはどうでもいい。前の人の句を読んで、想像したら、それに自分の物語をつけくわえてゆく。
つぎの人も。つぎの人も。俳句のように一句で完結するのではなく、帯のように流れてゆく世界―――。
 もちろん恋だけでなく、社会の話題も織りこまれる。

8562 三浪生に届く吉報                タマ助
8563  遅咲きのしだれ桜はそりゃ見事       わび太

そりゃあ見事だと思うところに人生の価値観がこぼれる。
 つぎは三月二日。

8825 遍路道後ろ姿はきんとぎん            ひわ
8826 心に残る暖かな笑み                   霞

(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)