『目がさめた?』 2002.06.14 No.50

kawamo.jpgメディア関連法案、有事関連法案とーー憲法の根本にかかわる法案が、危険性に驚いた国民の声にようやくおしもどされている。まだ油断はできないが、さすがに以前の与党がくり返してきた単独審議、強行採決はできないようだ。
もしそれをしたら、今の首相を支持した有権者を完全に裏切るからね。ミーハーに見えた人気でも、多くの人が「党より人」に期待した事実は彼を縛る。
ここのところバブル時代の組織悪の暴露が続く。「みんなやってきたのでやった」ことが非難されている。それは、組織悪をみんなで容認してきたこれまでよりは、ましな社会感覚になったといえる。
「ひどい世の中ですね」はいまや「おはよう」の挨拶のよう。でも去年の9月11日からひどい世の中になったわけではない。それまで今の社会に従順に適応してお金を儲けて生きれば、みんな幸せという感覚が、鈍感にすぎたのだった。
中東は遠いし、ラーメンを食べながらテレビの劇場戦争を見ていたころもあった。でも、なんと世界はつながっていて、日本もブッシュ戦略に組み込まれているかもしれないのだ。
サッカーも見なきゃ。晩ご飯の献立も考えなきゃ。。赤んぼのお風呂もいれなきゃ。忙しい私たち。
でも、あまりにのんきに誰かに任せっきりでいた数十年ではないか。いま意志決定を迫られてるのは私たちなんだと。そう多くの人の目がさめたなら、日本の戦後民主主義小学校は終わり、つぎのステップが始まる。あのね、組織の論理に弱くて、わがままといわれがちな女たちの感覚、たぶん重要なんだぞ。

(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)