この星にいてなぜか出会えた 里奈 (2014/9/18~11/13)

前句   この星にいてなぜか出会えた   里奈


「募集」中日新聞2014年9月18日(木)募集

 (ひととき止まる蝉の合唱    葵)
緑陰で資格試験の中休み       羽下正一
飛行場着陸態勢オスプレイ      石田吉保 
 (ひととき止まる蝉の合唱)
行合いの空亡き父の照れた笑み     眠り猫
ひぐらしのトレモロ谷は夕暮色      ひわ 
 行く夏来る秋。一刻の生を惜しむ佳句多数ありがとうございました。右の夕暮色の句は先週ルビが違いましたね。訂正しておわび再掲載です。 
さてつぎの宿題ですよー。
この星にいてなぜか出会えた   里奈    
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。  
 (この星にいてなぜか出会えた) 
潮風にさらさらなびく君の髪     こと    
 この世でなぜか会えた不思議なご縁。恋はもちろん家族、友人、ペットー辛いとき楽しい時を共に生きる仲間との物語を。大笑いも句に。
 (この星にいてなぜか出会えた)  
公園で俺の血吸った蚊をパッチン    藍
 遠慮したいご縁もあるぜ。身近な生き物、小さな草花にも目をとめて(発表は十月なので季節は秋で)、大自然の感動の風景も。そうそう「この星」はふつう地球という星でしょうが、他の星ととればアニメ、SFふうの句で遊べますね。 付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。九月二十八日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「しめきりですよ」中日新聞2014年9月25日(木)締切

 すっかり秋。付け句宿題は出されましたか。
(この星にいてなぜか出会えた 里奈)
夕焼けに君とみていた赤とんぼ       藍
二つ三つ吐息せつない恋をして       葵
 大切な束の間、たいせつな思いを句につかまえましょ。恋でも友情でも。
(この星にいてなぜか出会えた)
ごめんとはいわない夫のごつい肩     芙美 
 ふふ、こんな奴でもーーなんですよね。人生って面白いもんなんだ。ご自分の経験、実感はもちろん、ひとさまの観察でも。ドラマ作りでも。
(この星にいてなぜか出会えた)
あくびする犬につられて大あくび    やっこ
はあ、これもまた不思議な御縁なのだわん。
(この星にいてなぜか出会えた)
「地球へは仕事で?」「いいえ観光よ」 あづさ
何百年後も地球は美しい星でありうるか。想像はのびのびとスケール大きく。
付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。
そうそう毎年この回のコラムは「全国高校生付け句コンクール」(桜花学園大学・公益財団法人豊田市文化振興財団主催)とタイアップしています。高校生のご投稿の場合は学校名と学年もお書きくださいね。九月二十八日(日)までにご投函を。五七五句ですよー。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)木)

「あらっまあ」中日新聞2014年10月2日(木)発表1

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
新米に大根おろし秋刀魚焼く       村良
 秋はこの定番。近海ものだよ!
味噌カツに味噌煮込うどん味噌おでん 中ちゃん 「愛知に生まれ育った幸せ」と。
 (この星にいてなぜか出会えた)
ラッシュ時に足を踏まれてあらっまあ   めぐ
 ぽっ。
一目ぼれDNAが操って     みの虫アッパ
 軽はずみなのではなくて、実はお互いが遺伝子レベルで惹かれ合うという学説があるそうな。
 (この星にいてなぜか出会えた)
交尾するあげはの模様美しく     伊藤紘美
 すべて自然の叡智でありますなあ。
バアさんがオンナに見えておれ元気  青柳善作
 けっこうなことで。
 (この星にいてなぜか出会えた)
いわし雲君の住む街まで続く        紅      
美しい人にあこがれそのまんま     たんき
 そのまんまも人の知性のもつ優しさでしょう。
 (この星にいてなぜか出会えた)
宇宙人?いやいや巷の新人類     ちゃーみ
 「最近の若者はーと言っていたオトナの気持が判るようになりました。私も年をとったのねー」
 (この星にいてなぜか出会えた)
左遷され銀河の果ての地球支社    磯貝雅人
 あら、どちらから。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「ゲルの窓」中日新聞2014年10月9日(木)発表2

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
片方のママの手握り泣き寝入り     とよこ
 なんて可愛い姿。
 (この星にいてなぜか出会えた)
おかえりといつものように母は言う    るり
それだけだけれど。
 (この星にいてなぜか出会えた)
南吉を偲ぶ堤の彼岸花           暁
 新美南吉の『ごんぎつね』にでてくる半田市の矢勝川の堤には、今年も彼岸花が絨毯のように真っ赤に咲いたそうです。
 (この星にいてなぜか出会えた)
目をあわせそらした二人は両想い   深澤萌莞    
君と僕70億の人の中       FHO?4
 高校生さんたちの恋句です。
 (この星にいてなぜか出会えた)
アラフォーのあたしの前に王子様    三十路
初恋がシルバーカーでやって来る    絵日傘
 おそいおそい恋もよし。恋は一生。
 (この星にいてなぜか出会えた)
羊追い太陽沈む地平線       竹内恵美子
満月のモンゴル草原ゲルの窓        涼
 「娘二人と乗馬の旅」と。ゲル(遊牧民の移動住宅)に泊まり、天辺の窓からお月見とは贅沢な。
 (この星にいてなぜか出会えた)
すれちがうあの日の僕と今日の僕    ドリー
 タイムスリップは要注意。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「長寿国」中日新聞2014年10月16日(木)発表3

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
赤とんぼ指をだしたらとまったよ     PH
 やあ! このやさしい一瞬。 
 (この星にいてなぜか出会えた)
9時のバス「また同じだね」わざとだよ  古川
 くすくす。
ああだめだ言ってしまいそう好きだよと あるて
 (この星にいてなぜか出会えた)
リコーダー優しく息を吹き入れて    もえす
相棒は同じ背丈のトロンボーン    髙松裕実
 いとしの楽器たちは姿もいいんですよねえ。
 (この星にいてなぜか出会えた)
君と行く旅はいつでも傘が要る    くゆたん
 雨降り情緒も彼の個性です。
ガンダムをこよなく愛す四十路彼    アメリ
アニメはいまや堂々現代文化なんだぞー。
液晶を割って行きたい二次元へ   ハク
 (この星にいてなぜか出会えた)
栗ごはんまつたけごはんにへぼごはん  かにこ
 へぼ飯は蜂の幼虫入り。キャッ。でも酒の肴でこれぞ珍味。お客さまに出す御馳走ですよ。
 (この星にいてなぜか出会えた)
IPS細胞増殖するシャーレ      まちだ
長寿国人のパーツも再生し      山田登志
 人類は飽かぬ夢をどこまで追究できるのか。
 (この星にいてなぜか出会えた)
暗闇のなかでかぐわし銀木犀    かぐやひめ
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「地球儀」中日新聞2014年10月23日(木)発表4

 (この星にいてなぜか出会えた  里奈 )
秋の陽に手つなぎ散歩老夫婦    木村れいみ
 「ウチはあり得ない」ですって。でもこうしてこの国の夫婦の関係もかわってゆく。
幸せな親業終えてまた妻に      塚本益美
 (この星にいてなぜか出会えた)
瑠璃色のエビヅル採ってくれた人    眠り猫
 エビヅルは葡萄の仲間。『古事記』で伊弉諾命が、黄泉の追手に食べさせて時間稼ぎした実ですよね。
 (この星にいてなぜか出会えた)
おなかの子三三九度よ酔はないで   伊藤千敏
 もうじき新しい世の中へ。
 (この星にいてなぜか出会えた)
スカイプで話をしながらゲームする   れもん 
ライン上君と僕との秘密基地       プー 
 情報機器の変化の速さ。それをたちまちとりいれてゆく若者たち。
取られるぞスマホに時間青春を   齋藤友貴哉
ちゃんと危機感ももっています!
 (この星にいてなぜか出会えた)
今の自分歴史が託した未来なり      国岡
 このたのもしい台詞。聞いたぞ!    
ボランティア被災地で会った小さい子
              さそり座の女
 (この星にいてなぜか出会えた)
地球儀を回して見てる僕と父     出会い人
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「恐竜の」中日新聞2014年10月30日(木)発表5

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
ギンヤンマ机にとまった授業中      断末
 かっこいい侵入客に教室はひとさわぎ。 
 (この星にいてなぜか出会えた)
野良猫と目と目があって同居する   位田仁美
 このせつ「飼う」なんて上下関係じゃないの。
ペットロスまさか自分がなろうとは  羽下正一
 (この星にいてなぜか出会えた)
ハップルのレンズ通して見る宇宙   藤原侑椰
夕焼に宇宙ステーション吸い込まれ 福岡登美子
 五十年前まではSFの風景が今は日常。
 (この星にいてなぜか出会えた)
ロボットの進化していくテクノロジー 勝田大翔
0と1データの海で大騒ぎ       零相楽
 かくて人類の文明は思いもかけず、0と1で成り立つIT社会に突入したところ。さあ、これからどうなるのか。何が起こるのか。
 (この星にいてなぜか出会えた)
恐竜の化石の前で目を閉じる      おちょ
 ところで十一月三日(月)11時―17時に愛知県豊田市で「とよた連句まつり」というささやかな会を開きます。歌仙や現代連句の座で、初めてのかたでも見学、付け句して遊べます。参加無料。毎年この付け句欄のお仲間に会えるチャンスです。於豊田市福祉センター(℡0565-34-1131)豊田市駅前からおいでんバスで十分。ご連絡はころも連句会(℡0565-31―5552間瀬さん)。
    (矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「青きまま」中日新聞2014年11月6日(木)発表6

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
にぎやかな家族の声が聞こえてる   山本真由
温かいいつもと変わらぬおみそ汁    ごはん
 きっと忘れてしまうたったいまの幸せ。
 (この星にいてなぜか出会えた)
急いでもふっと気づけば合う歩幅  ベジちゃん
 あれ。
吐息つく君のほっぺにラムネ瓶 ハッシュポテト
 「元気出せよ」―心が通じて。この感情をどうしよう。
青きまま恋はシロップ漬けにせむ   かたばみ
 しまいこみたい気持もわかるけど。
 (この星にいてなぜか出会えた)
席替えの縁であなたと半世紀       泰枝
もんぺ姿惚れて連れ合い半世紀     やすを
 つくづく振り返る先輩句、たくさんでしたよ。 
 (この星にいてなぜか出会えた)
渾身の力で上げた大ヒラメ      かーぽん
夕なぎに渓流岩魚ライズする        蟇
 一瞬水面を割って浮上する岩魚の姿は、感動的な美しさとか。  
 (この星にいてなぜか出会えた)
母の葬白い山茶花降る如く        霜月
 「葬列に小走りに付いて行った私。白い花びらが舞っていました」八歳のたいせつな思い出。
 (この星にいてなぜか出会えた)
夕焼に追いかけっこの影二つ     齋藤彩乃
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「募集」中日新聞2014年11月13日(木)募集

 (この星にいてなぜか出会えた 里奈)
弟の産声と共に空白む        ふくげん
今回前句への付け句は「全国高校生付け句コンクール」(一万八千句近く応募)の優秀作品からもご紹介しました。
 (この星にいてなぜか出会えた)
「あと少し」冬はふたりを離さない  大崎梨可
豚達を見送るときの空の色         烏
 若者から百歳まで、世代地域をこえる紙上付け句交流ができたことを感謝申し上げます。
さてつぎの宿題ですよー。
  いつのまにやら午前一時に  とけた
この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (いつのまにやら午前一時に)
こっそりと夫の帰ったキーの音     けいな
 午前一時のあなたは? 普通は寝てるけれど、寝ない人も眠れない人もいますね。ことに年末は仕事も遊びも忙しい。二十一世紀の真夜中のヒトの生態と思いさまざまを句にしてくださいな。ご経験はもちろん、自由に想像してドラマの場面作りも。時事、恋、述懐、微笑、爆笑句歓迎。
 (いつのまにやら午前一時に)
スキーバス寝息をのせてひた走る      藍
 歳末、クリスマスの句もどうぞ。 
付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。十一月二十三日(日)までにご投函を。五七五句ですよー    
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)