寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー (2014/12/15~3/5)

前句   寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー


「募集」中日新聞2015年1月15日(木)募集
(いつのまにやら午前一時に  とけた)
やっぱりね犯人思ったとおりだわ   岩崎尚子
突然のくちづけ雪の別れ道        ひわ
おくればせながら明けましておめでとうございます。今年もまた前句と付け句で表現する現実世界、空想世界を楽しみましょう。さて宿題です。
寒い空すうっと息を吸い込んで    ドリー
 この五七五句に七七句を付けてくださいな。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで) 
胃カメラなんてへっちゃらのちゃら     葵        
もうしばらくの寒さを気合いで生きぬく私たちの日々のできごとをどうぞ。なるべく具体的に。いろんなことあるんですよね。あ、昔のことでも未来でも、他人様になってみても、想像自由。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
バス来るまでのコンビニコーヒー    モニカ
 熱いドリップかな。さあ出勤!
(寒い空すうっと息を吸い込んで)
梅のつぼみのまだ固い枝          藍
息を吸い込んで見えた自然も。掲載は二月終わりまでですから、かわいい春のきざしも見付けてくださいね。現代の町の姿、そして私たちをかこむ社会の流れ、時事句にもぜひご挑戦を。付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。一月二十五日(日)までにご投函を。七七句ですよー。    
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞2015年1月22日(木)締切
(寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー)  
立ち食いそばの順を待つ駅        芙美
 おお、サブー。宿題はもう出されましたか。冬にすうっと息を吸い込むって、何かすがすがしい。さあ吸い込んで何をするか。
(寒い空すうっと息を吸い込んで)
除雪で始まる雪国の朝         あづさ
 「雪を除けないと車も出せない? いえいえまず玄関から車庫までの道を作らなきゃ」なるほどの実況は新潟発。
(寒い空すうっと息を吸い込んで) 
憲法九条懐に入れ            渥子
「たった今の景気、経済問題に目を奪われている間に最も大事なことが壊されてゆきそうで心配です」
さて、第1便到着! 
(寒い空すうっと息を吸い込んで)
今朝も会えるかジョギングの彼      村良
「一日の元気のもと」ですって。
(寒い空すうっと息を吸い込んで)
老々介護ウチも始まる      シニアすみれ
どこもかしこも。
付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。一月二十五日(日)までにご投函を。七七句ですよー    
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)
「結果どうあれ」中日新聞2015年1月29日(木)発表1
 (寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー)  
ほっぺパチンとよーし出発        ぐー
 きりりと冬ですね。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
アレグロで行く受験会場       ハッピー
正看挑戦サクラサクよね!     ちいちゃん
 「35歳の息子(もうすぐ二児の父)の看護師試験です」挑戦の季節に、がんばれわが子!のおはがきがつぎつぎ飛来中です。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
さあこどもたち学校へ行こう    西町応援団
 「学童見守り隊です」って。一瞬マララさんの
声かと思いましたよ。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
結果どうあれ決めた告白        非真人
 ただ一直線。
プロポーズされ古稀のとまどい     お佐代
 「福来たりしか。重荷なりしか」―はあ。 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
原発5基の廃炉のニュース       たんき
 老朽原発を廃炉。少し安堵? いや、これで再稼働の理解を得ようという目算もあるとか。
心の瓦礫片付きもせず      みの虫アッパ
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
今日を生きてく明日も生きてく      久美
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
気付かずにいた土手の水仙      まんさく
    (矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)
「世界に放つ」中日新聞2015年2月5日(木)発表2
 (寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー)  
ジャージで走る川べりの道      かーぽん
 おお! 全力疾走行くぞ!
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
ダメージパンツに風吹きつける      風歩
 わざと破いてるんですね。昔も伊達の薄着っていってオシャレはやせがまん。若さの特権です。
ミニスカートで生足闊歩       とこたん
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
猫背伸ばして映すウインド       すま子
 寒くてもしゃんとしたい。
ウイッグ付けてタイムスリップ     美知子
 アハ、鏡よ鏡! 二十年前でしょ。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
振り込め詐欺に立ち向かう母     位田仁美
 「お、電話で叱ってる!」がんばれー!
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
思い切っての免許返納       きがばあば
 老いる自分に対処する。ひとりひとりが意思決定をして生きる時代。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
世界に放つぼくのつぶやき      フィガロ
 その手段を手にいれた自由なIT時代。どこの誰に届くのか。善も悪も無数に放たれる情報の中でどう生きるのか。長寿社会が見るものは。 
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
百歳母の思いを思う           みき
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「タダノトモダチ」中日新聞2015年2月12日(木)発表3
 (寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー) 
火鉢のメダカ安否確認        伊藤紘子
 ほら、氷の下で動いてるよ!
今朝もメジロがヒヨに追われて   ターボん家
 餌台は争奪合戦。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
全国的にチョコの匂いが         利奈
 14日の予報です。日本の騒ぎには聖ヴァレンタインさんが驚いているでしょう。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
学校帰りに彼を待ちぶせ        里依紗
スキとゴメンとタダノトモダチ       奏
 ――わ、この会話。よく読んでふたりの表情や声を思い浮かべてください。笑わないでえ!
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
今更ながら失恋実感      テネシーワルツ
 人生には耐えるほかないときもしばしばある。
折れた心に貼るばんそうこう      なばな
製品開発してほしい。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
両手に包む汁粉缶入り       宇井美和子
 自販機の熱いお汁粉のぬくもり。
母が炊いてたふなみその味       ひろみ
 「鮒を丸ごと一匹、大豆と共に赤味噌とざらめで味つけ鍋でことこと炊いてくれました。骨まで柔らかく、冬の思い出の味です」
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「孵らぬ卵  」中日新聞2015年2月19日(木)発表4
 (寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー) 
伊吹颪に大根を干す           恵子
 「寒風が仕上げてくれるおいしい切干し大根」
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
この一走に懸ける青春        浜野万里
襷外してラストスパート        白砂糖
 沿道の声は冬の歓喜ですね。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
あったかラーメン一気にカラに   木村れいみ
誕生日に焼くライ麦のパン     まっちゃん
 ふう、いい匂い。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで) 
手袋ぬいで握手しちゃった        みみ
 「憧れの先輩とのお別れです」そんな季節。
言えなかったな「好き」のひとこと   ゆあな
コーヒー程の君のぬくもり       ミモザ
 つかのまだけど忘れない。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
年々減っていく肺活量       谷川智香子
 あらかなし。こつこつ運動しなきゃ。
雪を蹴散らし孫と乗る橇       山本尚子
 「ああこわかった」―なんて幸せ体験!
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
孵らぬ卵守る恐竜           タヌ公
 孵らないまま残った化石がありますねえ。過去
のはるかな時空を超えたある日、その瞬間、その恐竜は確かに生きていたーー。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)

「猫にせがまれ」中日新聞2015年2月26日(木)発表5
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
零下二度なら暖かい朝        大畑杉子
万歩あゆみに鼻毛も凍り        善チャ
 木曽からでーす。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
灯油入れてと猫にせがまれ       みゆき
 すりすり。春、もう一息。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
白タイツの娘未来のプリマ      ロッシー
今日が初めて英語でプレゼン      ちひろ
 緊張が生む集中力!
アイスバーンにぐっと踏み出す       暁
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
出不精の冬脂肪蓄積        小枝ちゃん
 こちらは反省しとります。
冬物最後クリアランスへ        ふきよ
バアちゃんパワーでラジオ体操    塚本益美
 年とるとね、意外にやることいっぱいなのよ。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
再会の日を待ちわびた杖       みきっぺ
口づけしたねもう五十年       マコママ    
 ―え、あの、覚えてなかったりしてーー。
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
セシューム怖い黄砂も怖い      山田登志
 花粉もくる。どうも大気を信じられない。
子孫に贈与赤字国債         エッキス
 む。 
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞2015年3月5日(木)募集

 (寒い空すうっと息を吸い込んで ドリー)
じっと目で追う合格掲示         瓜也
術後の足に願いを託し         加津子
夢に向かっていざまいろうか        侑
 (寒い空すうっと息を吸い込んで)
ロウバイマンサクスイセンの群れ      涼
一輪ひらく沈丁花の香          泰枝
 たくさんの付け句ありがとうございました。さて、つぎの宿題ですよ。突然春たけなわへ。
  此やうな末世を桜だらけ哉    一茶
 江戸時代の小林一茶さんの句に七七句を付けてみませんか。―やれやれ、このようなひどい末世でも、桜はそこらじゅうに咲いて華やかだって慨嘆してる一茶さん。その二百年後の平成も桜だらけですが皆さんはいかがお過ごしですか。 
 (此やうな末世を桜だらけ哉)
ゲーム機持って子らは公園         合
 あなたと周囲の暮らしを見つめて。世相、時事句はよく付きそうです。
 (此やうな末世を桜だらけ哉)
朧の月に酔うてをります          葵
 美しいひととき、桜の下の恋もいかが。想像豊かにSFや物語、お笑い句も。付け句ははがきで〒460 8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛て。住所、電話番号、ペンネームのかたも本名を必ず。十五日(日)までにご投函を。七七句ですよー。
(矢崎藍 作家・桜花学園大学客員教授)