お互いにいろいろあって明日がくる たつみ (2010/11/11~1/6)

前句   お互いにいろいろあって明日がくる   たつみ

「募集 」中日新聞1月6日(木)      募集
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
フラれた私とフッたアイツと    秋田美の里
必死で生きた落盤の中        森下衿圭
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
みんなの朝日がのぼりはじめる      のり
君によく似た賀状の少女         更紗
明けましておめでとうございます。この付け句コラムも二十二年めです。今年もともに語り合う五七五句と七七句、普段着の庶民詩、いえ、もしかしたら庶民史をどうぞよろしく。
さて年明けの宿題ですよ。
 (手で払ってる自転車の雪   芙蓉)
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (手で払ってる自転車の雪)
寄せ鍋の材料うふふ二人分        葵
 いよいよ寒さも本番です。2011年私たちの冬の暮らしをぜひ。街の風景、故郷の風景。そしてこの厳しい時局の句もどうぞ吐き出して。
 (手で払ってる自転車の雪)
白ブーツ襟に兎の毛のボンボン      藍
 経験だけでなく想像もご自由に。老若男女いろ
んな姿を思い浮かべて、物語、場面を作りましょ。
恋はもちろん、お笑い句も歓迎。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。一月十五日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「シクラメン 」中日新聞12月23日(木)      発表5
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
野沢菜漬ける嫁と姑         岩崎逢人
 信州からです。朝は零下二、三度とか。
霜柱踏む山あいの宿         塚本益美
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
炬燵の中で足がいちゃいちゃ    コケッコウ       
返しそびれたポケットの鍵      くゆたん
 まだチャンスを残しとこうっと。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
介護されつつ介護してやり        瓜也
 「あたしがしてるのよ」「おれだよ」
歳とりすぎたおかめとひょっとこ   松山恒子
 でも、顔見合わせて笑うべえよ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
垣根刈る人溝さらう人       小久保左門
泣き言は伏せ明るく賀状        奥村晋
 お正月はプラス思考でめでたく。先人の知恵ですねえ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
自分に買ったシクラメン赤      近藤富子
生きていたからまた逢えたのね      泰枝
 (お互いにいろいろあって明日がくる)  
付け句付け句で今年も暮れて       珍石
 今年も付け句を遊んでいただき、読んでいただきありがとうございました。来年は六日に付け句募集です。みなさまどうぞよいお年を。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「サンタもカイロ 」中日新聞12月16日(木)      発表4
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
手で払ってる自転車の雪         ふみ
 寒波襲来。
サンタもカイロ貼っているかな    武田礼子
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
ハーブきかせて作るフォカッチャ    ひろみ
 イタリーのパン。おいしいものは自分で作ろ。
娘ヌーボー私甘酒          近藤スズ
ボジョレに負けないよ、アチチ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
話はあとで寄せ鍋の湯気        まこと
同時に着信席を立つ人          佳代
 ほら、見えない電波に動かされている人、人。      
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
小雪降る夜右と左に          つとむ
あれでよかったのか。
封印をする胸のざわめき          紅
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
死ぬほど悩んでそれでも生きてる     DⅢ
生きていいかな日々辛くても      百日草
 今回おはがきに深いため息があちこちに。辛い仲間たち。
ひとりぼっちじゃないですよー!
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
肺切り取りし子を想う夕       小林きね
千羽鶴折る万羽鶴折る        あんでん
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
オリオンが聞く父と娘の歌        流星
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「生活カツカツ 」中日新聞12月9日(木)      発表3
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
駐輪場の落ち葉ふかふか        たまみ
 朝寒。夕寒。師走ですねえ。
昨日はゴミ出し今日は買い出し     かずえ
眼鏡携帯あれキーがない        みかん
 こんな時間もさ、生きてる時間なんだ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
就活婚活生活カツカツ         みゆき
 ひたすらーです。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
熱燗と鍋グチも忘れて         やすを
みんな揃った?
バツイチボツイチキャリアシングル  うさみん
 ボツイチとは配偶者に逝かれたひとりとか。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
冬の星座をいっしょに見たい       星子
 え、それって誘ってるの? 
未知との遭遇セカンドライフ    なずな主婦
 やっほー!
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
復員してきた廃墟新宿         元さん   
 「駅を出ると広がった焼け跡に沛然と雨。呆然と立ちつくすばかりでした。たった六十五年前のことです」たった六十五年と! いま、スカイタワーが天に伸び輝く東京。 
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
大恐慌に備え耕す           ジロー
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「神捨てた人 」中日新聞12月2日(木)      発表2
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
白い吐息が一つになって        ゆあな
キスをしたのも木枯の中         赤丸
 ロマンチックな冬ですねえ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
地肌スケスケだんなの頭         村良
よく禿げたこと お前も真っ白     洒落八
 「夢幻の五十年」と。これもロマチック!
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
吊革揺れておんなじ景色       ボナール
 よく働いてるよなあ。
二年着ているリクルートスーツ     りんご
 働きたいよなあ(涙)
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
バツイチとなるハンコを押して    石田吉保
家裁これにて一件落着          嘉男
 うんーー。と思ったら
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
ケイタイ鳴って更なる波瀾     伊藤紘美
わ、こんなこともある。人生とは、ある限り継
続に耐えるのだ。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
中国日本台湾韓国         とだちゃん
 北朝鮮米国ロシアと付け加えねば。
核兵器もつ大国論理          ベスト
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
神捨てた人人捨てた神         草笛奏
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「地球存続」中日新聞11月25日(木)      発表1
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
銀杏黄葉の終の輝き        山田登志
 いま冬の日を浴びて降るばかり。
ベーコンエッグと熱い珈琲       モニカ
 おいしい朝の香り。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
メタボの僕にかろやかな君        洋一
 この出会いは楽しそう。
髪を染めようハニーブラウン       侘助
知らないうちに好きになってた    ハッピー
やっほ、ほほほほ。 
サイドミラーに映るさよなら      ちひろ
くすん。耐えるのも人生。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
遅刻をしたら課長も遅刻       おさない
 課長は出張だってえの。
社がつぶれずに遂に定年       羽下正一
 お疲れさまです。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
支持率下がる菅とオバマと      川村修司
 笑顔で握手の写真でしたが。
ウズベキスタン アフガニスタン   矢村一真
 隣国どうし。一方はいま米国の主戦場。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
仕分けられずに地球存続        タヌ公
 人類の暴虐だけはなんとかする条件つきで。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞11月18日(木)      締切
 (お互いにいろいろあって明日がくる たつみ)
ココアごとんと落とす自販機       藍
 おお、寒。宿題はもう出されましたか。
先回は「全国高校生付け句コンクール」(豊田市文化振興財団・桜花学園大学主催)の生徒さんたちとの競作いかがでしたか。一万四千句の大多数は、高校の先生方の授業で作られたものです。
「生徒たちは本当に楽しそうに付け句作りをしていました」というコメントがうれしいです。「付け句は生徒が肩をはらず楽しく参加できます」「
国語科恒例の授業になりました」「猛暑の中、工業科の男子生徒たちが良い句をひねり出そうとしている姿にこちら側が癒されました。作品を作るということは自分の心をさらけ出すことであり、普段の生徒の様子からすると奇跡のようなものです」とも。全学年全員参加校もありました。生徒さん側からは「前句があるから何かしら句が浮かぶ」「教室で恋の話ができるなんて」「友達の句に共感する」――これってほんとにコミュニケーション文芸ですね。「想像や、ふざけもできるし」
はい、おとなも同じです。さて、一便より。
 (お互いにいろいろあって明日がくる)
笑わぬ握手するが外交         たらば
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。十一月二十日(土)までにご投かんを。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「 募集   」中日新聞11月11日(木)      募集
(どうも気になる君の存在 ユウ)
おつりです触れた指先熱くなる    みづきち
リコーダー名前確かめ吹いてみる   デメキン
 今年もこの前句に高校生一万四千句も参入。
元気かい未来の自分何してる       シグ
若い瞳のいきいきしていること!そして、
(どうも気になる君の存在)
一瞬で世界を壊す核兵器         樹阿
授業中空から響くジェット音        駿
恋句が圧倒的でしたが、時事句もかなりありました。これからの若者、頼もしいですぞ!
 さて、つぎの宿題です。
お互いにいろいろあって明日がくる   たつみ
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
(お互いにいろいろあって明日がくる)
膝痛腰痛よいこらしょっと        路人
 ええ、日々いかがお過ごしですか。付け句はご自分の実感、ひと様を観察しての想像でも。世相、時事はもちろん、ラブストーリーも歓迎!
(お互いにいろいろあって明日がくる)
日だまりに咲く赤い山茶花        藍
発表は十一月十二月なので、冬景色、クリスマスの句なども。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。十一月二十日(土)までにご投かんを。七七句ですよー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)