容赦なく照る夏の太陽 ひわ (2009/7/23~9/10)

前句   容赦なく照る夏の太陽    ひわ

「募集」中日新聞9月10日(木)      募集
 (容赦なく照る夏の太陽  ひわ)
消えてゆく砂浜白化する珊瑚      草笛奏
盆参り隣の墓は荒れ果てて     宇井美和子
 (容赦なく照る夏の太陽)
蚊遣りブタ簾障子に竹団扇     木村れいみ
白檀の扇子の香りおすそわけ      美津子
計画を明日に延ばして昼寝する     中谷寛
というゆとりの心境がほしい今。
 (容赦なく照る夏の太陽)
バリバリと自分の意見通した日     ふみ子
 む。短いけれど最後に熱い夏でした。御投句多数多謝。さて、つぎの宿題ですよ。
  じっと見つめる君の横顔   みさき
 この七七句に五七五句を付けてください。
 (じっと見つめる君の横顔)
ドロップを右の頬っぺにかくしてる?  あずき
 じろじろ観察!「君」は恋人、家族、知人、有名人、政治家、ええ、動物、宇宙人でも。
 (じっと見つめる君の横顔)
キスをするキスしたくなる月の下     知佐
 胸の想い。季語を使って秋の情緒も。小説の場面を作るように自由にご想像(ウフ妄想?)を。
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。秋恒例「全国高校生付け句コンクール」(豊田市・桜花学園大学主催)とタイアップですので高校生は高校名も。九月十九日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「腹が減る」中日新聞9月3日(木)      発表5
 (容赦なく照る夏の太陽     ひわ)
山小屋の水桶に浮かぶ青りんご    小林きね
子どもらに大ザリガニが威嚇して   近藤富子
 いつの日か思い出になるこの夏。
 (容赦なく照る夏の太陽)
白玉派?寒天派なのと急ぐ茶屋    あんでん
「友とおしゃべり。暑さ解消」
冷水のカップの向こうの蜃気楼      ネル
 あれは夏の夢だったか。
眩しさに踏みはずしたる恋ひとつ    もりえ
 (容赦なく照る夏の太陽)
海女小屋に暖取る煙立ち登り      タマ助
「真夏でも体の芯まで暖めるのです」 
 (容赦なく照る夏の太陽)
政変の重石を背負う土俵際      石井義尚
看板に掲げた顔も地に落ちて      ゴロー
 選挙は圧倒的な寄り切りでした。とにかく新体制は、小さな一票が
改めて表現した、小さなひとりの暮らしの危機感を見てほしい。
 (容赦なく照る夏の太陽)
不況背に受けころげ込む孫家族     はるみ
上着なし帰るとこなし時計なし     ミモザ
 去年まで思いもかけなかった、「仕事がない」ことの具体的現実。
拾う神訪ねてみたがみんな留守      嘉男
ハローワーク面接待ちの腹が減る    くわた
 (容赦なく照る夏の太陽)
ボール蹴り走り続けるロスタイム     幸美
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「くらげの海」中日新聞8月27日(木)      発表4
 (容赦なく照る夏の太陽     ひわ)
ジジの畑トマトかじれば青臭く      絵里
「いつか田んぼで米を作ってくれるそうです」そう、このさき自給自足に
まさるものなし。
愛犬がホットドッグと嘆く声     石田吉保
 でも、食(く)ワンでね。
 (容赦なく照る夏の太陽)
宇宙から老化攻撃受けてます      アルテ
 「30代になったら紫外線はコワイッス」
アラ還はシワも魅力となりにけり  なずな主婦
 より渋く、深く、優しくね。
 (容赦なく照る夏の太陽)
カンナにも負けぬ想いを色に染め      紅
逃げ水や恋とは恋とはこんなもの   加藤晃弘
 届かなくても追う刻々。それもいま生きる輝きなんですよ。
 (容赦なく照る夏の太陽)
零細の家内工業受注なし        瓜売り
契約がゼロで戻れぬ昼下がり     羽下正一
 景気底打ちの実感は国民レベルではまだないだろうと
政府発表ーハイ、ナイです! それぞれ不安を胸底にしての選挙。
 (容赦なく照る夏の太陽)
癌切除くらげの海の深き青     岩津志乃ぶ
 人生に思いもかけぬ体験をすることも。
 (容赦なく照る夏の太陽)
爆発と岡本太郎の声がする      不用之助
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「渡るへび」中日新聞8月20日(木)      発表3
 (容赦なく照る夏の太陽  ひわ)
めざましは音量「大」のせみの声    きなり
 わーっ。起きなきゃ。お盆休みいかがでした?
大雨の爪あと残る山肌に         恵紅
 なんと地震にまで追い打ちをかけられた夏。
 (容赦なく照る夏の太陽)
待ち合わせボトルの水もあと少し      都
手をとりし老寿のデイト邪魔するな    渡夢
 (容赦なく照る夏の太陽)
50度のコートの上でスマッシュを    澄代
 「30代から始めたテニス、もうすぐ還暦。熱中症との闘いです」
灼熱の厨房出でて深呼吸         風歩
 (容赦なく照る夏の太陽)
軽装じゃ宿題の山は登れない      無花果
「高三の夏受験生真っ盛りです」図書館満員。
 (容赦なく照る夏の太陽)
アッチッチ信号無視して渡るへび     モヨ
「蛇くん、焼死も事故死もせず草むらへ逃げてい
きました」団地開発ですみかをなくし、ひたす
ら移動する蛇くん。にょろにょろ。生きるゾ!
 (容赦なく照る夏の太陽)
日本中マイク合戦夏の陣      木村正夫
 さて、はじまった政権獲得戦。
ジーミンミンシャーシャーシャーと蝉しぐれ
              シルバーキング
 油蝉、みんみん、熊蝉まじりあってます。
 (容赦なく照る夏の太陽)
逃げ水が先導してく選挙カー     タヌ公
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「空爆も」中日新聞8月13日(木)      発表2
 (容赦なく照る夏の太陽     ひわ)
桃色の塊ゆれる百日紅       佐藤智恵子
片陰の信号待ちにほっとする     河合富枝
 八月の梅雨明けのきびしいこと。
 (容赦なく照る夏の太陽)
夏まつり浴衣もミニが流行ってる    ちひろ
浴衣着て涼しき顔で君待てど       更紗
「出かける時刻はまだ猛暑。ガンバレ!女の子」
 (容赦なく照る夏の太陽)
僕となら君の知らない夏になる     久美
 なかなかの口説き文句だけど、どうする?
親よりも恋人を取る帰省便     かぐやひめ
 お盆よりデート。しかたないか。
 (容赦なく照る夏の太陽)
めらめらと思いの丈の麻幹焚く      芙美
亡き母の十六ささげなり続け    汚点馬―婆
 尾張産の長い長いささげですよ。天ぷらしよ!
 (容赦なく照る夏の太陽)
廃絶の決意を質す原爆忌         泰枝
 今年はついに「イエスウィーキャン」へ一歩。
終戦日シンガポールの日が沈む    近藤スズ
空爆もなくて飛行機雲を見る     藤村力田
 あれは戦闘機じゃないんだよな、確かに。
 (容赦なく照る夏の太陽)
お盆明け週休三日になるそうで   しおとんぼ
「休みたくない。このさきが不安です」
 (容赦なく照る夏の太陽)
青虫は一心不乱に葉を喰みぬ      ひろみ
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「欲望が」中日新聞8月6日(木)      発表1
(容赦なく照る夏の太陽  ひわ)
加速つけ炎帝さんがやってきた      ふじ
 大変遅くなりまして。只今参上。
(容赦なく照る夏の太陽  )
茄子ゴーヤ緑のカーテンエコの風   武田礼子
食べてねと垣根飛び越えきた西瓜  土屋百合子
 夏の賜物はもうどっさり。
(容赦なく照る夏の太陽)
盛り上がる羊の串焼き生ビール    李ひょう
さくさくと真っ赤な西瓜にサンゲタン ホンユミ
「夏の力にサンゲタン」ですって。留学生さんから。鶏が丸ごとはいった韓国の鍋料理ですよ!。
(容赦なく照る夏の太陽)
タフガイの青いタオルに滲む汗   りこちゃん
やけたはだなぜかよさげにみえたのよ  こゆま
「よさげ」は感覚的な新語ですね。多分定着。
(容赦なく照る夏の太陽)
汗流しアルバイトして六十五歳    伊藤紘美
「時給九百円。いつまで続きますか」
(容赦なく照る夏の太陽)
一家五人救われるのかこの一票    だいすけ
欲望が餌になってるマニフェスト   タイタイ
 お金もうけの欲望にひきずられた時代から転換するのに、「お金あげましょ」「ただにしましょ」の大安売り、票かせぎ戦略。本気でこれからの暮らしを守ろうとしてる人を見抜かなきゃね。
(容赦なく照る夏の太陽)
初デートソフトクリーム半分こ      千夢
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞7月30日(木)      
もう付け句はお出しになりましたか。
 (容赦なく照る夏の太陽  ひわ)
パパ先頭帽子が続く草の波        健太
 夏休み。白い帽子の家族が背までのびた夏野を進んでゆくのが目に見えるよう。で、前句をもう一度読めば「ふう、暑う」って、汗ふきながらなんですよね。付け句はこうして前の句と二句合わせてひとつの世界を作ります。その前句からの発想が人により千変万化なんですけど、そう、それをおひとりでしてみるのもまた脳の体操。このコラムで句数制限をしていない由縁です。
 (容赦なく照る夏の太陽)
砂浜の恋の報復水ぶくれ          合
 ハハハ。これは恋の場面。報復されちゃった。想像、妄想(?)オーケー。もちろん恋心に年齢上限はなし。小説、マンガの場面を書くおつもりで。あ、だから体験を書いても大丈夫。
 (容赦なく照る夏の太陽)
ないしょだよ毛皮を脱いで寝てる猫   あづき
 くすくす笑い、大笑い歓迎。そして選挙戦もたけなわ。国内、世界への思い余るこのごろ、時事句もぜひ。たったいま直面している庶民の生活を具体的に書いてください。
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付
けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内)の方は本名も必ず。八月一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞7月23日(木)      募集
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
ポケットの携帯つるんと水の中      まま
徹夜して作った資料置き忘れ      若山淳
 (ここは落着けまずは一服)
片想い後期高齢いぢらしき      近藤徳枝
あやまるか開きなおるか妻の前   松浦恭夫
 (ここは落着けまずは一服)
認知症テスト待ってる免許証      タマ助
 たくさんの御投句ありがとうございました。さて次回宿題です。
もう梅雨が明けますね。
  容赦なく照る夏の太陽    ひわ
この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (容赦なく照る夏の太陽)
ビビッドなシャドウで誘うビキニの娘    葵
 カラフルでパワフルな若者が海にも街にも。
 (容赦なく照る夏の太陽)
茄子茗荷これで三日目ひやそうめん   まりも
 暑さ対策は? 付け句発表は八月から九月はじ
めまでです。盛夏の風景、日々の暮らし、思いを
句にどうぞ。共に地上に生きる動植物も見つめて。
 (容赦なく照る夏の太陽)
蟻さんよ仕事を分けてくれないか     芙美
激変の世に目をすえ、我らが時事句も。付け句
は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。八月一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)