ここは落着けまずは一服 たつみ (2009/6/4~7/23)

前句   ここは落着けまずは一服  たつみ

「募集」中日新聞7月23日(木)      募集
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
ポケットの携帯つるんと水の中      まま
徹夜して作った資料置き忘れ      若山淳
 (ここは落着けまずは一服)
片想い後期高齢いぢらしき      近藤徳枝
あやまるか開きなおるか妻の前   松浦恭夫
 (ここは落着けまずは一服)
認知症テスト待ってる免許証      タマ助
 たくさんの御投句ありがとうございました。さて次回宿題です。
もう梅雨が明けますね。
  容赦なく照る夏の太陽    ひわ
この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (容赦なく照る夏の太陽)
ビビッドなシャドウで誘うビキニの娘    葵
 カラフルでパワフルな若者が海にも街にも。
 (容赦なく照る夏の太陽)
茄子茗荷これで三日目ひやそうめん   まりも
 暑さ対策は? 付け句発表は八月から九月はじ
めまでです。盛夏の風景、日々の暮らし、思いを
句にどうぞ。共に地上に生きる動植物も見つめて。
 (容赦なく照る夏の太陽)
蟻さんよ仕事を分けてくれないか     芙美
激変の世に目をすえ、我らが時事句も。付け句
は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。八月一日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ミズスマシ」中日新聞7月16日(木)      発表5
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
枝豆にビール二人の仲を聴く       輝子
まあまあ。とりあえず夏を味わって。   
 (ここは落着けまずは一服)
担任の価値観違う通知表        ふさ子
「子が成長すればわかるんですよね。学校の勉強
がすべてでないって」 ハイ、このせつ先生も親
も模索中の世の中です。
オプションの三者面談夏休み       幸美
 毎学期の山場。明るく越えて夏へ向かおうね。
 (ここは落着けまずは一服)
大三元イーシャンテンに手が震え    浅やん
ラスベガス当たり当たりの好運気     ネル
 (ここは落着けまずは一服)
面接に向かうマイカー深呼吸     大古トミ
内定がいまだひとつももらえない   石田吉保
 リクルートスーツに汗がふきだす。
来月の派遣継続決まったよ        元廣
 当座の朗報でもね、すっごくうれしいよー。
朝刊で知った職場の倒産を        徒夢
 そんな。去年顕在化した労働状況はますます厳
しい。そこらじゅうで唇かみしめる人たち。
 (ここは落着けまずは一服)
バンカーからグリーンに乗らずバンカーへ 竹五
再度挑戦。
 (ここは落着けまずは一服)
夏川に右往左往のミズスマシ       爺犬
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「だんご虫」中日新聞7月9日(木)      発表4
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
ゆっくりとサナギ脱ぎ捨て開く羽根  うさみん

 立ち止まって自然の営みに触れるとき、私たち
はなんてほっとすることか。
丸まってかくれたつもりだんご虫    遊節子 
 そうね。おまえも必死に生きてるのね。
 (ここは落着けまずは一服)
元彼が三つ後ろの席にいる        みさ
信号前カフェでお茶する意中の子     遊朱
 どきどき。
 (ここは落着けまずは一服)
パソコンとともにフリーズする真昼    茶子
冷房の部屋でネットのショッピング  こまこま
「夢中になって買いすぎ、あとで後悔」
 (ここは落着けまずは一服)
ATM暗証番号何だっけ       岩崎尚子
 あれでもダメ。これでもダメ。ひたすら機械の前で焦る孤独感。
百万の返金いざなうATM     水野千恵子
 親切そうでこわいのも人間。
 (ここは落着けまずは一服)
部屋中の指紋はすべて拭きとった  木蓮ちゃん
鉄壁のアリバイ崩れ夏の月       あづさ
 (ここは落着けまずは一服)
三途の川父母が呼んでる会いたいと  鈴木正子
ゆっくり待っててね。いつかは行きますけど。 
 (ここは落着けまずは一服)
梅の雨手作りおやつの台所      塚本益美
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「鳴る電話」中日新聞7月2日(木)      発表3
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
青時雨コーヒーの香の漂いて      眠り猫
やっぱりかボーナス蛍と飛んでゆく   たんき
 あ、消えた。
 (ここは落着けまずは一服)
震える手もう一度見る宝くじ      とよこ
二億円当てた夢みて不整脈       つとむ
 宝くじの付け句がたくさんでしたよ。
儲かったときは寡黙で通りすぎ    山田登志
 どんなときも儲けている人はいる。
 (ここは落着けまずは一服)
帰ったら留守電ファックス鳴る電話  折目恵子 
 いつからこんなせわしいわが家になったのか。
休日も仕事のケイタイオンにして   たむら丸
 (ここは落着けまずは一服)
ちょっと出て自動扉にロックされ    瓜売り
 便利過ぎ。
東京のはずが京都へ向かってる       直
 「こうなると新幹線も不便です」―私たちの脳と体は
世の中のスピードに付いていけるかしら。
 (ここは落着けまずは一服)
うつむいた彼女の谷間チラと見え   中のモモ 
ブラぱちんバストどアップ唾ごくん    金鶏
 (ここは落着けまずは一服)
パトカーに寄せて止めてとナンパされ  みゆき
 とんだお相手で。
 (ここは落着けまずは一服)
紫陽花の小径横切る青とかげ      ひろみ
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「残り香」中日新聞6月25日(木)      発表2
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
寝過ごせば各駅停車夏木立       みゆき
 雨にぬれてる水の惑星です。
 (ここは落着けまずは一服)
君の背に声をかけるか夏デート    じゅんご
ことしこそ君と行きたい夏まつり   ゆきさち
明るい声は専門学校から。
 (ここは落着けまずは一服)
キャーなんで去年のスカートはいらない アクア
 悲鳴は各地から
このおなかメタボじゃないよベビーなの ハイジ
 うっは。おめでとう。
 (ここは落着けまずは一服)
解散をしたら政権とれねえよ     オレサマ
 誰だ。去年九月発足から、落ち着いてよくも延々焦らしてくれたねえ。
 (ここは落着けまずは一服)
夫からの電話「貯金はいくらある?」   佳代
 「夫の会社が民事再生法適用され毎日大変な様子です。
ひと月もしたら家計へ打撃がくるでしょう。なんとかなるさーと笑うしかない」
 (ここは落着けまずは一服)
ミサイルの発射地点はムスダンリ    後高爺
百年に一度の危機に飯うまし      馬瀬尾
「とにかく食わないと」
 (ここは落着けまずは一服)
助手席に残り香がある梅雨の午後   ふみ子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「雨じゃない」中日新聞6月18日(木)      発表1
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
雨じゃないオタマジャクシが降ってきたハッピー
 何が降ってこないとも限らぬ梅雨入り。
不景気も豚インフルもミサイルも   マイババ
 (ここは落着けまずは一服)
鶏と鶉と豚とさて次は          心太
飛ぶようにマスクが売れた日々も過去    晶
新型インフルエンザニュースでテレビ画面の
マスク群驚きましたね。カメラはマスクを付けてる人を追うのが習性。視聴者は見せられるものではなく、見えないものも見ないとね。
 (ここは落着けまずは一服)
アメリカの金融破綻先見えず      好奇心
ドリームは破れまさかの国有化     ゴロー
 日本人も追いかけてきたアメリカンドリーム。
 (ここは落着けまずは一服)
部屋に入る一歩に君の匂いして    加藤晃弘
「できちゃった」結婚すると彼をつれ  ひよこ
 (ここは落着けまずは一服)
わらび採りベア公に遭いド肝ぬき   青柳善作
「熊出没注意と村の広報で放送中。例年熊の話は
秋なので何か変です。春も鶯、燕、椋鳥など見え
ず、気がかり」―木曽からのおたよりです。
 (ここは落着けまずは一服)
玄関を開けとぐろ巻く蛇がいて    かよねこ
 アーレエー!
 (ここは落着けまずは一服)
花魁の差し出す煙管もてあます  みの虫アッパ
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞6月11日(木)      しめきり
もう付け句はお出しになりましたか。
 (ここは落着けまずは一服   たつみ)
ないないない老眼鏡が見つからない    拳々
 頭の上にありますよー! 
前句の「一服」という言葉ですが、煙草やお茶を一服のむのが原義。それが、のまなくてもひと休みだけの意味に使われるようになったんですよね。私の亡き姑など、煙草はまったくのまないのに、「たばこにしようか」とよく言ってました。やはり、ただひと休みするという意味なのでした。いまは死語になっているでしょう。あ、薬を一服盛るっていう使いかたもありましたっけ。
 (ここは落着けまずは一服)
デコメールピンクのハート乱舞する     葵
デコレーションメールって、絵文字などの装飾の付いた派手なメールですね。これからまだ思いがけない表現をする相手が出現するんですよ。あ、大丈夫。じきに馴れて自分もやったりね。
 (ここは落着けまずは一服)
肉じゃがの湯気ゆらしてる初夏の風  塚本君枝
六月七月の季節句もどうぞ。このせつとうてい
落ち着けないけど、時事句もぜひいろいろ。
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付
けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電
話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方
は本名も必ず。六月十三日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞6月4日(木)      募集
(ぷるぷると震えて止まる洗濯機 あづさ)
命ながらえ今朝の退院          泰枝
明日が見えない入院生活        輝ララ
 病院暮らしのお仲間の句がだいぶありました。
(ぷるぷると震えて止まる洗濯機)
君からのRE読み返す朝       山田京子
相性いいのね貴方と私        近藤徳枝
僕の人生白紙に戻す          洋一
(ぷるぷると震えて止まる洗濯機)
ラブイズオーバーローン未払い     小嶋武
09年のあちこちの片隅。洗濯機と共にいる人たち。いかがでしたか。さて次の宿題です。
  ここは落着けまずは一服  たつみ
この七七句に五七五句を付けてください。
(ここは落着けまずは一服)
いよいよね息子の彼女来るという   ななしげ
この世は大事に、小事、日々落ち着かなくては
ならぬことばかり。ご自分の日常経験はもちろん、他人様のこともご自由に想像を。(有名人の身になってみたりね)あわてんぼの爆笑句期待してます。時事句付きますよね。あ、恋句も忘れずに。
(ここは落着けまずは一服)
原稿の催促留守電月暑し          藍
 はあ。夏の句も。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方は本名も必ず。六月十三日(土)までにご投かんを。五七五句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)