あつしあつしと門々の声 芭蕉 (2008/8/4~9/15)

前句   あつしあつしと門々の声   芭蕉

「募集」中日新聞9月15日(月)   募集
 (あつしあつしと門々の声    芭蕉)
老親の寝息気にする熱帯夜      ウッチー
猛暑のあとは豪雨と、思いがけぬ夏の終わり。
値上がりに節約倹約音を上げて      旦喜
干からびた体から取る保険料     本多雅子
恨みの時事句、先回につづき多数でした。
いっこうになくならないぞ天下り     千秋
そこはかと秋風立ちぬ内閣府    なずな主婦
ここでうちどめにしようと思ったら、おやまあ
トップの辞任じゃ。そういえば芭蕉七部集の『炭俵』には、「どたりと塀のころぶ秋風」という孤屋さんの句がありましたっけ。
さて、つぎの宿題です。
 今こそチャンス君に告白       ミルキー
この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (今こそチャンス君に告白)
握った手ぐっと力をいれまして       颯
ご自分のあの日を思い出したり。場所、相手など、情景を自由に想像(妄想?)してください。
 (今こそチャンス君に告白)
白熊くんごめん氷はまだ溶ける     アトム
時事句、大笑い歓迎。発表は十月になりますから、秋の風景句もお願いしますね。
 付け句は〒460-8 511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方も本名を必ず書いて。九月二十四日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「となりのじじ」中日新聞9月8日(月)   発表4
 (あつしあつしと門々の声     芭蕉)
遠回り裏道寄り道好きな君       べっち
 ふたりで歩こ。いろんな暮らしが見えるから。
 (あつしあつしと門々の声)
退職の夫と同じ屋根の下         星子
 喜んでくれてるんだよねっ。ね。
 (あつしあつしと門々の声)
真夏でも抱っこは必須ママあせも     菊氷
すがりつく時期の短かさ知るばあば   ふさ子
 忘れない。べったり柔らかな夏の思い出。
 (あつしあつしと門々の声)
葭戸より声よくとおる朝稽古       照代
回覧板一緒に巡る夏野菜        ちひろ
 いいご近所さんをお持ちだこと。
するするり山芋蕎麦は喉するり    近藤富子
 さあて、こちとら体力回復じゃ。
 (あつしあつしと門々の声)
夏やせじゃないの冬でもやせている  近藤徳枝
「太った」といわれめげる人もあれば、「やせた」といわれ気にする人もいるんですよね。
 (あつしあつしと門々の声)
脳細胞オーバーヒート作動せず    柴田浩平
すっと出るまったく出ない言葉かな  宮脇正仁
 「年々の暑さと年で」お仲間多数。なにしろ65歳以上が五人にひとりです。
 (あつしあつしと門々の声)
じじばばがとなりのじじを心配し    ドロン
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「流れ星」中日新聞9月1日(月)   発表3
 (あつしあつしと門々の声     芭蕉)
手つかずの宿題のあり法師蝉       泰枝
 つくつくほーしい。時間がほーしい。
せみねんね飽かずなきがら見つめる子   久美
 九月!
 (あつしあつしと門々の声)
キャミソール祖母は下着と言い放つ   由美江
すててこで団扇振りつつ外に出りゃ    碧舟
「お父さんたら、下着で!」
シャツ脱いでスカート脱いで顔ぬいで   佳代
お化粧落とすとね。眉と睫毛がなくなったりして、ふふ、多少コワイ。
あなたにはスッピンノーブラ見せられぬ  村良
 へへ、おばさんの魅力はパワーですがな。
 (あつしあつしと門々の声)
Tシャツのおやじバンドのメタボ腹    瓜也
 おやじ文化も復興だぜ。
 (あつしあつしと門々の声)
冷房を求めスーパー百貨店      木村正夫
省エネをはやしたててる不夜城が      武
 「エコエコというのが今の免罪符」と武さん。
エコ商品新発売もエネルギー消費なんだ。
 (あつしあつしと門々の声)
天めざし上へ上へと伸びるビル       友
 神様とっくに怒ってる昨今。
 (あつしあつしと門々の声)
帰郷して君に会えずに流れ星     沢田真紀
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「熊蝉の」中日新聞8月25日(月)   発表2
 (あつしあつしと門々の声      芭蕉)
口笛に蝉の輪唱重なりぬ         茶子
 「暑いですが夏が好き」って。わが家の庭の蝉たちもとかげも、蛇もそう言ってました。
熊蝉の羽根のぶつかる音聞こゆ    高浜凡太
 ブブッ。
 (あつしあつしと門々の声)
わたし達多治見の街で生きてます    浅やん
 去年40、5度で日本一暑かった記録があるとか。「負けた」と口惜しがる名古屋人のおはがきもあって。さて今年も暑さ一番になりたい?
 (あつしあつしと門々の声)
寝つけずにつけた画面も金メダル  汚点馬―婆
思いきり泣いてもいいよ四年分    あんでん
 「メダリストの涙、美しいです。メダルを逃した人の涙も美しいです」と。
オリンピックあり空爆のニュースまた  ろぐA
 (あつしあつしと門々の声)
盆路の砂をいれかえ息子待つ     塚本益美
インパールより帰りくる父の魂       節
「六十数年前。遺骨もなし。でもお盆には魂が茄子の馬で往復してると信じてます。曾孫七人」
迎え火に住所不定の仏様       近藤スズ
 どうぞ、おはいり。このごろお盆行事をしない子孫が多くなったようで。
 (あつしあつしと門々の声)
生垣の小径遊泳瑠璃あげ羽      西居昭子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授) 
「焼きブタに」中日新聞8月18日(月)   発表1
 (あつしあつしと門々の声     芭蕉)
凌霄の無風に落つる日の盛り    小笠原丈夫
太陽に引き寄せられる地球号     やっと亀
  ハハ、ほんと。そんな気がする去年今年の夏。
 (あつしあつしと門々の声)
まずビール枝豆キュウリつぎ焼酎  アタシんち
かち割りに梅酒そそげば稲光     やっとさ
 一雨ほしいです、雷さま。ただし豪雨でなく。
 (あつしあつしと門々の声)
クーラーの吹き出し口の凄まじく   かよねこ
「どの家からも。おそろしいー」みんなで街を加熱している。わかっているーー。
 (あつしあつしと門々の声)
エアコンのリモコン奉行母である  木蓮ちゃん
 「28度厳守」「世のため停止」ひえーっ。 
 (あつしあつしと門々の声)
結い髪の白きうなじに光る汗      ひろみ
打ち水で冷やしましょうか夏の恋    くの一
 それがなかなか。
くっつけば私はうれし君はどう     まさ乃
 「う、うれしいです」
 (あつしあつしと門々の声)
不快指数うなぎ上りのウナギです      飽
 鰻くんごめん。夏やせには鰻を「取り食せ!」って『万葉集』にも歌われた永いご縁なの。
 (あつしあつしと門々の声)
焼きブタになりそうだわと妻帰る   藤村力田
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞8月11日(月)   しめきり
 (あつしあつしと門々の声     芭蕉)
出ると言う噂の寺の肝だめし       守枝
 激暑いかがお過ごしですか。今回の出題句の出
典は芭蕉七部集『猿蓑』の中の歌仙「市中は」の
巻。芭蕉に付けたのは弟子の去来です。
  あつしあつしと門々の声     芭蕉
二番草取りも果たさず穂に出でて  去来
田の草取りの二度目を終えないうちに、もう稲の穂が出てしまった。やっぱり例年より暑し暑しだったんですね。現代では除草剤と機械のおかげで農家の草取りの重労働は昔話になりつつあるそうですが。
さて、付け句飛来の第一便から。
 (あつしあつしと門々の声)
炎天の宅配トラックすぐ発車      ペコリ
作業服替えては洗いまた替えて    伊藤紘美
 「息子の作業場、四十度超えています」
 (あつしあつしと門々の声)
心頭を滅却できずクーラーを   みの虫アッパ
 このせつはやや気がひけつつ。
 (あつしあつしと門々の声)
毛皮脱ぐ背中のファスナー探す猫      晶      
付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみ
ませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方も本名を必ず書いて。八月十三日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集 あつしあつし」中日新聞8月4日(月)   募集
 (星空見上げ話すケータイ     圭)
陣痛が始まりました午前2時      ちょい
パスポートなくても届くパパのこえ   ゆきこ 
行列の先頭毛布にくるまって     外川菊絵

便利な機器は苦手なかたもありました。
使い方極めてやると老いの意地     奥村晋
今回若い方からの応募も多かった現代ケータイ風景いかがでしたか。投句多数多謝。佳句まだ手元において、ここで発表うちどめ。
さて次の宿題はまた江戸時代の名句ですよ。
  あつしあつしと門々の声   芭蕉
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。「暑い暑い」どこの家からも声がしてますって。
 (あつしあつしと門々の声)
風鈴のチリとも鳴かぬ午下がり     あづさ
この暑さどうお過ごしですか。ご当地の自然、暮らし。21世紀夏のひとこまを句に。
 (あつしあつしと門々の声)
帰省子の居場所自ずと生まれ順     ときよ
ご自分の経験はもちろん、想像でも。時事句はたくさんできそうですね。大笑いも。そうそう、夏の恋もぜひ。海外脱出、オリンピックも。
付け句は〒460-8 511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番
号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方も本名を必ず書いて。八月十三日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)