星空見上げ話すケータイ 圭 (2008/6/2~8/4)

前句   星空見上げ話すケータイ   圭

「募集 あつしあつし」中日新聞8月4日(月)   募集
 (星空見上げ話すケータイ     圭)
陣痛が始まりました午前2時      ちょい
パスポートなくても届くパパのこえ   ゆきこ 
行列の先頭毛布にくるまって     外川菊絵

便利な機器は苦手なかたもありました。
使い方極めてやると老いの意地     奥村晋
今回若い方からの応募も多かった現代ケータイ風景いかがでしたか。投句多数多謝。佳句まだ手元において、ここで発表うちどめ。
さて次の宿題はまた江戸時代の名句ですよ。
  あつしあつしと門々の声   芭蕉
 この七七句に五七五句を付けてくださいな。「暑い暑い」どこの家からも声がしてますって。
 (あつしあつしと門々の声)
風鈴のチリとも鳴かぬ午下がり     あづさ
この暑さどうお過ごしですか。ご当地の自然、暮らし。21世紀夏のひとこまを句に。
 (あつしあつしと門々の声)
帰省子の居場所自ずと生まれ順     ときよ
ご自分の経験はもちろん、想像でも。時事句はたくさんできそうですね。大笑いも。そうそう、夏の恋もぜひ。海外脱出、オリンピックも。
付け句は〒460-8 511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番
号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方も本名を必ず書いて。八月十三日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「大丈夫」中日新聞7月28日(月)   第5回
 (星空見上げ話すケータイ     圭)
洗い髪夜間飛行の灯り追う       ふきよ
病室のベランダ今日も夕涼み       鷦鷯
 夏は夜。ひとりだけど、ふたりで。
 (星空見上げ話すケータイ)
マイホーム秘密着メロ外に出て      瓜也
焼肉の匂いもれくる換気扇       とし坊
 「パパ、ごはんだよー」
 (星空見上げ話すケータイ)
外泊の言い訳をする目が泳ぎ       久美
 どきどき。
 (星空見上げ話すケータイ)
あと一つそこを曲がれば君がいる    けいこ
 らんらん。磁石みたいに近づくよー。
 (星空見上げ話すケータイ)
ピーターパン永久に夢見る航海士  光野りかこ
晴れわたる夜は鬼神もほほえんで   宮武夏子
 高校の教室からです。想像が大きく飛翔。
予想GUY電源切れて切れた愛    杉本哲平
 ふふ。これは中学校から。「男子が意外にロマンチックなのがおもしろかったです」と先生。
 (星空見上げ話すケータイ)
声を聞くだけのつもりがぐちになり    里佐
「大丈夫」精一杯の嘘をつく       獅狼
 (星空見上げ話すケータイ)
木の枝に麦藁帽子忘れられ        なの
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「あしたから」中日新聞7月21日(月)   第4回
 (星空見上げ話すケータイ      圭)
水割りの氷カタリと音をたて        暁
 梅雨明け猛暑お見舞い申し上げます。ウイ。
 (星空見上げ話すケータイ)
分かってる君の心は離れてる       圭子
知ってるわ側に彼女が居ることも     豊親
 頭を冷やし、心を冷やし、西瓜冷やし、フン。
泣かないよハート磨いてイイ女      ちか
 (星空見上げ話すケータイ)
冥王星アンタのコトは忘れない     みゆき
 おお、この真心。
 (星空見上げ話すケータイ)
金あるか不満はないか?人切るな!    恵紅
今の世の親たちの心底になんという不安。
あしたから仕事がないよどうしよう   みきを
 この声聞いて! ショックわかって!
『蟹工船』ブームは民のマグマかも  山田登志
 (星空見上げ話すケータイ)
内緒だようちの田圃は油田だよ     タマ助
 石油王か! いや玉蜀黍や麦につづき米もバイオエタノールにする怖い話だったりして。
 (星空見上げ話すケータイ)
はらからは老いて故郷に蛍の夜     ひよこ
いらっしゃい鰤のあら煮が待っている 池戸芳枝
 すこし前の時代のふるさとがこいしい。
 (星空見上げ話すケータイ)
かすかなる夜行列車の過ぎる音       紅
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「やめてケロ」中日新聞7月7日(月)   第3回
 (星空見上げ話すケータイ      圭)
雨蛙僕と混浴やめてケロ       足立幸夫
 温泉につかって電話ですか。
紫陽花の彼女に振りまわされる僕    眠り猫
 色変わり、心変わりも女の美なの。
 (星空見上げ話すケータイ)
織姫にコンタクトして彦星さん    柴田浩平
 「もしもし下界の幼稚園で七夕してるよ。逢える?」「梅雨だもの降るわ。デートはやっぱり旧暦ね」「晴れたら二回逢お」「また、メールで」
 (星空見上げ話すケータイ)
もう一人宇宙の何処かにいるWATASHI ゴロー
 宇宙には銀河が数千億もあるとすれば、ひょっとするとひょっとする? 
いい夜だ金も彼女も無いけれど     浅野健
 ―確かにいま、この星に存在し感じる夜気。
 (星空見上げ話すケータイ)
いまはだめ主人がいるのじゃあまたね  笠松孟
深追いをまたしたんだねその年で     嘉男
 懲りないんだから。
 (星空見上げ話すケータイ)
母の声婆耳遠風と聞きながし       節子
「介護4の母の世話も六年め。ちょっとつかれぎみなのです」
今日の母の容態知らせ日が終わる     泰枝
 (星空見上げ話すケータイ)
こそこそとゴミを出してるひとがいる  のり子
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「メールより」中日新聞6月30日(月)   第2回
 (星空見上げ話すケータイ   圭)
晴れとるよそちらの梅雨はどうですか   やん
暗闇に匂いたつなり泰山木     がおちゃん
 甘い匂いの白い花。どこに咲いてるかな。
 (星空見上げ話すケータイ)
メールよりやはり嬉しい生の声    水谷洋子
本当はあなたの肩にもたれたい   木村れいみ
 そう。逢いたい! 
本当の私を見てよ君の目で      山本睦月
 そう、真剣に。
 (星空見上げ話すケータイ)
寂しいよ以心伝心すぐうしろ     波田幸子
 きゃっ。来てたの!
 (星空見上げ話すケータイ)
昼めしはガソリン値上げパン1個   宮崎定一
 車に食わせてやって人がひもじいなんて。
 (星空見上げ話すケータイ)
ぶあいそな声でも無事でよかったワ   ハッハ
「恐い事件、事故が起こるたび息子の心配」
息子宛米と肉じゃが宅急便     北辻以津子
 (星空見上げ話すケータイ)
消せないわ伝言メモの亡兄の声    うさみん 
「私の携帯の伝言メモに二年前亡くなった兄の『また電話します』という声が入っています」
掌の中に君への想い鳴り響く     山田京子
 呼べど。呼べど。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「君につらつら」中日新聞6月23日(月)   第1回
 (星空見上げ話すケータイ      圭)
柿の実が日に日に大きくなってます     直
 「若葉と同じ緑色、でもしっかり小柿です」季語では青柿といいますね。青林檎も青葡萄も、みずみずしく育つ季節。
(星空見上げ話すケータイ)
コンサート終へし興奮夫に告げ      華子
遠距離の君につらつら今日のこと   羽下正一
 (星空見上げ話すケータイ)
恋しくて逢えば別れがせつなくて     れん
おやすみと何度言っても切れないね  プルート
 (星空見上げ話すケータイ)
サヨナラの鍵はポストに入れてある   由美江
 ああ、これはもめるよー。
 (星空見上げ話すケータイ)
メールして返事きてからする電話   くまくま
 夜だもんね。それにしても近年連絡方法の増えたこと。家、会社の電話にファックス、パソコンメール、携帯電話とメール等々。相手によりどう使いこなすか。便利とは気も遣うことなり。
 (星空見上げ話すケータイ)
サミットに向けて根回し夜もすがら    ひわ
各国語が怪しく飛び交って、洞爺湖のお魚が寝不足だったりして。
 (星空見上げ話すケータイ)
飢餓とエコ世界格差が見えますか   本多雅子
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞6月16日(月)   
 (星空見上げ話すケータイ     圭)
わかっちゃう手にとるように君の顔   たま祐
胸躍る明日は君と水族館        めじろ
 学生さんたち。「いいな」と言ったら「先生。夢です、夢」ですって。ところでついに辞書が「携帯」を「携帯電話の略」と載せ始めましたね。古くは携帯ラジオ、今も携帯食、携帯灰皿、携帯辞書、あ、携帯トイレもあるのにね。「携帯」といったら電話。でも少し紛らわしいし、漢字だとごついせいか、ケイタイ、ケータイ表記も増えてます。変化の洪水の中にいる私たち。
さて、付け句が飛来中ですよ。  
 (星空見上げ話すケータイ)
パソコンで疲れた首をストレッチ   武田礼子
パソコンはパーソナルコンピュータ。PCとも。ああ、IT漬け。え、ITって何の略じゃ? 
 (星空見上げ話すケータイ)
星出さんきぼうののれん見ましたよ  田渕義明 
星出さん宛の句がたくさん。
 (星空見上げ話すケータイ)
私いま火星にいるの逢いたいわ    岡田銕夫
ぶっとんでもオーケー。付け句は〒460-8511
中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数
制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべ
く5字以内で)の方も本名を必ず書いて。六月十
八日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞6月2日(月)   募集
 (おっとっとっとビールこぼれる 拓)
ドラゴンズ9回裏のホームラン    つるつる
脱メタボ自転車通勤逆効果      うさみん

 野球の句、メタボの句多かったですよー。
 (おっとっとっとビールこぼれる)
予定外夫が帰宅鍵の音       藤原真由美
愚痴弱音言ってしまった青い空   福井さき子
いつのまにひとり手酌の三次会   阿知波淑子
 佳句まだ手元に残しつつジョッキを置いて、さあ、つぎの宿題ですよー。
 星空見上げ話すケータイ   圭  
 この七七句に五七五句を付けてみませんか。
 (星空見上げ話すケータイ)
お袋に都会の孤独分かるめえ      ときよ
電話の相手は誰。何話してるのかな。小説みたいにいろんな人の事情を想像して。ロマンチックな(あるいはややこしい?)恋句ぜひ。
 (星空見上げ話すケータイ)
蹴り上げた石がポチャンと川の中     聖子
ご自分の経験でも。時事句、大笑い句歓迎!付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。来週は朝刊がお休みで、しめきりまで余裕があります。いろいろな句を考えて頭の体操。六月十八日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)