人生という遠い道のり ひわ (2008/11/10~1/8)

前句   人生という遠い道のり  ひわ

「募集」中日新聞1月8日(月)        
 (人生という遠い道のり     ひわ)
頂上で百歳が手を振っている       豊親
登り切る自信半々八十路坂     水野幸治
あけましておめでとうございます。
 (人生という遠い道のり)
あの頃もまだまだ遅くはなかったと   ミモザ
 八十歳から見れば六十も青春。まして四十、五十は可愛いもんなのだ。さあ、いつでもスタート。
転職がこんなに寒い朝にする     嘉男
 それにしても金融危機が露呈したこの冷酷な社会。みんなで助け合っていくあったかなシステムを作らねば。政治を動かすのは私たち。
冬の陽の光背となる古稀の母      Ree
 さて、宿題ですよー。
  予報はずれの雪がちらちら   けい
この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (予報はずれの雪がちらちら)
お揃いの白いマフラー駆けてゆく      藍
09年の町、海山の風景、このご時世。ささやかな暮らし、思い出のひとこまを。付け句は想像でも結構ですから小説の場面を考えたり、恋句作りも楽しんで。今年も脳の柔軟体操をどうぞ。
 付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方は本名も必ず書いて。一月十七日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「淡き恋」中日新聞12月22日(月)        第4回
 (人生という遠い道のり       ひわ)
見ちゃったよイヴの夜中に薄目あけ マジョリカ

 そっと心にうなずいて何かがおわる。
 (人生という遠い道のり)
流れゆくバイクと雲を見つめつつ   杉山賢誠
ゴールなし必死に探す私たち       悟空
 十代さんたちです。模索する未来。
 (人生という遠い道のり)
親バカのお蔭で育児できたんだ     眠り猫
 喜んだり悩んだり、あれしかなかったよね。
 (人生という遠い道のり)
いつ咲くの早咲き遅咲き狂い咲き    ちひろ 
長生きをしよういつかはノーベル賞   北北東
 夢見てもいいのです。ええ、根拠なしでも。
終着が見えはじめての淡き恋    木村れいみ
 いくつになっても優しいおとずれがある。
 (人生という遠い道のり)
夫逝きておまけの日々の日向ぼこ  鈴木キヨ子
 今回はお連れ合いを亡くされた句も多くて。
これからは一人の歩み見ていてね    まきこ
明日のためお米一合淅して寝る     とよこ
 (人生という遠い道のり)
応援歌あの日あの場所あの笑顔      洋一
山積みの涙と笑い日記帳       ハッピー
今年も多数の御投句ありがとうございました。
このコーナー、来年は木曜日掲載で、次回は一月
八日(木)です。改めて前句の出題もしますのでお
見逃しなく。ああ、よい年になりますように。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「言いくるめられ」中日新聞12月8日(月)        第3回
 (人生という遠い道のり      ひわ)
産声の力強さよ紅葉燃ゆ        タマ助
未熟児の命を乗せた救急車       爺さん
 病院、断らないでえ!
 (人生という遠い道のり)
クラス会思わぬ人との交差点       お玉
重ならぬ二人の軌跡双曲線        泰枝
 求める心。やはりさだめか。
 (人生という遠い道のり)
遠くから見てると妻も優しそう    藤村力田
赤い糸三度ぐらいは結びたい    横山美枝子
 ふふ、夫婦それぞれ思うなり。
 (人生という遠い道のり)
癌でした一昨年の夏切りました    浅やん
女医さんに言いくるめられまた今度  近藤徳枝
 永い病気は飼い馴らして。
 (人生という遠い道のり)
好景気?そんな時代は知りません     獅狼
失職の息子を捜すネットカフェ      哉々
「妻の病気連絡で捜した一週間の異空間体験で
した。首相も取材すべき」―自由競争にはじき出
された若者たちに明日がほしいよー!
 (人生という遠い道のり)
句をひねるこの一瞬も過去となり      直
 ドキッとする句ですね。たった今、私たちが
この句を読む一瞬も過去。時間という不思議な道。
 (人生という遠い道のり)
日だまりを寝る撫で牛のあたたかき 岩津志乃ぶ
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「クレーンは」中日新聞12月1日(月)        第2回
 (人生という遠い道のり        ひわ)
にんにくの芽の青々と冬の庭    宇井美和子

おはようのメールごっこでいやされて ファイト
 いつのまにか頼りにしている機械です。
 (人生という遠い道のり)
婚活に励まなくっちゃ三十代       茶子
 あれあれ、結婚活動なんて言葉発生。
 (人生という遠い道のり)
気がつけば一期一会が相棒に        深
あの時の雀心にチュンと鳴く     加藤晃弘
思い出は私たちの日々の力ですよね。
 (人生という遠い道のり)
王子様老いても姫は待ってます      村良
七十の手前と後で恋に落ち       たんき
 ほうれ、やったぜ。
 (人生という遠い道のり)
明治から平成までの生き字引       旦喜
「父九十七歳。ボケもせずがんばっています」。
 (人生という遠い道のり)
米兵が汽車からくれたチョコレート   武
焼野原60余年で超高層       近藤富子
 あれよあれよと、働いてきたのだった。
 (人生という遠い道のり)
クレーンは街つくるのか壊すのか     次郎
スクラップ&ビルド? 壊す感覚ばかりが私たちの
生活に広がってしまってないか。ああ。
 (人生という遠い道のり)
老婆心子等の老後も気にかかり    大地の母
  (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「乗り換えを」中日新聞11月25日(月)        第1回
 (人生という遠い道のり       ひわ)
向かい風紅葉黄葉が舞い上がり     セピア
 ブルル、寒くなりましたね。
夕やけも小やけもあるし霜焼けも    ハイジ 
 (人生という遠い道のり)
就活バイト悩み尽きない22歳     マリエ
 若者たちがのりだすまさに変転の世。  
ちっぽけな苦楽の上に我が居て    池田三佳
 たまには悟るんですが。
 (人生という遠い道のり)
評判の料理の本を二冊買う       のり子
「人間は生きてる間食べなきゃなりません」
セーターの赤にパワーをもらおっと  かよねこ
 「ちょっとはずかしいけど」
 (人生という遠い道のり)
「チェンジ」と声高らかに訴える    後高爺
居座って漢字の読みを間違えて    さいとう
 電話での話は通じたかしら。両国政治のリーダーは、経済危機にどう立ち向かうのか。
 (人生という遠い道のり)
長生きをしていいですか総理殿    右京清子
一度聞いてみたくて。
 (人生という遠い道のり)
お母さん地球に棲んでた夢みたよ    かえる
「いつか未来の人類。生まれ変わって」 
 (人生という遠い道のり)
乗り換えを告げる宇宙のステーション    風
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞11月17日(月)   しめきり
 (人生という遠い道のり  ひわ)
柚子花梨はちみつに漬け冬支度     ひろみ
 冬空を付け句はがきが飛来中ですよー!
 (人生という遠い道のり)
ただ今とお帰りなさいの積み重ね     喜子
 煮えるお鍋、子供の声、なつかしい道。
ついて行く今じゃあなたがついて来る  調教妻
 ふふ。この付け句、女子大の古典の授業のとき紹介したらウケてましたよ。15分とって彼女たちにも付けてもらいました。
 (人生という遠い道のり)
すれ違うふと一瞬にときめいて     あすか
チョコレートボックスの蓋いま開ける   モア
「いいな。甘い夢いっぱいなんだ」と言ったら「先生、チョコには苦みもあります」って。
さて、再び人生の先輩たち。
 (人生という遠い道のり)
昭和史を歩み昭和の唄が好き      もりえ
 昭和も遠くなっちゃって。
 (人生という遠い道のり)
医療費にとっとく政府給付金     羽下正一
 首相にきかせたい。
付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方は本名も必ず書いて。十一月十九日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
*柚子花梨(ルビ)ゆずかりん
「募集」中日新聞11月3日(月)   募集
 (今こそチャンス君に告白  ミルキー)
ああフェルゼンわたくしホントは女です みゆき
実は俺ジェダイの弟子をやっている   ユウト
 (今こそチャンス君に告白)
あの花火ハート型のはオレ注文  ミルキー2号
鍋奉行少しは好きに食べさせて     ポニョ
多数ご応募多謝。今回は全国高校付け句コンクール(桜花学園大学・豊田市主催)一万余句もくわわり、にぎやかな世代交流でした。
 さてお待ちかね、つぎの宿題ですよー。
  人生という遠い道のり  ひわ
この七七句に五七五句を付けてくださいな。この道あなたはどこまできましたか。
 (人生という遠い道のり)
初孫の高い鼻筋俺に似て       S&A 
 それぞれの世代の、あの日の思いをどうぞ。
 (人生という遠い道のり)
こつこつと燃えないゴミを分別し      藍       
日々生きてるささやかな暮らしも句にしてみてください。もちろん経験でなく想像でok。恋句も考えて。発表は十二月にかかりますので冬の風景句もどうぞ。混迷の世の時事句も。爆笑句も。
付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく5字以内で)の方も本名を必ず書いて。十一月十九日(水)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)