大根も煮えおでんふつふつ 健 (2005/12/22~2/23)

前句   大根も煮えおでんふつふつ  健

「募集 愛してるって」中日・東京2月23日(木)
  (大根も煮えおでんふつふつ  健)
日に何度雪下ろしても下ろしても   斉藤房道
 寒い冬でしたっけ。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
すっぽりとあぐらの中に孫を入れ   橋本倫子
曾孫抱く婆を上座に四世代      中嶋初子
玄関の大中小の靴揃え        塚本益美
 大家族の集合も、今こそたいせつな時間。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
屋台酒故郷恋しビルの陰        理以知
春を待つ恋愛ごっこはいつまでと      紅       
 まだご紹介したい句たくさんなのですけど、ごめんなさい、ここで打ち止め。多数御投句多謝。
 さて、つぎの前句ですよー!
  愛してるって言ってちょうだい   藍
 えへへ。この七七句に、五七五句を付けてくださいな。  
  (愛してるって言ってちょうだい)
いちめんの菜の花畑の香にむせて    奈津子
 いろんな場面、状況を考えて。春の風景も。
  (愛してるって言ってちょうだい)
ままごとの幼き妻の片えくぼ      俊一郎
 あら、かわいい。付け句は実感でも想像でも。爆笑句、にやにや句、メルヘン、SF。時事句にも挑戦を! はがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所と電話番号、ペンネームの方も本名を明記。三月四日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「港町」中日・東京2月16日(木)発表5
   (大根も煮えおでんふつふつ  健)
君からの「帰る」メールはピンピロピン    けろ
 あったかいわが家だよー。
セーターの胸ゆたかなる妻と箸        利休
   (大根も煮えおでんふつふつ)
好い味になった夫婦の五十年       平敏彦
 後に続けー! って簡単じゃない次世代。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
そりゃ何だ今夜は何だ腹へった       古妻
「67歳で毎日このセリフ。ほかに言葉ないの?私の腹は
毎日ふつふつ」だそうです。
定年の夫と一年疲れたわ          アキ
 「単身赴任の多かった夫とは、お互い生活パターンが
合わなくて」――お仲間多かったですよー。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
ため息も愚痴も涙もかくし味    スローフード
 それでおつゆがちょっとカラいわけ。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
雪山に描くシュプールくっきりと         暁
氷柱入りオンザロックに酔いしれて 佐藤ふさ子
 「スキー場でためしてみました」おお、美味。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
初めてのデートは屋台肩並べ      プルート
あの屋台ねえもう一度連れてって      ゆき
 まだあるかなあ。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
ありのまま美しく老い港町      小原美和子
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)  
「浮き沈み」中日・東京2月7日(木)発表4
   (大根も煮えおでんふつふつ      健)
今日もまた残業なのだハークション   山田喜一
今日こそは早く帰ると言ったのに       寿ん
 誰かが鬼になってるかも。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
今年こそリセットキーを押すつもり     あおい
パソコンで予約してある航空券        けい        
 飛び去っちゃうぞー。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
携帯を妻にかくれてそっと見る      やっと亀
親指がせわしく動く卓の下        山口元子
 ナイショ、ナイショの話はアノネノネ。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
オーロラの国で単身赴任です         ひわ
 望郷!
   (大根も煮えおでんふつふつ)
味噌の香がからしがつんと呼びかける   よしお
 味噌味の中部。今も味噌壺が出ているお店があります。出汁味のおでんは「関東煮」でしたっけ。 
   (大根も煮えおでんふつふつ)
牛すじへ入れ歯固めるおばあさん   加藤太朗
もういいかい僕はお餅をいれたいな  脇田鴻洋
 わー、食った、食った!   
こんにゃくが命永らえ浮き沈み      浅野健
  (大根も煮えおでんふつふつ)
シェルターの女世帯はしんとして   岩津志乃ぶ
 男たちは地上戦の最中ーー怖いSF
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)  
「湯気の中」中日・東京2月2日(木)発表3
   (大根も煮えおでんふつふつ 健)
失恋の痛み分け合う夜は更けて    あきえもん
その顔で愛を語るのマジなのね     かよねこ
 うん。じっくり煮詰めた。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
二次会ですばやく座る彼の横     なずな主婦
愛されたパートをやめる送別会      しま子
 「18年勤務。本社の正社員ひとりで、残り全員パートと派遣。
私は結局母さん役だったみたい」
   (大根も煮えおでんふつふつ)
あかぎれの手を突然に握られて       恵子
 今年の寒さで霜焼け、あかぎれ復活。
そう介護 君は大変だったんだ    丸地のぶ子
 このへんからはいる口説きは、老獪だぞ。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
もしかして息子はいつか下流社会      段々       
震度五の話も今は湯気の中        喜久男
 食う。色即是空。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
なべのなか三かく四かくまるもある  古はし里な
 小三。さすが冷静な観察。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
亡き妻もおいでよ君へ薩摩揚げ      郷田豪
定位置に君が黄泉より戻り来て      酔婦伝
 食おう。空即是色。 
   (大根も煮えおでんふつふつ)
昔よりお酒に弱くなった父        草笛奏
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「寒雀」中日・東京1月26日(木)発表2
   (大根も煮えおでんふつふつ 健)
がんもどきシャルウイダンスちくわさん 下郷英一
だし昆布北の海から鍋の中        ゴロー
 思えば何の因縁でいま俺と昆布の出会いぞ。
サクサクの白菜漬けに柚子そえて   宇井美和子
   (大根も煮えおでんふつふつ)
ガンとって悟りのときを食んでいる    船戸勲
 いつも誰でもほんとに二度とない今だけど。
焼酎の夫私はビールです        武田礼子
  (大根も煮えおでんふつふつ)
コンビニが故郷の母の味をくれ       富子
 日本列島のコンビニチェーンが競争して工夫する、十数種類かの共有お母さんだよー。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
熱いよとテレビの家族と食べている   在原和子
 「ひとり住まいです」――帰ると、とにかくスイッチをいれる。誰か居て、いっしょにどっと笑ってくれてね。これも共有家族だーー。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
望郷の派遣兵士はまどろみぬ        風歩
 武装した隊員。確かに「兵士」の姿して。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
夜勤だよ頬を凍らせ踏むペダル     水谷弘子
ああ今日も力いっぱい働いた    わん子ちゃん
  (大根も煮えおでんふつふつ)
裸婦像と欅の空と寒雀          ひよこ
 雀たちやーい。この寒さもうしばらく耐えよう!
   (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)   
「はふはふ」中日・東京1月19日(木)発表1
  (大根も煮えおでんふつふつ  健)
ネエあなたネエネエネエと初春や   木村れいみ
 お正月いかがでしたか。今年もどうぞよろしく。
松もとれ来年またねと仕舞う椀       みつ
 「食器を仕舞い、普通の生活の始まり」ですね。それにしても寒い年越しでした。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
メトロ出りゃここは名古屋か雪国か   伊藤千敏
窓開けりゃ旅に出ずとも雪の宿     山本尚子
 とにかくごはんだよー!
   (大根も煮えおでんふつふつ)
みんな居る! 熟年離婚かやばいかも  塩沢洋子
 「たまたま家族全員揃っただけなのに」――どうも日頃、身に覚えがあるようで。 
 さあ、いただきまーす
   (大根も煮えおでんふつふつ)
からし付け逃げるこんにゃく箸で刺し  水谷洋子
里芋の好きなばあちゃん入院中     伊藤紘美
 食う、食う、ただ食う。
コラ三男!たまごは一人一個まで たまご母ちゃん
「三男しぶしぶ鍋に戻します――」
    (大根も煮えおでんふつふつ)
はふはふに変換されるあれやこれ     タヌ公
 はふはふ。はふはふ。
    (大根も煮えおでんふつふつ)
後継を争う永田町の鍋           茶子
 むむ。こんにゃくの意向とちくわの欲望如何?
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「しめきりですよ」東京1月12日(木)
 雪がちらちらする列島、付け句はがきも飛来中。
  (大根も煮えおでんふつふつ  健)
六時から新年会をしきってる       相坂康
 さっそく初仕事の幹事さん。帰りに雪にならないといいんだけど。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
ビールよし熱燗もよし友がよし     村井由郎
「友がよし」――これぞ、人生の収穫。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
午前二時いらっしゃいませこんばんは    青麦
 ああ、コンビニですよ。知らぬ人どうし、真夜中の挨拶はいじらしいですね。昼も夜も灯ともして、誰かが働き、おでんが煮えているこの国。この繁栄のしかたでいいんだろうか。
  (大根も煮えおでんふつふつ)
南極の氷壁落つる大画面          耕人
 おでんを食べながら見るテレビ。地球温暖化なんですぞ。南極の氷が溶けて、海面上昇するんだぞ。画面に見えるんだ。しかしそれにしちゃあ、寒いこの冬、どうなってるんだあ。―マスコミの教えてくれることに頼る情報時代。 
 (大根も煮えおでんふつふつ)への付け句は、ご自分のことでも、想像でも。はがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所と電話番号、名前。ペンネームの方は本名も必ず書いてください。一月十三日(金)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「募集」東京1月5日(木)
 明けましておめでとうございます。暮れにちょっとお知らせしましたけれど、お正月早々の宿題出題ですよー。
   大根も煮えおでんふつふつ  健
 この七七句に五七五句を付けてください。やあ、なんてったって冬はおでんです。お宅はなにをいれますか? 独特素材メニュー(そのせつは多少コメント説明を)や、ご家庭風景などどうぞ。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
長男の帰省についてきたオンナ       啓子
 はは、こんな風景もありますね。複雑な親心。オンナって言い方にトゲがあっておもしろい。
 付け句はご自分の経験、事実でもいいし、他人様のことでも、まったくの創作でも。二句で物語、場面を作るように、自由にご想像を。この際、小説家になったつもりで。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
五時台のバスは一便雪催い         聖子
 風景だけの状況設定もいいです。「雪催い」なんて情緒のある言葉でしょう。俳句なさる方はどうぞ季語をお使いください。山野、町の風景、話題をとりいれて。時事句も作ってみてください。恋句大歓迎。(恋は人生の花。年齢不問です)
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所と電話番号、名前。ペンネームの方は本名も必ず。一月十三日(金)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「しめきりは来年」中日12月29日(木)
   (大根も煮えおでんふつふつ  健)
シクラメン家それぞれの年の暮れ     ときよ
 寒い年末ですね。おでんが煮える七七句に付ける五七五句、しめきりは一月十三日(金)です。
 今回は時間がたっぷりありますので、冬休み中にゆっくり考えてください。応募付け句に数の制限をしていないのは、いろいろな場面、いろいろな主人公を想像するのが付け句の楽しみだし、頭の体操にもなるからですよー! おでんを囲みながらご家族みんなで付け句ってのもいいですね。この冬、おでんメニューのときは紙と鉛筆用意!
 見直して推敲も忘れずに。ちょっと言葉を工夫したり上下いれかえるだけで、名句になることがあります。コメントもどうぞ。ただ、句じたいはコメントを読まないでも情景や事情がわかるように工夫してくださいね。
   (大根も煮えおでんふつふつ)
長男の帰省についてきたオンナ       啓子
 ハハハ。煮えるおでんに、親心。オンナって言い方になにやら反感がこもってますねえ。時事句、恋句歓迎。(恋は人生の花。年齢なし!)
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所と電話番号、お名前。(ペンネームの方は本名も必ず書いてください)一月十三日(金)までにご投かんを。発表は十九日(木)からです。みなさまどうぞよいお正月を。
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「募集」中日12月22日(木)・東京1月5日(木)
  (金色の落ち葉かさこそ吹かれてく  洋)
四回転がピタリ決まって         眠り猫
 ま、奇跡の起こった一瞬! 人も木の葉も。
伊吹おろしと霜焼けの手々      柴田美代子
焼いた銀杏そして熱燗         一期の夢

蒟蒻作りに初の挑戦          塚本益美
 おいしいものは昔から、そして手作りのもの。
  (金色の落ち葉かさこそ吹かれてく)
消えてしまったあのパピリオン    下郷千恵子
モリゾーキッコロどこまで行った古橋香奈(小六)
おやすみなさい小さな命        Zunchan
 今回も投句多数ありがとうございました。黄金の落ち葉も
私たちも同じ地上のひとひら。そんな懐かしい付け句でした。
さて冬休みの宿題ですよー。
   大根も煮えおでんふつふつ  健
 この七七句に五七五句を付けてください。 
  (大根も煮えおでんふつふつ)
五時台のバスは一便雪催い         聖子
 前の句と二句で物語、場面を作るように想像してください。
わが家の食卓風景はもちろん。恋句、爆笑句、時事句、
メルヘン、SF。長い冬休みにいろいろ考えて。
発表は来年ですから、2006年の冬の町の話題も期待してます。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所と電話番号、ペンネームの方も本名を明記してください。一月十三日(金)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)