母さんに会ったら涙こぼれそう (2002/6/21~8/6)

「母さんに会ったら涙こぼれそう    蕗」に付けてみませんか
  (6月21日-8 月6日)

『募集・日盛り』               8/2(金)中日夕刊・8/6(火)東京朝刊
    (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 試合前日靱帯損傷            正地伸子 
 じっと我慢をしたときもある       矢野節世
 しみとしわとが重なりあって       塚本益美

  それにしても、すでに亡き母への句が多かった今回。
 残された父ひたすらがんこ        大畑杉子
 親父とうまくやってゐるかい       川端宗一

 四人の兄妹今は二人に          塩塚恵子
 ちゃんと生きたよがんばったでしょ      芳江
 粗にして野だが卑ではないかも        利也
 しあわせですときっといいます     服部ひふみ
 茄子の馬では疲れたでしょう       瀧上英子
  各世代から付け句多数多謝。さてつぎの宿題です。
  (命あふれて好きな日盛り   わび太)
  このまさに夏の七七句に五七五句を付けてください。
  (命あふれて好きな日盛り)
 バイク音かき消す蝉の大合唱        レオナ
  地上に懸命に生きる物たち。大自然。小さな暮らし。
 今の夏、思い出の夏。文明批判も。熱い夏の恋。
 ユーモア、爆笑句もご想像を。付け句ははがきで
 〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。
 紙上匿名の方は住所本名も明記。句数制限なし。
 八月十一日(日)までにご投かんを。五七五句ですよ!
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『苺山盛り』               7/26(金)中日夕刊・7/30(火)東京朝刊
   (母さんに会ったら涙こぼれそう        蕗)
小さいころの風鈴みっけ            のり子
掻き乱したる川のザリガニ         宮澤さくら
 かっと梅雨明けですねえ。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
バッグひとつでただ無我夢中       福井さき子
聞いてよグチを夫の浮気            小町晶
あじさいの藍うつりぎの藍            ひろこ
浮気か愛か炎天の街           岩津志乃ぶ
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
おかずで妻に仕返しをされ         山本桂馬
天上天下唯我独身              松本太一
     (母さんに会ったら涙こぼれそう)
シルクロードに響く琵琶の音            さこ
 地上に生をうけて立つ自分。どこにいても母の子。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
夏の日傘を低くさしたる             加藤博
あの子の手術成功したの            眠り猫
笹百合咲いてじじばばになる        福間正治
孫三人と自転車こいで               節子
 つぎの世代が続いてゆくいまさらながらの不思議。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
硝子の皿に苺山盛り             横山稲子
    (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『帰り支度の』               7/19(金)中日夕刊・7/16(火)東京朝刊
   (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 うまく漬けたよ梅とらっきょう       熊仁範子
 今年もたんと梅を漬けたよ          みち子
  伝えられた暮らしを年々くりかえすことの価値。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 だるくてだるくて下宿で寝こむ       田宮圭照
    「大学時代。粥かおじやが食べたかったです」
 アパートにゴミ三年もため         プーたん
  こらこら。 
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 老舗ののれん息も絶えだえ        江崎千秋
 上見て歩きゃ星が流れて        加藤美比古
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 同じ墓には入れぬ私            坂巻静江
  他家に嫁いだ娘たちの思い。母もまた同じだったか。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう) 
 あと半年の命だなんて           鈴木辰彦
 笑顔をつくる病室のドア            ぱぴぷ
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 怒られながら介護した日々         渡邉安代
 帰り支度の老人ホーム           大森幸子
  自分自身も年をとる日を切実に思いながら。
 忘れないでネ娘の名前          おりひめ
  (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『いそぐ階段』               7/12(金)中日夕刊・7/16(火)東京朝刊
   (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 水着のおしり穴があいてた        原田つとむ
  あれあれ。
 学校帰りの激しい雷雨            小百合
 変わらぬ駅舎蝉がないてる         村井由郎    
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 明日の学校行かなくていい?          青麦
  「今は笑って話せますが」忘れられないと青麦さん。
 歯を食いしばりいじめっ子睨む        ちよこ
 思いがけない集団リンチ             ネオ
  子どもが身を守るのに、時に過酷な現代社会。
 一人でこもる体操座り              夏蝉
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 彼氏にふられ恋にピリオド        スヌーピー
 高3の秋短いドラマ               ありす
    
  若いなりにいろんな山をこえている。
 ごめんね車ぶつけちゃったの      佐藤まい子
 全部話すよ今までのこと            うさぎ
  とはいえ、いえることもありいえないこともあり。
 いつものただいまいそぐ階段        まっぴー
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 夢追いかけて家出た私             まりこ
 花嫁になる夏の日の朝               麻

     (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『心臓の音 』               7/5(金)中日夕刊・7/9(火)東京朝刊
   (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 ジャパンブルーの燃えつきた午后    渡辺多美子
 ああ帰っちゃうよ私のベッカム       加古敬子
  ロナウド、カーン。俄かサッカー通も急増。アニョハセオも
覚えて終了の宴。経済効果はどうだったか。
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 パートのおばさん使う身となり          嘉男
 会社が倒産俺は父さん           奥田尚史
 総理になって下がる支持率         山本雄太
 政治家やめて帰っておいで         岩崎尚子
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 一便遅れ事故免れた            田淵義明
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 ひとり夕餉のコンビニむすび       内田ふさ江
 庇って呉れた二百万円             萩野狸

 何で生んだとせめたあのころ          丸出し 
 もう来ないでとあびせた言葉         吉田55
  「子どもが小さいころ、孫を見に来てくれた母とけんかして」
と55さん。娘と母の関係はときに深すぎる。
 あなたの倍も生きてきました      宇井美和子
 吹き窪めてはすする甘酒          タンゴ碧空 
   (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 仔猫の速き心臓の音                かり   
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『羊水の海』               6/28(金)中日夕刊・7/2(火)東京朝刊
    (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 ブルーあざやか好きなあじさい        基礎子
  梅雨の合間に買い物に出て         根岸保 
  なにげないときに思い出はやってくるんです。
 水ようかんの甘いつぶつぶ           茶子 
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)  
 羊水の海宙返りして          みの虫アッパ
  そう。会いたかったですよね! 絶対!
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 赤ちゃん来るまでパパと留守番 
                   もっちゃんふうちゃん
  せつない兄(姉)ちゃんの句たくさんありました。   
     (母さんに会ったら涙こぼれそう) 
 マザコンぼくの3日の旅行       NATARAJA
 たった二泊の修学旅行        水谷三和子
  これもステップ。
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
  優しい言葉掛けっこなしよ        雨沢みね
 もういいんだよ僕を忘れて     ロボット五等兵
 便りの中にお札一枚           村井照代
  これは、効く。
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 車窓の奥に波きらきらと           ドリー
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授) 
『しめきりですよ 』         6/21(金)中日夕刊・6/25(火)東京朝刊
    (母さんに会ったら涙こぼれそう  蕗)
 ヘディングシュート赤い歓声           凡
 韓国の八強進出試合もすごかったですね。しばらくサッカーで沸騰の日本列島ですが、付け句のしめきりも迫っていますので、お忘れなく。
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 鏡の中に探す面影                直
「母が亡くなりましたのは十四歳の秋、以来夢中で生きてきました。お手本や相談相手がなく、主人だけを頼りに四十年、いまも手探りで生きています。鏡に映る私は母よりはるかに年をとっていますが、額や眉に面影が残ります」
    (母さんに会ったら涙こぼれそう)
 はぐれライオン紺青の空          棚橋武
「日本のライオンでなく、本当のアフリカの絶滅しつつある野生の雄ライオンです」と但し書きが。日本の例のライオンは群にどっぷりですよね。はい、痛烈な時事句も工夫してみてください。。以上第一便のはがきから少しご紹介。
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。紙上匿名の方は住所本名も明記して。句数制限なし。六月二三日(日)までにご投かんください。七七句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
『募集 』                6/14(金)中日夕刊・6/18(火)東京朝刊
   (さわさわとふたりの中を過ぎる風 みのり)
  残る大福最後のひとつ          廣田千恵子
  凍えた時間止まる秒針             草笛奏
  髪型変えた妻に世辞いう         池田志満子
  スイッチ切りなけいたいでんわ          元恵
  孫をだっこの川ぞい散歩         坂野サエ子 
 お孫さんの句と携帯の句とっても多かったです。
  老年夫婦大根を抜く              前田巴
  ユングフラウの花の小路に          彩の宮
  登山コースに舞うアゲハ蝶            洋一
  いつの間にやらともる外灯         久世武治
 それぞれ感じた風のさわさわ。付け句をたくさんありがとうございました。
 さてつぎの宿題ですよー。
  (母さんに会ったら涙こぼれそう          蕗)
 この五七五句に七七句を付けてみませんか。
  (母さんに会ったら涙こぼれそう)
    思いがけない初戦敗退            芳梅  
 ご自分の経験はもちろん、別の主人公でも。過去未来、この世の
さまざまご想像を。発表が七月になるので夏らしい風景句もぜひくださいね。
付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。
紙上匿名の方は住所本名も明記。句数制限なし。六月二三日(日)までに
ご投かんを。七七句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)