恋情のただやるせなき雪ぐもり 聖子 (2002/12/25~2/25)

恋情のただやるせなき雪ぐもり   聖子」に付けてみませんか
  (12月25日-)

募集 『いちにっさんし』     2/25(火)東京朝刊・2/26(水)中日夕刊
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり     聖子)
一羽のみ来し白鳥の啼く          渡辺朝
戦地に向い走り去る汽車           獅狼
 まだ世上は雪曇りです。戦争という集団殺戮。いま「お待ちなせえ」
とどめる日本であってくれえ!
 さて発表しきれず残念な佳句多数手元にのこしつつごめんなさい。
つぎの募集ですよー。
 いち、にっ、さんしとつづく人生   おはぎ
 この元気な七七句に五七五句を付けてください。 
   (いち、にっ、さんしとつづく人生)
終了の合図鳴ってる洗濯機         聖子
 なにげない音で気づく日常の一刻です。
   (いち、にっ、さんしとつづく人生)
外科病棟みんなで花見してる窓       晴彦  
 人生、山あり谷あり、恋あり、失敗あり大笑いあり。いろいろ想像して
五七五句を付けてください。時事句もぜひ。発表が四月にかかるので
春らしい句も歓迎。付け句には、前句にある(人・生・つづく)など同じ語を
重ねないよう、最後に点検ご推敲もよろしく。 
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。
紙上匿名(ペンネーム)の方は、住所本名も明記。句数制限なし。
3月6日(木)までにご投かんを。五七五句ですよ。
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授) 
春待ち小町』     2/18(火)東京朝刊・2/19(水)中日夕刊
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり      聖子)
梅のつぼみはもう目をさます       江崎千秋
ふってふられて春待ち小町       瀬尾みね子
 ああ、はーるよこい。
何度もかかる間違い電話        福井さき子
胸焼けに効く薬下さい           安達恒明
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
のの字書く指マニキュアは銀      船橋登志子
囲炉裏の灰に書きし君の名        鈴木辰彦

埋み火ひとつ消すに消されず         みね
 この国のクラシックな美もいいでしょう。 
柱時計の刻きざむ音            木村洋子
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
熱燗よりも冷やでぐい飲み        木村正夫
酒で消しても消えぬ面影          物草太郎
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
文焚く煙低く流れて              美比古
ひとり暖炉で思い出燃やし         樋田和子

 炎のゆらめきの奥に確かにあったあの時間。
輪廻の椿ホスピスに咲く          山田登志
 ホスピスに恋! 人生最期まで予測不能です。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
パイプオルガン響く教会           眠り猫
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
半券二枚』     2/11(火)東京朝刊・2/12(水)中日夕刊
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり     聖子)
受験のお守り届けられぬまま        三日月
 でも合格祈ってるよー。こんなに真剣に。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
ママには内緒そろそろ巣立ち       伊藤紘美
分からなくない娘の気持ち         まるこ
 実は紘美さんは子の気持になった句。まるこさんは学生さんです。
それぞれ、親子優しいさぐりあい風景。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
ポッケの中の半券二枚         平松由美江
 あれで終わりになったのねえ。
誘えどいつもはぐらかす君         根岸保
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
未練を置いて部屋を出る朝         ふさ子
あの日のウソは消えることなく       プルート

  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
時にミサイル飛んで来るかも       近藤辰春
 地上のどこで恋をしていても、覚悟のいる今だぞ。 
無党派なれど国を憂える         どぶきん
悪魔に売ったはずの魂           タヌ公
「不良債権化してやがる」って悪魔が言ったとか。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
飛騨の鴨居に餅花飾る          天野収一
      (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
海の向こうの』     2/4(火)東京朝刊・2/5(水)中日夕刊
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり     聖子)
力いっぱいぶらんこをこぐ        田宮圭照
「何もかも忘れてやるー!」ですって。
はけば破れる細身のパンツ          かり
「豊かなお尻がうらめしい」いやあ、魅力爆発です。
ジャンヌモローの目つき真似する    山口ミドリ
 やるせない中年女の風情、捨てたもんじゃないって。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
異国語で聞くファイナルコール      山口元子
 空港のコールですね。もうこれでお別れ。
あの時ついて行けばよかった        幸枝
 なお、幸枝さんのもう一句はね「夫のいびき耐えてきた日々」でしたよー。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
バーゲン売場きょうは素通り         恵子
なんでも揃う100円ショップ        増田正
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
戦死せし夫青年のまま          中島和子
攻撃目標捉えましたよ             赤鈴
 戦場の兵士はその瞬間の闘いに専念する。わが命も恋人の嘆きも考慮の外。
攻撃目標の人々の日常も。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
海の向こうのしばれる便り        吉田志可
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
大観覧車』     1/28(火)東京朝刊・1/29(水)中日夕刊
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり     聖子)
君と出会った橋のまん中         岩田千里
今日も電車の反対ホーム           洋一
 その人の存在がなぜ特別なのか。
飼い主振り切る猫の外出        菅野八重子
 うん。お前もだね。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
なんでメールに返事がないの        まいく
いつも私から抱きしめる           ヌープ
「私の好きな人はケンキョなのかなあーーたまにはそっちから抱きしめて
驚かせてよ」と十七歳のヌープさん。ああ、女の子のゆめ、なかなか通じない。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
告白せずに五年もたった        山内美代子 
卒業アルバムぱたんと閉じる      中山康博
披露宴では友人代表           福間正治
 きりっと晴れやかに二人をほめるのさ。ククッ。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
吐く息白し頭も白し               白頭火
デフレ進行髪の毛までも          ネオン利
 みんな同じ運命のなか。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
回れ回れよ大観覧車            関口淑子 
    (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
鍋で心中』     1/21(火)東京朝刊・1/22(水)中日夕刊
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり     聖子)
ふくれたままの焼きモチ二つ           直
ミカンをむけば双子の袋          野口博子
 ふふ。見るひとの心によって、なんでもない食べ物も情感深く見えるのであります。
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
ためいき色の肉まんの湯気           茶子
ラーメンすする窓の水滴           三橋寛
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
鍋の向こうは湯気とため息        マーピー
鍋で心中がんもと卵            近藤富子
 あら、まあ!
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
妻は空気と誰が決めたの           トンボ
「私は死ぬまで夫を愛していたいのに」トンボさんの背の君、気づいてください。
おそすぎないうちに。
老妻入院独り餅焼く               稲担
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
消えずにおくれトラの子の株         ゆき子
帰ってきてよ聖徳太子             コン太
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
花びらふぐの身の透き通る       岩津志乃ぶ
 ああ、美しいこと。
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授) 
夫婦ひつじ』     1/14(火)東京朝刊・1/15(水)中日夕刊
 明けましておめでとうございます。年頭所感。
  2003年自動ドアーの開きけり    藍
   初み空よりはらはらと雪     々
 冷たい雪を払いつつ、少しでもよい年にしましょう!
 さて、宿題付け句はがきもだいぶ降り積もってますよ。
どうも一枚一枚、恋情でしっとりしめっているような。甘いところからご紹介。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
長いマフラー二人で巻いて        古谷禎子
 そういうわけで長―いのが流行ってたの。
寒さだけかな震えてた君         松本太一
晴れ着の君を抱きしめたくて      池田志満子
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり) 
やさしい彼にもう帰される        坂巻静江
「風邪ひくよ」――えーん。ひいてもいいのよー!
   (恋情のただやるせなき雪ぐもり) 
絵文字のメール送る初春          多美子
律儀な賀状いじめっ子から        佐藤澄子
 果たして運命の赤い糸はつながっているのか。 
離ればなれに齢重ねる          久世武治
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
夫婦ひつじの君の絵手紙         村井由郎
 け、結婚しちゃったーー。
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
募集 雪ぐもり』     12/24(火)東京朝刊・12/25(水)中日夕刊
  お待たせしました。冬休みの宿題ですよ。
 (恋情のただやるせなき雪ぐもり      聖子)
 この情緒たっぷりの五七五句に、七七句を付けてみてください。ためしに女子学生に付けてもらったら、
 (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
コンビニバイトで暮れる元日         サラ
 デートしないで三が日働くんですって。 
 (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
鯛焼きのなか餡こが熱い           甲奈
 食べ物の付け句もいいですねえ。世代により恋の情はさまざま。もちろん事実でも、想像でも。場所はどこ。相手の姿は? いろいろ考えてこの世の物語の一場面を見せてくださいな。時代ものや、旅先風景もいけそう。時事句や大笑い句にも御挑戦を。
  (恋情のただやるせなき雪ぐもり)
逢瀬を待てば春はまぢかに         たつみ
 付け句には、前句にある(恋・情・雪)など同じ語を重ねないよう、最後に点検ご推敲もよろしく。 
 付け句ははがきで〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。紙上匿名(ペンネーム)の方は、住所本名も明記。句数制限なし。1月9日(木)までにご投かんを。七七句ですよ。なお次回コラム(発表)は1月15日です。よいお正月をお迎えください。
  (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)