とよたキャンパス連句まつり'08 第六回「全国高校付け句コンクール発表

豊田市民総合文化祭・桜花学園大学生涯学習研究センター特別行事 

   会場   桜花学園大学食堂東棟
    時     10月25日(土)11時ー16時    10月26日(日)11時ー15時
   主催 桜花学園大学・同生涯学習研究センター ・豊田市・豊田市教育委員会・豊田市文化振興財団
   後援 中日新聞社・連句協会・愛知県・愛知県教育委員会

 第八回の「とよたキャンパス連句まつり」が桜花学園大学の大学祭(秋桜祭)で開かれました。今年も中日新聞コラム「付けてみませんか」と連動し一般の部の短冊発表のほか、高校等対象の「第五回学校付け句コンクール」の発表も行われました。展示では、高校付け句コンクール発表ほか豊田、名古屋、豊明などの地域連句会の全国賞入選発表作品も多数並びました。来場者は2日で250人余。実作のテーブルでは、沓冠獅子の座、学生付け句の座、、しりとり連句、妖怪尽くし、猫尽くしなど、学生、卒業生、他大学生と地域の参加者が共に楽しい言葉遊びの日を過ごしました。


第六回全国高校付け句コンクール 中日新聞付けてみませんか特別募吟」       

 前句   (今こそチャンス君に告白  ミルキー) ミルキーさんは国際文化学科寺島ゼミ4年生。

高校付け句コンクール募集パンフレットはこちらから→ PDF PDF2
 9月20日しめきりまでに高校部門10882句、一般句(年齢は」10歳から90歳代まで)を合わせ12000余句のご応募ありがとうございました。
全国高校付け句コンクールは入選句を、一般付け句は、新聞発表のほか応募句より200余句を短冊に書いて掲示しました。学校付け句の入選の方も一般の方(読者、投稿者のみなさん)もいらして楽しんでくださいました。
付けてみませんか2008今こそチャンス君に告白全国高校付け句コンクール
全入選句

■連句遊び実作コーナー

各コーナーではいつものように、どの机も、連句遊び。地域と、 学生と、全国の付け句、連句仲間と。留学生も日本語で付けてますよー!

(1)沓冠16 二巻
沓冠は、発句を分解して長句の頭(冠)と短句の末(沓)に順に 配置してから句を作ります。
窪田薫氏考案の「獅子」(四聯四季順行形式・一花一月)をもとにしています。

◆沓冠16  「名月や」の巻    捌 稲垣渥子

名月や池をめぐりて夜もすがら     芭蕉  
 秋桜の咲く宿は斑鳩        しげる  
いつ来てもおっぱい饅頭テーブルに 節子
 男を見れば笑うヴィーナス     慶子

下駄の音カランコロンと寒空に    希  
 株価暴落今日もきのうも      渥子
通販で買ったブラウス派手だけど  直子
 病窓に風吹き過ぎる真夜      奏

やじろべえゆらゆら揺れて澄まし顔  しげる
 遠きにありて想う函館        慶子
命なお燃やして花の狂おしく    直子  
 お松明赤く闇にくっきり     美耶子  

懸賞金かけられている大泥棒    麦子 
 顔はばれずにテレショッピング  とみ子
男気を決め角帯で浴衣着る     しげる  
 古都しっとりと千年の夢      直子

平成二十年十月二十五日首尾  於桜花学園大学秋桜祭

◆沓冠16[秋の風」の巻    捌 芳梅

かなしさや釣の糸吹く秋の風    蕪村
 故郷思い月を仰ぐか         徹
ななかまど燃える真紅に活けられて 直子
 祖父の代より伝わりし志野     芳梅

しあわせに生きよと諭す玉子酒   慶子
 アリラン唄う友はうきうき    美耶子
斎宮の務め果すか大君   みの虫アッパ
 恋盗人の粋なライタア       ふさ子

やんわりと言葉の棘の抜ける春  とみ子
 野良昼下がり茄子の種蒔く      直
継ぎ当ての衣の映える花のもと    合
 出羽三山に立つ芭蕉句碑       芳

涼求め陸路はるばる旅をして   美恵子
 払いはいつもマイクレジット     良重  
軒下の猫に立派な血統書        ふ
  宴終っていのち満開        藍

2008年十月二十六日首尾於桜花学園大学秋桜祭

(2)賦し物連句 四巻(妖怪尽くし・猫尽くし・酒恋)
賦し物とは連歌俳諧であるテーマや文字を各句に詠み込む遊びです。
二十韻、半歌仙など、それぞれ四季をいれ、月の座も花の座も、各形式 のルールに従って詠まれています。

◆妖怪尽くし 妖怪だらけ・みんな大好き

  二十韻「妖狐」の巻        捌 彩火

 秋桜の丘に妖狐ら集う宴          奏
   まどかの月に鵺の鳴く鳴く       彩火
  やや寒の一人ぐらしのフランケン    まるこ
    ミノタウルスは迷宮の奥       奏
ウ 妖精が戯れ巡る肩の上         つむじ
   ねずみ男もちょいと流し目      ひまわり
  冬の窓座敷童子はときめくの      まるこ
   雪女からラブレター来て        すじ
  真夜中に熱燗を呑むまねき猫      彩火
   ホーンテッドマンション満室御礼  ひまわり
ナオ 旧友は今日も不在の八百比丘尼  奏
    時空を超えてさがすドラゴン    とみ子
  天狗さん君をみつけてほほえみを   まるこ
   シャワーで流されちゃった垢なめ   藍
  濡れ髪を乾かす貞子夏の月     ばらずし
   目目連は息を殺して         ひまわり
ナウ 芭蕉扇あおいで狙う首相の座    芙美
   我が世の春を想うルシファー      奏
  花の舞い地獄の番犬くつろいで    つむじ
    ポニョが逃げてく海のかぎろい    藍
  平成二十年十月二十五日首尾 於桜花学園大学秋桜祭



注 *目目連(もくもくれん)障子に目がいっぱいある妖怪.
   *ミノタウルス ギリシャ神話に出て来る牛頭人身の怪物

   

◆酒恋半歌仙
   「秋薔薇」の巻Ⅰ   捌 長坂節子

  うたたねのアフロディテや秋薔薇   藍
   さやかに放つキューピットの矢   節子
  月見酒愚痴をぐちぐちきかされて   芙美
   下戸を泣かせる大ぶりの盃     直子
  ポケットの携帯音を勘違い      芙
    浴衣の君に心ときめき       希
 「百年の孤独」を埋める人に逢い   慶子  
   噂のふたり相合傘で          節子
  我が家では亭主元気でお留守番   希
   猫じゃ猫じゃとほろ酔いの猫     慶
  振られてもめげぬ女のたくましさ    直
   熱燗二合ゆっくりと飲む        希
  和太鼓の音胸に染む寒の月      希
   左にスルメ右手に「魔王」       めじろ
  酔ったふりお酒に力借りて言う   ミルキー
   求愛ダンスするダチョウたち      芙
  蝶々と連れ舞いをする花の昼     しげる
   うららに祝う真珠婚です      今井暁子

 平成二十年十月二十五日首尾  於桜花学園大学秋桜祭



       注 * 「百年の孤独」焼酎の銘柄
          *「魔王」日本酒の銘柄

◆猫尽くし

猫の句ばかりの連句です。発句のみ猫の字を使い
あとの句は猫といわずに猫を表現して付けるのが
腕の見せどころニャン。

二十韻「猫ふるい立つ」の巻  捌    彩火

  秋雨に猫ふるい立つ連句祭     彩火
   月待ち揺れる尾っぽしましま    milky
  光る目が今日もさんまを狙いきて  めじろ
   無理やり窓にひっかける爪     嵯都美
 ニャーと鳴くあなたの声がいとおしい 奏
   三毛の男を探す船乗り         芙美
  キャプテンの帽子の裏はキティちゃん 彩火
   肉球記す暑中お見舞い        芙美
  縁側で二匹仲良く夕涼み        嵯都美
   鈴をつけても自由気ままに      milky
唐到来帝の日記に黒い珠       藍
   案内を買って出たケットシー     奏
  夢の中ロシアンブルーおいかけて   たま祐
   こたつに隠れ禁断の恋        葵
  柔軟な月夜のタンゴ息白く       たま祐
   ごろごろ懐く甘い温もり        つむじ
ナウ天性のご馳走センサーひげキャッチ たま祐
   電光石火胡蝶組み敷く        嵯都美
  花吹雪裾にじゃれつく子どもたち   つむじ
   ドラえもん連れ春の遠足        タイキ
 平成二十年十月二十六日首尾 於桜花学園大学秋桜祭

◆酒恋半歌仙
    「秋薔薇」の巻Ⅱ   捌 節子

   うたたねのアフロディテや秋薔薇    藍
    「ブルームーン」をシャンパンの杯  慶子  
  二十歳なり飲みあかしたり長き夜に   良重
    ルビーの似合う細い衿足       葵   
  立ち止まりみつめるふたり手をつなぎ  ゆりこ
    ホップの匂うビール大好き       慶  
  うわばみに禁酒禁煙つらいぜよ    節子
   遺伝子なせる恋のイタズラ   みの虫アッパ
  終電のホームに君とくまねずみ     葵
   囲われの身につらい誘い        良
  テキーラとタトゥーの腕に魅せられて  慶
   思わず抱く寒月の中          葵
  彼女乗せ枯葉マークで爆走し      パ
   間夫に作らす薄い水割り        節
  アル中は終の住処でひとり飲み     良
    幼遊びのままごとの夢         葵
  花大樹ハートマークのリュック背負い  芙
   若草山に響く歓声            パ

       注* 「ブルームーン」カクテル

    平成二十年十月二十六日首尾於桜花学園大学秋桜祭 

 

(3)連句ROCK1巻
ナウ初めて連句をするときの短い連句で、授業でよく使います。
二季。月または花一句。発句脇第三の作法など連句基礎どおりです。
今回、八穂さん、合さん、初めての連句の座を良重捌きで楽しんでいただきました。

連句ROCK 「チマチョゴリ」の巻  捌 伊藤良重

チマチョゴリ集うや雨の秋桜祭   良重
 物の音澄みて猫は耳立て     節子
夜の夢が張りついたまま円錐形    合
 サンタに願うカレシが欲しい    直子
風に舞う六花知らぬとそっぽ向き   合
 笑顔とともに受く冬日差し     八穂

2008年十月二十六日首尾於桜花学園大学秋桜祭


■尻取り連句コーナー

恒例人気の尻取り連句の座。学生だけでなく全く新入りさんもとびいりで、プロにおしえてもらいながら遊べます。新聞の付け句ご常連に、読者のかた、当学女子大生、帰ってきたゼミ先輩たち、高校生、近隣の男子学生、10歳から90歳まで、各世代が楽しむテーブルです。.去年連句にはまった大同大学の男子学生さんも再来場、たいへん賑やかでした。ちなみに机の上には筆記用具。季寄せなど資料だけでなく、学園祭のテント売りのご馳走だらけ。韓国のちぢみ、中国の水餃子、南国の揚げ菓子に、三河名物馬糞饅頭ももちろん。

◆尻取り連句「祭かな」の巻   捌 芙美・慶子他

1 コスモスで天地を埋める祭かな        藍
2  鳴いたちちろをあやすドラマー        芙美
3 マー大変!案山子の帽子吹きとんで      慶子
4  でいだらぼっちのっしのっしと        直子
5 東京都特許許可局クライシス          奏
6  スイッチオンして恋へはばたき         翠
7 刻みこむキスをかわした二人の夜        郁
8  よこれんぼされゲリラ豪雨に        天満月
9 ウニ流れたどりついたは無人島         翠
10   桃源郷にとらわれるヒト          天満月
11  常しえに罪を忘れていられたら         奏
12   羅針盤の輪紡ぐ運命              郁
13  いくつものダムを超えるは子持ちアユ     市村
14   ゆるゆる坂道柿のたわわに        今井暁子
15  にごり酒女二人で飲みあかし        めじろ
16   白いスカート次はデートで          milky
17  デスマスクはぎ取りボレロ踊りたる      節子
18   タルタルソースえびはフライに         藍
19  忍者寺手裏剣いそと供えられ         節子
20   レンブラントの絵を盗みきて          徹
21  手をつなぎチョコレートの味ライブの音    智永
22   ネイルアートも特別仕様         milky
23  ようこそと古城の月に迎えられ       とみ子
24   霊峰の霧今日も静かに           美那子
25  二尺ほど飛びすぐ休む糸とんぼ       しげる
26   ボラ(紫)の花びら本に挟んで       ハンア
27  電話口伝えきれない恋心          たま祐
28   ころころ笑う声の甘やか            藍
29  母さんの少女のころのワンピース      しげる
30   ピースサインはちょきに似ていて       直子
31  天平の甍光って京の夜           美恵子
32   瑠璃のビー玉君をうつせば         ふく子
33  せばまった気持ちパアッと放ちたい     まる子
34   大漁旗の帰る港へ              樹音
35  江戸前の寿司が人気の裏メニュー        奏
36   メニュエルかしら回転してる        ふさ子
37  照る時も雨降る時も軽やかに     みの虫アッパ
38   虹のアーチの向こうにアナタ         亜朱
39  立ち止まり見つめる二人手をつなぎ     ユリ子
40   疑問符消えたペーパードライバー        合
41  「あ」と「うん」と狛犬社に向きあえる    節子
42   LサイズからMになる夢           慶子
43  眼鏡かえ遠近両用確かめて           合
44   めでたく娘保育士になり            藍
45  鳴りひびく白い大地に雪の声       ジョージ
46   ええ顔しとるなロングヘアーも       ヤン坊
47  もう一度会えたらいいなあの場所で     ミチ子
48   出待ちしてでも見たいあの人         亜朱
49  人がいない街角君とファーストキス     ヤン坊
50   すごいぜマジで預金残高         ジョージ
51  高望みしないぜオレは宝くじ        ヤン坊
52   醤油特売タイムサービス           ばび
53  すっぴんを見せてくれないめじろちゃん  ジョージ
54   チャンス到来打てば逆転          ヤン坊
55  天才は忘れた頃に生まれ出る        ミチ子
56   ルンペン気まま俳句の旅路          洋一
57  時間過ぎ忘れてしまう花ふぶき       ユリ子
58   蕗のとう採る親子賑やか           ばび

十月二十五日起首二十六日満尾 於・秋桜祭

学生出題句への付け句コーナー

インターネットで学生がBBS付け句を主宰しています。付け句はインターネット付け句から前句作者が一部ぬきだしました。当日参加FAXもあります。会場のプロジェクターで、二つのスクリーンに映されたインターネット画面にも各地から付け句が入り、短冊が増えました。

Ⅰ(春を歩けばポップなカラー    milky)
            五七五句を付けてください

還暦も古稀も若きもおしなべて    ひまわり
流行は胸で切り替えAライン     ばらずし
川堤柳桜をこきまぜて            藍
八重桜造幣局の通り抜け          よね
無彩色→有彩色へと羽化をする       奏
大胆なファッション似合う若い人      kei
髪飾りいっぱいの花つけてみた    ばらずし
軽やかに踊る路上の若者等        よね
チューリップ光に笑いさざめいて      kei
新作の大看板を仰ぎ見て           R
秘そやかな決意はそっとルージュひく  佳代
住民に反対された楳図邸          よね
ハイヒール時には履いてみたいよな  ばらずし
君がいてよかったかなと思えた日     佳代
百年を時に染まらず啄木忌         可央
Ⅱ( テーブルクロス秋色にして  たま祐)
           五七五句を付けてください

窓開き木犀香るティータイム        佳代
事故米で楽しみにした封切れず     めじろ
したためるティーパーティーの招待状   よね
待ってます夫留守の間の昼下がり   ひまわり
うたた寝に君待つ夕べ月かげる      佳代
木漏れ日が午後のテラスにちらちらと   kei
ソプラノのキーで歌った失恋歌       奏
君まてばおもわせぶりな風の息     氷心
マイセンのコーヒーカップそっと手に  ばらずし
旅なかばスコーンさっくり香るお茶     藍
ティーカップ2つマカロン山盛りに    よね
手のひらを紅く染めた葉がひらり    翠華祥
読みかけの詩集紐解く九月の夜         奏
伸びてゆく飛行機雲を共に見る      kei
天板にシュー皮ふっくら焼き上げて     藍
Ⅲ(水眼鏡して世界を覗く     めじろ)
        五七五句を付けてください

君の笑みくぷりくぷりと泡のよう     おはぎ
当面の目標タマネギみじん切り       奏
 恋の色十人いれば十の色       あずき
不思議そにポニョがこっちを見つめてる  奏
尾がとれた私は蛙青い夢          藍
どこまでも青き深さは宙に似て       kei
溢れ来る人の流れも冴冴と        佳代
デザインがとてもおしゃれになりました ばらずし
澄みわたりガラリと変わる気持ちまで  milky
ねぇ金魚そこに平和はありますか    んにゃ
少年が人魚の嘘を知った夏        氷心
海にまで国境線を引くヒト科        よね
想うのは秋桜の咲く丘のこと        佳代

第三回豊田市民連句祭

展示

「文学表現授業作品「日本古典文学」付け句作品
■歌仙懐紙 百韻懐紙 
■地域連句会案内と作品(国民文化祭等全国大会入賞入選作品を主として)
ころも連句会・竜神連句会(豊田市)・栄連句サロン・尋牛会(名古屋市)・とよあけ連句会(豊明市)他


今年も250人をこえるご参加ありがとうございました。しりとり連句のとびいりさんたち、コンクール入選高校生のご家族の笑顔、新聞付け句の読者さんたちとの出会い、卒業生たちもたくさん現れて、楽しい二日間でした。主催、後援および、ご協力のボランティアのみなさん、ご苦労さまでした。そしてコンクールもふくめ、様々な形でご参加くださった多数の皆さんにお礼もうしあげます。(藍)
                       桜花学園大学生涯学習研究センター・豊田文化振興財団