治定作品:歌仙「春めくや」の巻

→ 参考 歌仙の式目

* 初折表(ショオリのオモテ)略称   初折裏(ショオリのウラ)略称 
  名残折表(ナゴリノオリのオモテ)略称ナオ 名残折裏(ナゴリノオリのウラ)略称ナウ

1   初折オモテ   発句 春めくや西と東に俳諧師                 藍 初春
 そぞろ歩きも梅の二ン月   多迦夫 初春
第三 小綬鶏は時なく人を呼びたてて  明 雅 三春
 ガラス細工のおもちゃとりどり   藍
5 月 鍵盤に手もとあかりの望ならん     迦 仲秋
 身を吹き通す風の爽か            雅 三秋
初折ウラ 行く秋を異国の街に漂流し   藍 晩秋
 やとはれマダムそれも一生   迦
マンションに男より猫可愛がり   雅
10  鏡の中に逃げる小悪魔   (クイズ1回目)   藍
11 抽象の時計だらりと炎ゆる昼 (クイズ1回目)   迦 晩夏
12  冷たき事が素麺の味         雅 三夏
13 撥にのり文弥人形あやつりて        藍
14  幼馴染と年惜しむなり       迦 歳末
15→月 ノーサイド月はポールの上にあり    雅 三冬
16  平和はいつも戦ひのあと    藍
17花 十一 恩讐のこもごも酔うて花の酒   迦 晩春
18 折端  畑打つ鍬も手につかぬ頃   雅 三春
19 名残折オモテ 折立 乗込の鮒に心を奪はるる   雅 晩春
20  富士の噴火がまたあるといふ        迦   
21 日輪がとろりと沈む大都会 (クイズ 2回目)   藍  
22  仮病つかって会社さぼって              雅
23 船旅にリュックザックもシュラーフも    迦
24  島の祝祭鳴り響く鐘   藍  
25 夏暖簾かけて新居の住心地          雅 三夏
26  蛍のごとくめをと寄り添ふ              迦 仲夏
27 情死とはかやうの者のなすことか (クイズ3回目)   藍
28  おまんの柳散りそめにけり (クイズ3回目)    雅 仲秋
29月 十一 掠れたる名残の月を描き添へて            迦 晩秋
30 折端  パンプキンパイに熱い紅茶を             藍 三秋
31 名残折ウラ 折立 ペーチカに寝起きたのしむ三世代      雅 三冬
32   狐と熊と海豹が友      迦 三冬
33 強風にはためいてゐる星条旗   藍
34  龍馬の像が睨む青空      迦
35花 夢つめしタイムカプセル花に埋め     雅 晩春
36 挙句  入園式にわきし手拍子   執筆 晩春

2000年2月19日起首 3月13日満尾