連句の式目・季語・歌仙の季節配置例etc

連句の原則(付けと転じのメカニズム)
1 575-77交互に付ける
2 前句に付ける(付く)
3 前の前の句(ウチコシ)とは離れる(転じ)

式目 

式目とは連歌、俳諧(連句)を巻くときに連衆が守る規則です。式目などとちとおおげさですが、連歌の時代に二条良基が制定した「応安新式」(1372)は、全国統一式目でした。(世間の勝手な式目だらけに良基様が立ち上がられたのだ!それほど人々は連歌をやっていたのだーーー) 俳諧(俳諧の連歌)も盛んになるうちにやはり式目が必要になり、諸家が多くの式目書を出します。(芭蕉は 古式に対して「用ひてなづまず」(去来抄)という姿勢でした)

 ところで、「式目」は概して禁制的なものをいい、故実的なものを「作法」といっていますが、現代ではそれらを総合し「式目」ということも多くなりました。現代連句界でも、当然各流派の式目に違いがあります。それで、全国大会のように他流派が混在する座では、捌きに一任するのが習慣になっています。捌きをきめない対吟や文音のときは、お互いに柔軟性をもって、ときには激論もして(ふふーーけんか別れもありうるぞーー)巻きます。

 つぎにご紹介するのは。めぎつねと、ころも連句会の仲間が学んできた猫簑会の式目です。伝統式目を整理し、蕉風伊勢派の作法(自他場に特色があります)を擁する現代版です。
注  ただしこれは定数連句「歌仙」、二十韻などを巻く場合のルール、作法です。たとえば[連句KUSARI]は、定数ではなく構成をもたないので、この式目にはよっていません。(心得は同じですよ!)

猫蓑会式目の整理

東 明雅 (以下1995、10、15「ねこみの」より)
従来、猫蓑会には式目が存在したが、それを整理した式目表とでも言うべきものはなかった。唯一、「二十韻季題配置表」のカードの裏にある「句数式付去嫌」・「式目歌」はその代用であったが、近頃、その不備を痛感するようになった。たとえば、「式目歌」の第一首「衣季や竹田の船路夢泪月松枕五句隔べし」などは、古い連歌の時代からの伝統を残したものであるが、現代人には意味も理由も分からぬだろう。それで、現在猫蓑会で使っている式目類を整理して一覧表にしたが、右(下)の通りとなった。 式目を新しく制定しようなんて大それた考えは毛頭ない。従来我々がやってきた方法を整理したまでである。大方のご参考になれば幸いである。

猫蓑会式目

一 心得 式目は翁の「歌仙は三十六歩なり。一歩も後に帰る心なし」を旨とし、すべての事象が輪廻にならぬよう注意する。
二 句数 1  句数は春秋三句より五句(普通三句)、夏冬一句より三句(普通二句)とし、季戻りを嫌う。
2  恋句は二句より五句続く。一句で捨てない。
三 去嫌      1  同季春秋は五句去り、夏冬は二句去り。その他、月・夢・涙など特に印象の強い文字は五句去り。     
2 同字・神祇・釈教・恋・無常・述懐・懐旧・妖怪・病体・時分・夜分は三句去り、その他の題材は二句去りであるが な るべく同じような題材は離して用いるようにする。
3  人情自、人情他、人情自他半、人情無(場)の各打越および縞を嫌う
4  片仮名・アルファベット・数字の打越を嫌う
四 一巻の構成 1  発句は当季とし。切字を入れる
2  脇句は発句と同季、同時刻、同場所とし、体言止めが普通
3  第三は「て、に、にて、らん、もなし」止めが普通。
4  発句使用字(月、花を除く)、及び恋の字は一巻再出を嫌う
5  発句以外に切字「や、かな」を嫌う。
6  表に神祇、釈教、恋、無常、述懐、懐旧、妖怪、病体、人名、地名を嫌う。但し発句はこの限りではない。
7  月の定座はオ五、ウ七、ナオ十一(二十韻ではウ一、ナオ五)とし、場合によって引き上げることもこぼすことも自由であるが素秋を嫌う。
8  花の定座はウラ十一、ナウ五(二十韻ではナウ三)とし、引き上げることはあってもこぼさない
9  恋は一巻に必ず出す。ウラおよびナオにそれぞれ一回出すのが普通である。二十韻ではどちらか一回でもよい
10  体言止めまたは用言止めの五連続を嫌う。
11  挙句は発句に返らぬよう特に注意する。
五 韻律 短句下七の四三および二五を嫌う。
六 仮名遣 歴史的仮名遣・現代仮名遣どちらでもよいが、その混用を嫌う。

お勧めする季語集

季語集は、季寄せ、歳時記その他の名称で古今多数ありますが、連句を勉強なさろうというかたには、ぜひ連句作者に配慮し充実した下記の必携をお勧めします。

連句・俳句季語辞典『十七季』

編著者:東明雅・丹下博之・佛淵健悟
発行 :三省堂

1章 季語分類表 三春・初春・仲春・晩春 三夏・初夏・仲夏・晩夏 三秋・初秋・仲秋・晩秋 三冬・初冬・仲冬・晩冬 新年
2章 五十音順季語辞典
3章 連句概説
4章 付合例句週
付録 正花一覧表・月の異名と月齢・初心者用歌仙季題表の一例・蕉風俳諧季題表