『世界へ飛んだ蛙―芭蕉から地球俳句へ』近藤蕉肝著 里文出版 本体2300円+税

筆者についてはこのサイトでもは1992年北米横断1か月の連句の旅や、日中連句会で活躍の一端<を紹介していますが、特に北米連句の連句の最初の上陸地カーメルで、氏が「連句の花の座は英語では「Flower でなくBlossomにしましょう」と決定したのを同行者として見て、国際的な連句の歴史的スタートの一瞬を見た思いでした。(それは小さな日本の匡の文化を外国文化に理解させ実作を共にすることの困難を越える感動の旅でした)。その後も著者は欧米、アジアと各匡に実に多くの理解者を得て、地球連句協会をつくり活躍しつづけています。今回はその活動報告の第1弾! 学生時代京都落柿舎で三年間書生をして俳諧を学んだという筆者の、成蹊大学教授としての永年の専門研究テーマである英語俳諧、俳句文法を土台として書かれた本です。芭蕉の句の古池はold pondでいいのかancient pondか、切れ字はどう訳すべきか。翻訳は言葉の翻訳ではなくイメージの翻訳なのだという論は面白くまた説得力があります。森羅万象を詠むという俳諧の必然として地球の営みである季節を詠むことは国際的にも当然ながら、では 季語でなくてはいけないのか。五七五句の定型は各言語で何が必然か。それらは日本語という殻を脱いでなおハイク・レンクが世界に広がっている現在の中に見えてきます。今後の俳句、連句への本質的な問題提起ですね。