別所真紀子詩集 『すばらしい雨』別所真紀子著 かりばね書房 1500円

詩人でありもちろん連句人、連句評論家、そして歴史文学賞の『雪はことしも』で俳諧小説の分野を確立独歩される別所真紀子詩集です。冒頭から句詩付合として(俳句一句に、詩の付け合わせ)12篇。つぎに「―二行詩による半歌仙の試みー」として二行詩を一句とする長短十八の詩による半歌仙行―と、連句と詩を精通した詩人による見事な試みに注目します。ー連句はどこまで、どのように自由になれるのでしょう。

「亡き母や」 
  亡き母や海見るたびに見るたびに   一茶/? 三日月が 鹹い絶望の潮に櫂を入れる/溶かされていった/血と肉とたましいの透明な重量/ちりり ちりり/千尋の底で白い骨が 鳴る