『オリーブ一粒』 2002.12.18 No.57

 おお、寒。21世紀の初頭を政治も社会も、ますますもがきながら暮れます。このコラムを書き始めた三年前ちょうど、私のホームページに連句の鎖が発生。この年末に2万5千番に迫っています。日々の付け合いは現代庶民史。

 計算狂う真紀子ソロバン         不用之助
目つむれば父の渋面ありありと         霞

 七月にこの句が付いて八月に議員辞職。それがもう 昔々に思えません?

 擦り寄られてる通勤電車            紫 
とりあえず両手は上にあげておく    カンちゃん

と笑っちゃう句もありまして。九月十一日直後には。

 マンハッタンを染める朝 焼け       聖子
オリーブを鳩に一粒くれてやる        道草
 真夏の水平線はきまじめ         あおゆき

「お前、平和の象徴なんだろ!なんとかしてくれよ」と道草さんはカクテルのドライマンハッタンのオリーブを投げてやったらしい。鳩は豆鉄砲より困惑。殺し合いをやってきたの、あんたたち人間でしょ!で、まさか、まだやる気では?。
 あおゆきさんは大学院生さんとか。お互い知らないけれど、いまの地上にいる者どうしだから、こうして句で語り合えるんです。

 年金減って増えた医療費
         たつみ
弓なりになってこらえる土俵際        聖子
 大寒に入る日本列島        キリマンジャロ 

 本当に、早めの大寒みたいですけど、みんなで少しでもよい年にしましょう。

授賞式晩餐会へと続く夜
             蕗
 チェロの音色はビロード  のよう       藍

(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)