おお、寒。21世紀の初頭を政治も社会も、ますますもがきながら暮れます。このコラムを書き始めた三年前ちょうど、私のホームページに連句の鎖が発生。この年末に2万5千番に迫っています。日々の付け合いは現代庶民史。
計算狂う真紀子ソロバン 不用之助
目つむれば父の渋面ありありと 霞
七月にこの句が付いて八月に議員辞職。それがもう 昔々に思えません?
擦り寄られてる通勤電車 紫
とりあえず両手は上にあげておく カンちゃん
と笑っちゃう句もありまして。九月十一日直後には。
マンハッタンを染める朝 焼け 聖子
オリーブを鳩に一粒くれてやる 道草
真夏の水平線はきまじめ あおゆき
「お前、平和の象徴なんだろ!なんとかしてくれよ」と道草さんはカクテルのドライマンハッタンのオリーブを投げてやったらしい。鳩は豆鉄砲より困惑。殺し合いをやってきたの、あんたたち人間でしょ!で、まさか、まだやる気では?。
あおゆきさんは大学院生さんとか。お互い知らないけれど、いまの地上にいる者どうしだから、こうして句で語り合えるんです。
年金減って増えた医療費 たつみ
弓なりになってこらえる土俵際 聖子
大寒に入る日本列島 キリマンジャロ
本当に、早めの大寒みたいですけど、みんなで少しでもよい年にしましょう。
授賞式晩餐会へと続く夜 蕗
チェロの音色はビロード のよう 藍
(やざきあい 作家・桜花学園大学教授)