時間よ止まれいまこの場所で のら (2007/12/29~2/14)

前句   時間よ止まれいまこの場所で  のら

「募集」中日・東京2月14日(木)   募集
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
ツーアウトツーストライクホームラン 寺田政裕
完と書き万感ありて筆を擱き       喜水
 (時間よ止まれいまこの場所で)
五十ならまだ間に合うぞ美顔術   木村れいみ
還暦でまだ若さある髪もある      相坂康
古稀がくる喜寿も米寿も追いかける ひろばあば
願掛けた星は流れてはや傘寿     山田登志
 (時間よ止まれいまこの場所で)
良き友と屋台でつつくおでん鍋    藤村力田
 さて時は止まらずもう春。まだご紹介したい佳句多数ですけどここで打ち止め。次の前句です。
 ものおもひけふは忘れて休む日に   野水
この句に七七句を付けてみませんか。作者は芭蕉の弟子ですから、江戸時代の句ですよ。
 (ものおもひけふは忘れて休む日に)
今度の彼もどうもいまいち       真智子    
恋など、もの思いの事情を考えてもいいです。経験でも他人さまの身を想像しても。休んで心開放、何しましょ。趣味? 家事だったりして。 
 (ものおもひけふは忘れて休む日に)
ピカピカ磨く春のキッチン       多美子
これからの春の風景はぜひ。大笑い、時事句も。付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。二月二三日(土)までにご投かんを。七七句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「次わたし」中日・東京2月7日(木)   発表5
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
次わたしステキな彼がレジに立つ     星子
もう少し居させてください腕の中      悦
5,4,3,2,1、ゼロ!
元気でとドアに手を掛け深呼吸      一子
 (時間よ止まれいまこの場所で)
女子プロのショットショットのへそピアス 旦喜
 ちゃんと見たいわけ?
 (時間よ止まれいまこの場所で)
手を放れするりと立った生たまご      暁
 あ、あ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
ブレーキが効かぬその先崖っぷちヒフティセブン
 悪夢だあ。
核ボタン大統領の手が伸びる       一発
洋上をいずこへ向かうミサイルか   鈴木辰彦
 海に落ちても魚たち、いえ、地球が迷惑です。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
娘十三虹の絵描いてるダウン症    のりさん
「障害を持つ子が養護学校を卒業し、そして親の亡き後はどうして生きていったらいいんでしょうか」のりさんに応える社会にしなくては。
みどりごの抱けば生命のあふれたる  伊藤紘美
 (時間よ止まれいまこの場所で)
K点を越えて私は鳥となる        恵紅
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「寒空に」中日・東京1月31日(木)   発表4
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
肩寄せて流れ星待つ闇の中       まゆみ
君といる刻はマッハで過ぎていく      晶
 恋人たちは瞬間を生きる。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
奪いたい君の唇目の前に        ドロン
乾杯のシャンパン透かす君の顔       紅
 これは運命か。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
諦める!そのために来たデート、でも   邦生
「クリスマスは片思いの先輩と名古屋にデートでした。幸せでした」と。―せつない恋の味。
うるんだ目ホームに残しベルが鳴る  田渕義明
 (時間よ止まれいまこの場所で)
別の人!「送信」押して気が付いた  TAMA
キャ。便利過ぎるネット空間。メールはいつも誰かに見られる覚悟がいるんですよね。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
ケイタイの後ろの女だれですか    近藤スズ
浮気ばれしどろもどろになる私     みかん
 あな、おそろしき葛藤も。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
老いる母昔の想い出くり返し   そめいよしの
陽のひかり透明な空木は静か       青麦
 (時間よ止まれいまこの場所で)
寒空に古い日記を焼く煙       下郷英一
 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「ひとひらの」中日・東京1月24日(木)   発表3
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
暁の星を見送る露天風呂        きみ子
ひとひらの雪は見るまに淡く溶け    ゴロー 
 時間よ時間。流れる時間。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
嫁ぐ娘と思い出話川の字で      豊田恵子
花嫁はブーケを高く投げあげて     タヌ公
 歓声!ああ、あんなときあったっけって、思う日がくる。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
おみくじをあけて読みあふ孫と子と   ふうろ
 見なれた風景だけれど。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
ガソリンは百円だったよ二年前   愛西230
福引きの一等賞で大騒ぎ       かよねこ
「温泉一泊。これぐらいの幸せがいい」
 (時間よ止まれいまこの場所で)
検査ミスがん宣告が取り消され    土方昭光
 あ、危機からの脱出こそ最高の幸せかも。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
筋肉の万能細胞ぴくぴくす        耕人
 万能細胞が臓器になろうとする瞬間! すごい感動でしょうね。実用化の夢成るか。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
氷山が溶けて子熊が溺れそう      スミレ
 人間たちの文明のせいなんだって。
地球儀の色はやっぱり碧が良い     たんき
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「天才児」中日・東京1月17日(木)   発表2
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
遅刻するでも眠りたいあと5分     ドット
目覚ましの次は母なり寒の朝      由美江
 休みが終わって朝の寝床に未練の付け句だらけですよー。ああ、起きます、起きますってば。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
高一の次は高二で受験生      あたしんち
 またとなき青春時代。試練が待つ。
解答欄皆ひとつずつずれていた      獅狼
 ギャーオー。
天才児いつの間にやらただの人  みの虫アッパ
 夢はもつべし。欲張らぬべし。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
初めてのキス東京に帰る彼        豊親
ペアルック彼の鼓動が耳元で       もこ
 忘れない。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
平均の寿命がそこに待っている     喜久男
平均がなんだ!
老いてまだ色気喰い気のあるからだ   奥村晋
これ以上増えてくれるなシワとシミ  根岸一枝
 (時間よ止まれいまこの場所で)
アンコールワット影絵のごとし初日の出   直
「初めてのカンボジアに感動。まだうわの空の毎日」遺跡で大ヤモリにも出合ったんですって。
(時間よ止まれいまこの場所で)
極北の旅オーロラが天に揺れ        獏
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「携帯が」中日・東京1月10日(木)   発表1
 (時間よ止まれいまこの場所で   のら)
臘梅の香る神社で手を合わす      まりこ
 謹賀新年。いい年になりますように。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
トックッといっしょにとしをとっていく 金思暎
「韓国では年明けにトックッを食べて、歳をとります」やはりお餅のはいったお雑煮ですって。。
残る歯を残らず見せて初笑いッ     権兵衛
 ハハハハ、ハ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
澄んだ目で何でも指さしこれなあに    久美
 「二歳のわが子です」
柔らかなぷくぷくお手々巻き付ける    美奈
 幼い姿、しぐさと肌触り。これぞ親の至福。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
可愛さの温度差変わる反抗期      小島武
 そして、やがての山越えは親の人生修行じゃ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
携帯が便器に向かい落ちていく   水谷三和子
 あーれー!
 (時間よ止まれいまこの場所で)
吉さまに見つめられてる初芝居     ひろみ
 「吉右衛門さんファンです」客それぞれがみんな見つめられてるような気にさせるいろっぽさ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
飛騨の宿雪見障子をそっと閉め    喜多隆文
 (やざきあい 作家・桜花学園大学教授)
「しめきりは5日」中日・東京12月27日(木)   しめきり
 (時間よ止まれいまこの場所で    のら)
ぼたん雪仰げば身体浮き上がる     あづさ

 降ってくる雪の中にいると永遠の中にいるような
気がしますね。
 教室で女子学生に作ってもらいました。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
青いツリーイルミネーション君の唄   朴智永
 韓国からの留学生さん、日本で初めてのクリスマス。いい思い出になりましたね。 
 (時間よ止まれいまこの場所で)
沈黙のあとのあまーいキスでした     ララ 
「夢です。夢」だって。ええ、想像でいいのよ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
朝礼中お腹が鳴った運動部       名美子
そうか。こういう前句の読み方もあるんだ。
 付け句、連句も広がってきて、連句俳句季語辞典『十七季』(東明雅・丹下博之・佛渕健悟編著)第二版発売好評です。コンパクトなポケットサイズ。連句入門・付け合い例も出てます(三省堂・2500円と税)。ここで佛渕さんにも一句。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
団欒という神様の贈り物       佛渕健悟
 付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。句数制限なし。一月五日(土)までにご投かんを。五七五句です!
みなさまどうぞよい年をお迎え下さい。
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日・東京12月20日(木)     募集
 (いざいざと冬将軍を迎えうつ   葵)
砦のごとく薪積み上げて       鈴木辰彦
子の帰り待つ樽の漬物        斉藤房道
 冬支度は昔からの暮らし、手仕事。懐かしい句
が多かったですね。そして長寿社会の健康法も。
ばあば遊ぼと庭で呼ぶ声          暁
ニンニク食べて熱い吐息で        洋一
めらめら燃える老いらくの恋       康直
 (いざいざと冬将軍を迎えうつ)
アラブの神よアブラをおくれ     寺田政裕
エルニーニョで撃退するぞ        千秋
 ご応募多数多謝。まだ佳句ご紹介したいけれどここで打ち止め。つぎを楽しんでくださいね。
 さて宿題です。
  時間よ止まれいまこの場所で  のら
この七七句に五七五句を付けてくださいな。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
答案がまだ半分もできてない      たつみ
 事実、経験でも、想像でもいいですよ。
 (時間よ止まれいまこの場所で)
パパ好きとちっちゃなお手々しがみつく  まみ
 ささやかな一瞬も。恋句はもちろん、感動のドラマ。自然の風景。大笑い、時事句もぜひ。
付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。一月五日(土)までにご投かんを。五七五句ですよ!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)