タコシャブクイズその3 解答とギャラリーの声
それでは今回も皆さんの推理から
さっそく、古典連句のおもかげについては、睡々さんが説明してくれました。
睡々 おまんの柳に二の尼ですか。冬の日のこがらしの巻、
あるじは貧にたえし虚家 杜國 (虚家:からいえ)
田中なるこまんが柳落るころ 荷兮
霧にふね引く人はちんばか 野水
たそがれを横にながむる月ほそし 杜國
となりさかしき町に下り居る 重五
二の尼に近衛の花のさかりきく 野水
蝶はむぐらにとばかり鼻かむ 芭蕉
のくだりを思い出しますが」
① b-a 6人 ( 蛍のごとくめをと寄りそう )
27 情死とはかやうの者のなすことか 藍
28 おまんの柳散りそめにけり 雅
未悠 9句はその迫力から情死とすぐに決めましたが、10句はそれぞれに面白い展開になりそうで、贅沢な選択を迫られ、心中もののおまんにしました。他の句の打越かなと思いましたが、柳散りそめ、で場の句ですね)
しゅん 10の5句中に「散り」とあるので、9で「散る」はないだろうと考えました。残り3句のうち「情死」の句が前句に一番良く付いているように思いました。10ではそろそろ植物が出てもいい頃かなと思い「おまんの柳」にしました。一応理由も書いてますがタコシャブ目当ての直感頼みです。
小晴 「蛍二十日に蝉三日」の例えのように、蛍のような「めをと」には、やはり情死がよく付くかなと。次の恋離れの句は、睡々さんとミャ-ママさんの書き込みのお陰で おまんの柳が悲劇的な恋を象徴し、なお秋の訪れを詠ってこれ以上はないと、素人判断と好みで。この次に予定通り月の句が出るとすると、ねぶたの灯りは?
麦 私の好みでは27は歓喜天ですが10の句群をみると歓喜天にはついていないので外し、10の句群は情死に付いている気がしますので27は情死にきめました。次は市中の句がとてもいいと思ったのですが、4句前に「島の祝祭」があるのでここでねぶたは早いのではないかと思いやめました。(残念!)「おまんの柳」は情死に近すぎるかなと思いましたが調子が前句とよく合っていて、場の句であることもいいと思いました。(と、もっともらしく、言ってみる!)送信してから、連句初心の私としては発句以外に「けり」という切れ字を使わないと思っていましたので、多迦夫先生はどうされるかな、やはりとられないかな、とあれこれ考えまよっています。
蕗 うわあ、マゴマゴしてるうちに、締切日になってしまった。ゆっくり考えるはずだったのに・・・
9の情死は10の5句が一番よくついていると思います。蛍のはかなさにもよく付いています。薄衣も好きな句ですが夏3句は少しくどいかなあと。10は迷いましたが、場の句であることと、柳散ると、次の月を意識して仲秋の季が出ていること、付き過ぎかもしれないけど前句にぴったりなのも気に入りました。 麦さんと一致したのはめずらしいね。「けり」のことは明雅先生のなさることだから、問題なしでしょう
② b-c 5人 蛍のごとくめをと寄りそう 迦
情死とはかやうの者のなすことか 藍
ねぶたの夜に通る市中 雅
睡々 まず9ですが、次に「柳散り」という句を付いているということは、「三千世界に恋は散り」や「魂散るばかり」ではないでしょう。「薄衣」「歓喜天」も好きなのですが、10の候補五句の前句として妥当なのはどうしても「情死」と思われました。10ですが、まず「西鶴」は発句と同字があるので却下。「川原雑炊」は冬期になると思うので、前に冬の月が出ているだけにここではどうでしょうか。その他は好みになりますが、「ねぶたの夜」は打越の蛍と夜が重なるような気もしますが、「市中は物のにほひや夏の月」を思わせ惹かれました。
イッカ まったくの勘です。理屈を考えていると、頭がこんがらかって来て、それなら自分の直感が一番頼りになるのではないかと、勝手に納得した次第です。
道草 10のおまんと西鶴忌・吉野忌を引きだすことができるのは9の「情死」。特に「神かけて」をとったとすると、10には「尼」は来ないように思えました。しかし10では背景にねぶたを置くとドラマティックになると思いました。川原雑炊を楽しんでいるところに遺体が流れてくるのは、衝撃的だけれども、ちとつらすぎると思いました。外しの道草でした。
ニャン 10の5句を見て、9の「瞬けば」「神かけて」は「散」があるので外しました。残りの3句の中では、螢のごとく寄り添ふめおとは「歓喜天」よりも「情死」する方かな~と。10は螢・情死・おまん、どれも儚く散る感じなので「おまん」は外して、忌と泪は付き過ぎかな、川原雑炊も情死と時代感覚?がなんだか近いような気がして。ほんとうは「解りません」です。
赤胴鈴之助 あーでもない、こーでもないとやってまして、頭の中はぐちゃぐちゃです。あー、わからない。独り占めしようとすると、これしかないですね。何ったって先生方の句。間違いがある訳ない。と、言うことは。本当はどれを選んでも正解と、思いますが
③d-d 神かけて魂散るばかり恋をして 藍
川原雑炊かしましき中 雅
雨乞い小町 う~ん、古典に弱いUSA狸、ここは拙勘、いえ、拙閑さんと同じく勘で参ります。
これはもう情死、心中の世界。恋は盲目、傍から見るとどうして?という恋も本人には魂散るばかりの恋なのです。二人共に死ねればいいのですが、不幸にも片割れが生き残ってしまうことがあります。そうすると蛍のごとくにあの世で夫婦になるわけにはいきません。江戸時代心中の片割れは非人扱い、川原乞食です。そうして暗い過去を背負って生き残った人もやがて雑草のごとく生き延びて行きます。人生の哀しさはまた喜劇でもあるのです。川原雑炊かしましき中、可笑しくてやがて哀しき。連句は人生だあ。
④c-d 瞬けば三千世界に恋は散り 藍
川原雑炊かしましき中 雅
窯 「三千世界」は何か仏の匂いがぷ~んとします。そしたら、あの世からの霊が集まりそうな「川原」へと繋げたい。前回、大騒ぎしましたので・・以上。
⑤a・d 情死とはかやうの者のなすことか 藍
川原雑炊かしましき中 雅
ミャーママ 睡々さんやしゅんさんと同じ理由で、「瞬けば」と「神かけて」をまず、除外しました。残り三句のうちの、どれにしようかーーー28の5句を繰り返し読むと、自然に答えが見えてきます。きっと、情死ですね。そして、28は、もう悲しい雰囲気から離れなくては。「川原雑炊」の句の持つ、猥雑さに注目。連句の、おかしみがここにあります。心中だとさ、へ~え、どれどれーーーがやがや、がやがや、物見高い庶民の声が聞こえてきそうですね。(今回もハズレかなあ)
雨乞い小町 今回は勘で行こうと決めたのですが、やはり最低限のチェックは必要なのですね。28句の「散る」を考えに入れていなかった。「情死」の句はストレートすぎるかな、と思って魂散る、が蛍によく付くと思ったんですけど。フニャー。「情死」と「川原雑炊」に変えたいよお~。
桂 理由といっても無学な私には理論立てて説明できません。勘と好みだけです。26の「寄り添ふ」に歓喜天はどうかなと思いつつ取りました。情死に票が入っているようですけれど。28は意表を突くおもしろさで、これがいいです。歓喜天に付けてみて悪くないなあって。まあ、当たるわけがないので、参加に意義あり、として。
雨乞い小町 もうめぎつねさまもお帰りになりますね。次は北京ダッククイズかな?今回解答前から夢が散った小町です。いやしかし、先生達でも5句のうち1句ぐらいは前句と同じ言葉を使うかもしれないし、これは引っ掛けということも。(←無い無い)
ミャーママ あー、「雑炊」は冬でしたねえ。うっかりした。次に月がくるとなると、ちょっと無理かな。前の月が冬月だったから、今度は秋の月にしなくちゃね。となると、「おまんの柳」だったかなあ。-
さて解答です
北京から帰って、鼻水をたらしながら、ギャラリーの論理と解説にいつものようにしみじみひかれたけれど、選択の道はひとつ。
山猫庵通信(3/7)
「ナオ
27 情死とはかやうの者のなすことか 藍
28 おまんの柳散りそめにけり 雅
拙次 迦
掠れたる名残の月を描き添へて
月明を風の字に似て奔る犬
秋深き大工の顔も洛中図
鵙の目で瞰しや洛中洛外図
左隻より虫啼くといふ洛外図
以上よろしく。このところ不眠症にて赤ワインを飲んでいましたが、先週750ml1本空けて(飲み屋の酒は別)撫然としております」
ギャラリーもこの選択がいちばん多かった。多いということはもちろん正しいということではない。でも、この三吟も三回目。作者を見る目が肥えたかな。このクイズ、私だったら? 私はおまんの柳と河原雑炊にひきさかれそうだ。